小林武史からの一人立ち?!マイラバコンサート・レビュー
2007年 05月 16日
My Little Lover(マイラバ)といえば、ミスチル・プロデューサー小林武史氏が、
プロデュース&メンバーとして、妻のakkoと組んでいるユニットであるが、
昨年、マイラバは大きな変化を遂げた。
レコード会社が変わり、さらには夫の小林武史氏がメンバーから抜け、
akkoのソロプロジェクトとしてまさに新スタートを切ったのだ。
2006年12月にリリースされたアルバム「akko」という名が示す通り、
まさに一人立ちのスタートを意味している。
これまでマイラバが名曲の数々を生み出してきたのは、
やはり小林武史のプロデュースおよび作曲の影響が大きかっただけに、
ニューアルバムの作曲名に知らぬ名が連ねているのがかなり心配だった。
これまでのマイラバとまったく変わってしまったら、
その魅力は半減してしまうのではないかと。
しかし、その心配はまったくの杞憂に終わった。
ニューアルバムは見事にこれまでのマイラバ路線を継承し、
言われなければ作曲が変わったとは誰も思わないだろう。
マイラバの、いやakkoの魅力が存分に活かされての新生スタートは、
小林武史との結婚後、活動ペースが少なくなっていただけに、
ファンとしては大変うれしい気持ちではあった。
ミスチルファンでもある私は、最近の桜井氏と小林武史の、
異様なほどの蜜月ぶりはもちろんのこと、
小林武史はミスチルにメンバーのごとく演奏に加わるだけでなく、
Bank Bandを桜井氏と組んで活動を行い、
ap bank fesでも中心的な役割を果たし、
さらにはSalyuという女性ボーカリストのプロデュースまでやり、
(Salyuの「風に乗る船」はものすごい名曲ですので、ぜひ聞いてみてください。
http://www.salyu.jp/discography/single06.html
しかも作詞作曲は小林武史)
忙しくて、一番の身内である妻には構っていられないからこそ、
妻の活動の足を引っ張っていると感じ、
自ら手を引いたのかなとも思っていたところ、
そんな矢先に、小林武史が作曲等で協力している一青窈との不倫疑惑が、
今年1月の週刊誌で報じられる結果となったのだ。
事の真相はともかく、新生akkoのスタートと不倫疑惑が重なれば、
小林氏が手を引いたのはまさに、
「公私ともに」だったからとも考えられなくはない。
ただそれを打ち消すかのように、
または新生akkoへの別れの餞(はなむけ)なのか、
今年3月にリリースされたニューシングル「あふれる」は、
小林武史がフルサポートしたという。
こうした中で、新生akkoのコンサートツアーが5月からスタート。
その一発目が5/7にあって行ってきたというわけだ。
・・・ここからネタばれあり・・・
一曲目はもちろん、ニューアルバムの一曲目、
そして彼女の今を物語っている「チャンス」。
とてもリズムカルで再スタートをするのに奮い立たされる曲なのだが、
まさに彼女の状況を描いている歌詞がまたぐっときてたまらないのである。
「ここから抜け出す チャンスが来る」
「歌声を忘れたカナリアのよう 意識はもうろうとしていたけど
そこにあるものを理解しようとして 自分を納得させていたら」
これは私の勝手な解釈だが、
小林武史という偉大な音楽プロデューサーの妻であること、
母親であることを優先させざるを得ず、
本当に今、一番自分がしたい歌を歌うことをあきらめていたのではないか。
でも歌を歌う欲望を抑え切れず、またちょうどいいチャンスがめぐってきて、
いい意味でも悪い意味でも小林武史の呪縛から解き放たれ、
再スタートを象徴する歌なのではないかと。
その歌からはじまるコンサートツアー。
もちろんこの曲が一曲目に来るであろうことは、
多くのファンが想像しただろう。
そして徐々にakkoはテンションをあげていき、
呪縛から解き放たれた音楽の天使のように伸びやかに歌う。
以前、2度、マイラバのコンサートに行っているが、
こんなにも伸びやかに、そして落ち着いて、
舞台を我が物にして舞うakkoを見るのははじめてだった。
その気持ちが観客に乗り移っていく。
ニューアルバムから「recall」「月とプラモデル」「インスピレーション」や、
これまでの名曲「YES~free flower~」「ANIMAL LIFE」など、
