古くなればなるほど魅力・価値があがるもの
2007年 04月 28日
流行り廃りはあっという間。
どれだけ最先端を競っても、
どれだけ機能やスペックに凝っても、
次から次へと新商品に追い抜かれ、
商品価値も魅力もどんどん下がっていく。
携帯電話、ファッション、デジカメ、大型ビル、時計、バッグ・・・。
新製品競争しているうちは、
生産者も販売者も消費者もみなジェットコースターのような自転車操業。
次から次へと必死こいて懸命にこぎ続けなければ死んでしまう。
一歩も進むこともできず、ただ回っているだけなのに。
最近、再開発で消え行く町並みや古い町並みの写真を撮影している。
多分、今、それを見せられても、
そこそこ懐かしいなと思いつつ、たいした「価値」は感じないだろう。
なぜならまだまだ世間にあふれているから。
実に不思議な写真だと思う。
今はたいした価値はない。
ところが年数がたてばたつほど、価値が出てくる。
新商品こそすべての消費世の中において、
年月が経つほど価値があがる商品って、ほんと最近では珍しいのではないか。
書籍や写真集を出してお金を得ることを考える身として、
このテーマはそのような意味で実に斬新だ。
たとえば「アイフル元社員の激白」。
もちろん数年は灰色金利問題でいろいろくすぶっていて、
先週も消費者金融大手が1兆円の赤字になるというニュースとかが出ていて、
その度にちょぼちょぼ売れているわけだけど、
やっぱりニュース性・話題性に左右される本だから、
昨年のアイフル全店営業停止というニュースが飛び込み、
マスコミがこぞってサラ金特集を組んだ時の方が売れるわけです。
灰色金利が完全撤廃され、大手サラ金が外資や銀行に買収され、
金融機関の一サービスに過ぎなくなってしまえば、
まあそんなに長く売れ続ける本にはなりにくいだろう。
だからこそ、アイフル全店営業停止というニュースが出て、
2ヵ月で原稿もすべて書き、すぐに本を出すという荒業をやった。
時期を逃すと売れなくなる可能性のある商品だからだ。
工場写真もそれほど話題性に左右されるものではないが、
やはり工場萌えブームになっている今、出した方が売れやすいことは間違いない。
時期によって売れ行きが左右される商品だ。
ところがこの再開発&古い町並みはまったくの別属性。
多分、これを本にまとめたとしてもすぐには売れないだろう。
だって今、出版してもまだ残っているし珍しくないから。
ところが1年、また1年と経るごとにその資料的価値があがっていく。
跡形もなく消え行くからこそその価値があがり、需要が出てくる。
「あの時の写真、撮っておけばよかったな」
「前の町並みってどんなんだっけ?」
その答えがここにあるから。
Think globally, Act locally
大切なものは、意外と目の前に転がっている日常のささいな事だったりする。
だから、大仰なテーマじゃなく、届きもしないはるか遠くのものではなく、
目の前にあるものを丁寧に拾っていけば、
やがてそれが大きな木に育っていく。
大事なものはみなさんの目の前に転がっている。
目の前にあるからその希少性を感じないだけで。
ミスチルの「名もなき詩」みたいだけど(笑)。
さて、そんな私だが、「Think globally, Act locally」は、
ひっくり返してもいいんじゃないかとも思っている。
Act globally, Think locally
行動するのはグローバルに。考えるのは目の前のことを。
世界は近くなっている。
だからこそグローバルな現実をバーチャルじゃなくこの目のリアルで確かめたい。
グローバルに行動するからこそ見えてくる、目の前の問題がある。
たとえば中国の黄砂なんかその1つ。
日本だけで行動し考えていても答えは出ない。
猛烈に発展する中国社会と空気が悪い中国の町を体感してこそ、
日本の目の前に起こっている問題が明らかになる。
ま、いずれにせよ、思考と行動は、
グローバルなレベルとローカルなレベル、
その両面の視点で見ることが大切だということだろう。
海外に行けば何かがわかるってわけじゃないけど、
自分がその中にいてはわからないことがあり、
ちっちゃい、せせこましい日本社会だけが、
自分の世界だなんて思ったら大間違いであることに気づく。
外に出てはじめて内が見えてくる。
というわけで、トラベルカメライターの私は、
Act globally, Think locallyをモットーに、
日本に限らずいろいろなところに行き、
時間的物理的にも制約のあるみなさんの代わりの「目」となり、
グローバルに行動し、ローカルに考えた想いを、
伝えていければなと思っている。
と、そんなわけで、ちょっくらチベットに行ってきます。