上場企業退職し中小企業転職が勝ち組になる時代
2010年 04月 20日

むしろ中小企業に転職した方が勝ち組になるなんて時代が、
今まさにやってきている。
就活生をはじめ多くの人は、
現時点での勝ち組企業、大企業、
上場企業がいいと思い込んでいる人が、
ほとんどだと思うが、そんな常識を覆す話を1つ。
「かさこ君はアイフル退職して、
転職したなんて先見の明があったねえ」
最近、そんな風に声を掛けられることが多い。
私がアイフルに就職したのは1997年。
当時のアイフルはテレビCMを大々的に放送し、
無人契約機も大ヒットし、急成長を遂げていた。
バブル崩壊後の失われた10年の真っ只中にあった日本は、
経済も悪く、就職氷河期だったなかで、
唯一、サラ金業界は2ケタ成長を遂げる、
ベンチャー企業として注目されていた。
1997年の新卒採用者は300人。
1998年には二部上場を果たし、
2000年には一部上場を果たす、
昇り調子の成長企業だった。
私が退職したのは1999年。
就職氷河期でやっとつかんだ内定先を、
2年ちょっとで辞めてしまった。
営業成績も部内でトップだっただけに、
周囲からは「このまま辞めずにいれば、
最速で課長に昇進とかになったかもしれないのに」
ともったいないとも言われる声もあった。
そんな成長企業が2009年に業績悪化、
資金繰りの悪化から、事業再生ADRを申請。
社員は半分リストラされ、
私が入社した時に仕事を教えてくれた先輩も、
昨年に会社を去った。
私はアイフルを辞めた後、
編集プロダクションに転職し、
現在3社目の編プロ。
3社とも当たり前の話だが上場企業ではない。
社員数だって30人に満たない。
アイフルのような3000人規模の上場企業とは違い、
ボーナスが必ずもらえるわけでもなく、
残業代という概念もなく、
いつ潰れるかもわからない小さな企業を転々としている。
以前だったらこれを「負け組」と呼んでいたのだろうが、
そっちに転職した方が「勝ち組」になってしまう時代だから、
恐ろしいし、ある意味ではとってもおもしろい。
皮肉な話だが、私は来月、
退職した業界は業績悪化で全滅するという、
「サラ金全滅」という本を出版する予定でいる。
私が言いたいのは、今、業績がいい企業だとか業界だとか、
それが10年後、20年後に続いているかなんて、
誰もわからないということだ。
だから就職先も転職先選びも、
今の業績で判断して将来安心だなんて思ったら、大間違い。
もちろん私だって、倒産寸前のアイフルをいち早く辞め、
編集業界に移ったことが今の時点ではいいと言えるが、
この先もそうと言えるかはわからない。
結局、自分が何ができるか。
手に職なんだと思う。
私が上場企業で何十年働き、
営業成績がトップであり続けたとしても、
独立して飯を食っていくことはできないだろう。
しかし今の業界は違う。
30人に満たない中小企業にいるとはいえ、
そこで日々働いて身につくスキルや技能は、
独立できる能力につながる。
実際、個人での仕事も数多くしている。
だからもし会社が潰れそうになっても、
そのスキルを武器に転職できるだろうし、
いざとなればフリーになって仕事すればいいとも思う。
だからこそ日々の仕事も一生懸命になれるし。
上場企業に勤務し、
どれだけ会社のために働いたところで、
自分のためになるかはわからない。
しかし今、働いている業界は、
日々の労働が会社のためにもなり、
自分のためにもなる。
もちろん一度、上場企業のような大きな会社で、
働く経験をすることは悪いことではない。
しかし上場企業・大企業に入ったから安心で、
大企業に就職できず、中小企業に就職したから負けなんて、
愚かな発想の人がいたらそれは大きな誤りだろう。
学生にここまで求めるのは無理だと思うけど、
働くことが会社のためになっても、
自分のスキルにならないような会社は、
辞めた方がいいと思う。
会社が傾いたら、瞬く間に転職先に困ってしまうから。
自分が何ができるか問われる時代。
別に特殊技能じゃなくてもいい。
専門知識や営業能力など、何か1つ、
できることを身につけられる会社に就職することが、
これからの会社選びで重要になるのではないかと思う。
※そんなわけで「サラ金全滅」5月発売予定。
今週中に、最終ゲラを校正し、来週印刷に入ります。
アイフル元社員の激白
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