2010年 06月 17日
貸金業法改正
平成の禁酒法、改正貸金業法がついに全面施行。

多重債務者を救うための法律?!
冗談でしょ。

私はサラ金に勤めていたが、
サラ金を擁護する気は毛頭ない。
サラ金なんかで絶対に金を借りてはダメだし、
銀行のカードローンだって絶対に利用してはダメだと思っている。
しかしこの改正貸金業法はあまりに欺瞞が多過ぎる。

それについては5月下旬に発売した「サラ金全滅」に、
詳しく書いたが、ここで簡単に紹介したい。

<改正貸金業法の欺瞞>
■銀行はまったくの規制対象外
年収の1/3までしか借りることができない総量規制は、
サラ金会社とカード会社にしか適用されない。
銀行の15%もの高金利カードローンなどは対象外。
もちろん、年収の5~6倍もの大借金、住宅ローンも対象外だし、
自動車ローンや教育ローンなども対象外だ。

銀行で借りようが高金利の借金が対象外になれば、
はっきりいってまったく意味がない。
なぜこんなことをしたかというと、
改正貸金業法は、サラ金とカード会社を潰して、
銀行に儲けさせることが目的だからだ。

銀行は国民から0%に近い金利で金をふんだくり、
15%で貸すあこぎな商売をしようとしている。
そのために貸金業法は改正された。
銀行の高金利カードローンは今、ばんばん宣伝している。
多重債務者問題の解決が目的のためなら、
なぜ銀行も規制の対象にしないのか。
つまり、多重債務者を救おうなんて、
これっぽっちも思っていないのである。

■広告規制はまったくなし
そもそも多重債務問題を悪化させたのは、
高金利でもなく過剰融資でもなく、
借金=悪という風潮をくつがえさせ、
安易に借金ができるようにした広告のせいだ。

かつてサラ金の広告はテレビや雑誌、電車などにはなかった。
だから本当に金に困った人だけが、
後ろめたさを感じながら借りた。

しかし広告不況で新たな収入源を求めたメディアが、
サラ金、カードローンなど借金広告を堂々と載せるようになった。
こうして借金への心理的抵抗感を薄れさせたことで、
借りなくてもいい人が安易に借りてしまい、
どんどん借金を膨らますことになった。

だから多重債務者を救うためなら、
広告規制をすべきである。
18%もの高金利サラ金がタモリを使って、
堂々と広告できることが異常なのである。

例えばソープランドの広告が、
テレビや電車内にあふれかえっていたらどう思うだろう?
サラ金や高金利カードローンの広告が、
表社会に堂々と掲載されることが、
おかしいという感覚すらなくなってしまったその風潮が、
多重債務者予備軍を増やし続けているのである。

総量規制や金利規制の前に広告規制をなぜしないのか。
結局、メディアの儲けはしっかり確保させている、抜け穴法律なのである。

■ギャンブル規制もまったくなし
多重債務者を生む大きな原因はギャンブルだ。
しかしギャンブルは一切規制される方向にない。
ギャンブルをなくせとまでは言わないが、
パチンコや競馬、競輪、FXなど、
賭け金の上限を決めるとか、広告規制をするとか、
安易にギャンブルにはまらない環境を作れば、
どんなに悪徳サラ金があっても、
利用する目的がなくなるのだから、債務者は減る。

多重債務者を生む根本的な原因には目をつむり、
役人の御用聞きライター須田慎一郎のように、
「サラ金がギャンブル資金に貸すから悪い!」と騒いだところで、
まったく意味がない。
改正貸金業法が施行されても、
銀行の高金利カードローンでキャッシングし、
それをギャンブルの資金にする人は規制できないのだから。

結局、多重債務問題の解決なんて、
この法律は考えていない。
バカな国民が銀行から借金し、
破綻しない程度に金を使いまくってくれればいいと思っているのである。

■住宅ローンが諸悪の根源
サラ金というとギャンブルや酒などに使う、
だらしのない債務者が多いと思われがちだが、
そうではない人も多い。
特に多いのが一般サラリーマンで住宅ローンにつまづくタイプだ。

住宅ローンほど恐ろしい借金はない。
年収の1/3どころではない。
年収の5~6倍、3000万円、4000万円もの大金を、
20年30年と長期にわたって借りるのだ。

高度成長期だったらそれでもいい。
なぜなら確実に経済は成長し、
給料は毎年必ず上がり、不動産価格も上昇するからだ。

しかし時代は変わった。
給料が毎年上がるかどうかはわからない。
ボーナスがもらえない年もある。
下手をするとリストラなどで転職を余儀なくされる可能性もある。
こうして収入が前年より減る可能性が多い時代に、
毎月、10数万円もの借金を背負って生きていることほど、
恐ろしいリスクはない。

どんなに生活を切りつめても住宅ローンを払わなければ、
家がなくなってしまう。
家を売って全額返せればいいが、
不動産価格は下がっているので売っても借金が返せない恐れがある。

だからサラリーマンがサラ金やカードのキャッシングに手を出し、
住宅ローンの足しにしたりするのである。
それで返せなくなるから、
自殺すれば保険金で住宅ローンが返済できるから、
切羽詰った債務者は自殺するのである。
サラ金の返済のためなんかじゃない。

ところが住宅ローンは規制の対象外。
終身雇用と年功序列が崩壊し、
不動産価格が下がる一方の日本において、
住宅ローンという仕組みがいいのかどうか、
ここから考え直さない限り、多重債務者はなくならない。

・・・・
いろいろ上げればキリがないが、
ようは本当に多重債務者問題を解決するための、
重要な政策は何もせず、
目先で利用者が借りにくくなる、
総量規制と金利規制をするから大混乱が起るし、
借りれないなら安易にヤミ金に流れる動きが出てきてしまうのだ。

結局、バカを見るのは国民。
儲かるのは銀行と弁護士とヤミ金。
そんな法律が「国民のためだ」というロジックが破綻している。

「国民のため」といいつつ、
いかに既得権益を儲けさせるかに注力した、
既得権益者にとっては素晴らしい法律のからくりを、
拙著「サラ金全滅~過払い金バブル狂乱」(共栄書房、笠虎崇著)に
書いてありますのでぜひ読んでいただければと思います。

ちなみに法改正のタイミングで、
「サラ金殲滅」(須田慎一郎著)が出版され、
書店では目に付くと思いますが、
序文から「日本初の無人契約機はアイフルのむじんくん」などと、
業界常識では考えられない大間違いをしている本のため、
(正しくはアコム)
サラ金=悪、金融庁=善という図式が延々と続く、
従来の善悪論の紋切り型ですのでご注意ください。


by kasakoblog | 2010-06-17 23:41 | 金融・経済・投資


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