編集という仕事もしてます
2007年 04月 01日
「13歳のハローワーク」じゃないけど、
世の中にどんな職業があってどんなビジネスがあるのか、
学校なんかじゃ説明しないから、
自分がイメージできる職業ってのが、大人になってもそれこそ、
小学生レベルの「プロ野球選手」「医者」「ミュージシャン」みないなものしか、
どんな仕事なのかがイメージが湧かないからなんだと思う。
だから、就職活動になって戸惑う若者が多いのも当然だし、
「夢は?」なんて聞かれて困ってしまうのも当然のように思う。
私もかつてはそうだった。
私の職業は個人的にはカメライター、
カメラマン&ライターということで名乗っている。
カメラマンは写真を撮る人。
ライターは文章を書く人。
その両方をするからカメライター。
これなら大概の方には職業はわかってもらえると思う。
ただ実はもう1つ、肩書きというか仕事をしている。
編集という仕事だ。
「編集」という言葉は聞いたことあると思うが、
実際にどんな仕事をしているかあまりわからないんじゃないか。
会社は4社変わったけど、編集という仕事をして、もう7年になる。
編集というのは、私なりの解釈でいうと、
本なり雑誌なりビデオなり完成品のイメージを作って(企画を立てて)、
材料を集めて形にする職業、といったところだろうか。
私は紙媒体(書籍、雑誌、新聞)の編集をしているので、
その材料というと文章、写真、データ、イラストだったりする。
そうした材料を、たとえば自分で書いたり撮ったりもするけど、
外注のライター、カメラマン、イラストレーターなどに頼んで、
「部品」を提供してもらうこともある。
その部品を組み立てるために今度はデザイナーに発注し、
実際の紙面を作っていき、最終的には印刷所に渡してできあがりというわけだ。
紙の編集職というと出版社しか思いつかないかもしれないが、
私が勤めているのは出版社ではなく編集プロダクションである。
書籍、雑誌、それから広告記事などは、
ほとんどが編集プロダクションというところに丸投げされるから、
編プロにも編集者がいて、出版社の編集者と相談しながら、実制作を担っている。
本の編集者というのが一番わかりやすいと思う。
本の編集者というと、著名作家から原稿を取りに行くだけの仕事と思われがちだが、
書店を見渡してみればわかるように、
世の中には作家が書いている本の方が多分少ないんじゃないか。
たとえばパソコンの操作の仕方の本だとか、
旅行ガイドブックや飲食店紹介本のたぐい、雑学本、ノウハウ本、資料本などなど。
こうした著者名のない本の多くは、
出版社から丸投げされ編集プロダクションが作っている。
私もかつて学研のお仕事本や資格本、
旅行ガイドブック「るるぶ」の編集をしていたけど、
そこで編集とはどんなことをするかというと、
平たくいうと、すべてのページにどんな内容を入れるか考え、
そのコンテンツ集めの手配をする。
たとえば「るるぶアメリカ西海岸」という本の編集の際には、
シアトルが最近人気だから4ページじゃなく6ページ割こうとか、
大リーグ観戦が人気だから観戦ガイドを巻頭で載せようとか、
そういうことを考えるのが編集の仕事だ。
ところがこの手の丸投げ本というのは、
予算があまりなく、でもいろいろと手配が面倒で結構金がかかる関係から、
編集プロダクションの編集者自らが編集とライターを兼ねる場合が多い。
ページの企画を考えた後、その内容の文章を作るために、
取材したり資料をあたったりして書く。
だから私の仕事も、編集だけというわけでなく、
当然ライター的な仕事も多くなる。
仕事の案件ごとによってその割合は異なるけど、
大概は、編集もライターも両方やる。
というわけで、私は編集という仕事も常時やっているわけだけど、
個人的な活動はライターもしくはカメラマンに限定されていることが多く、
すなわち私は文章なり写真なり「部品」を提供する位置づけで、
私が提供した部品を組み立てる編集者が別にいるわけだ。
普段、自分も編集という仕事をしているけど、
一転して編集は他の人に任せて一ライター、一カメラマンとして仕事をすると、
その編集者によって完成品(書籍や雑誌)のイメージが変わってくる。
編集者から指示を受けて、文章を書いたり写真を撮影したりすると、
自分が気づかなかったことを指摘してくれたり、
自分の眠っている力を引き出したりしてくれる。
今、そんなやりとりをしていてとても楽しい。
会社では仕事上、編集もするし、
さまざまな部品を多くの人を使って手配して集めるという作業は、
わりと向いているとは思っているけど、
編集者とやりとりをしていると、
自分は最終的には編集の仕事をしたいわけじゃなく、
文章を書いたり、写真を撮影する仕事がいいんだなって思ったりもする。
自分がストックした文章や写真をうまく活かして、
それを形にしてくれる編集者の存在が、
私が今後、個人的な創作活動をしていくにあたって、
必要なんだなと思った。
名物編集者のおかげで一作家から名作品が生まれるように、
小林武史という名プロデューサーがいるから、
桜井さんの作詞作曲やミスチルの曲がさらによくなるように。
私が新しくテーマとして撮影している「消え行く街並み、古い街並み」は、
私が考えたものではなく、ある方が助言していただいたもの。
はじめはピンと来なかったんだけど、
昨日、大阪で古い街並みをあちこち撮影しているうちに、
自分の中ですごくしっくり撮影しているというか、
「これって今まで自分がやってきたことと変わりないな」
なんて思えて、時間も忘れて夢中になって撮影している自分に気づいた。
旅行要素もあるし、猫撮影に古い街並みと路地も欠かせないし、
工業地帯撮影もいわば廃れ行くかつての物への視線に変わりないし。
というわけでこれからも真のカメライターになるべく、
精力的な取材活動を続けていこうと思います。
※写真と文章が両方すごい人で、
かつ現代社会の問題点を鋭く分析し、
旅行にも行く作家として理想とするのは、藤原新也さん。
21世紀の藤原新也になるべくがんばります。