軽やかでリズミカルなマイラバサウンド全開の曲で、
観客を心地良い気分にさせてくれた。
ライブの中盤は最新シングルでもあり、
小林武史プロデュースの「あふれる」や
再始動先行シングルとなった「り・ぼん」を早くも演奏し、
ライブ・アンコール前ラスト3曲は、今から12年も前、
1995年に出たファーストアルバム「evergreen」から、
「Hello, Again~昔からある場所~」「Delicacy」、
そして、マイラバ最高の名曲の1つでもあり、
昨年のap bank fesで、エンディングを飾った「evergreen」で見事にしめる。
アンコールは同じくファーストアルバムから、
デビューシングルとなった「Man & Woman」と、
ニューアルバムのラストを飾る、
しめにふさわしい「いとしい毎日」でエンディングとなった。
スタンディングでちとつらいが、1時間30分と短く、
そんなに曲数も多くなく、ペース配分も以前のマイラバライブと比べると、
非常によく考えられていて、ちょっと物足りない感はあるけど、
十分、満足できる内容。
ちなみに5月に残り9公演、全国各地で行われるが、
オフィシャルホームページによると【SOLD OUT】は3箇所のみ。
今日の東京もまだまだ会場に余裕があるので、
ぜひ行ってみたい方はチャンスがあると思います。
http://www.mylittlelover.jp/
ミスチルほどマイラバは聞き込んではいないけど、
でも多分、2番目に聞き込んでいるアーティストだとは思うんだけど、
ミスチルとは似ているようで似ていない不思議な魅力がある。
12年前のファーストアルバムから4曲やっても古さを感じない。
まあもちろん、マイラバの場合、
ファーストアルバムほど最高でベスト盤ともいえる、
最高アルバムはないから致し方ないかもしれないけど、
ぜんぜん古さを感じないから不思議。
そしてある意味では、ミスチル桜井氏がめざしているような、
メッセージを歌詞にこめることなく、
日常の何気ないことを歌っているだけなのに、
何かこう、いろんなことを考えさせられてしまう、
akkoが醸し出すファンタジー的歌詞の世界と歌声。
何がリアルで何がファンタジーなのか、
何が現実で何がバーチャルなのか、
そんな境界を飛び越え、自由に行き来するakkoの魅力。
一方で、青く続く空と、緑一面の草原をイメージさせる、
壮大なスケール感のある楽曲。
akkoがいれば小林武史がいなくてもマイラバは奏でられる・・・。
そんなことをある意味では証明したライブだったようにも思えた。
バンドとも見事に溶け合っててすごくよかった。
akkoのキュートな高くて軽やかな声を引き立たせるかのように、
実はマイラバの楽曲って意外と低音がずしっと効いているんじゃないかと、
今日のライブを聞いていて思った。
ギターも今回のライブがはじめてだというのに、
CDにはないギターフレーズはマイラバワールドを引き立てるのに十二分だった。
驚いたのはキーボードにミスチルサポートメンバーのサニーがいたこと。
今、ミスチルもHOMEツアーがはじまったところ。
両方に出ているのかな?
マイラバもミスチルも5月にわりとコンサートがあるので、
意外な感じだったが、
小林武史という偉大なるキーボードの穴を埋めるために、
ミスチルサポートメンバーであるサニーを入れているというのは、
小林武史は少なくとも「公」の部分では、
akkoを見捨てたわけではないのかななんて、
どうしてもそのような方面が気になってしまう。
ほんとか嘘かわからないが、小林武史が会場に来て見ていたともいうし。
ともあれ、私にとって、マイラバファンにとって、
小林武史とのプライベートな関係がどうあろうとも、
マイラバ=akkoが以前の伸びやかな輝きを取り戻し、
精力的に音楽活動をして、
ミスチルとはまた違った音楽的魅力を届けてくれれば、
それが一番いいと思っている。
ほんと、マイラバいいです。
過去のアルバムとか聞き返しても、
すごく新鮮に聞こえるし、そしてとても切ない気持ちにもなれるし。
私が写真で表したいことを、見事に表現しているような気がする。
ということで、長くなりましたが、マイラバおすすめです。
※注:ミスチルほど聞き込んでいないため、曲目に誤りがあったらすみません。