閉店食堂の最後の日
2010年 06月 18日
今日で閉店――。
東京・神楽坂の住宅地にある食堂えびす亭。
営業を始めてから25年。
今日、閉店することとなった。
いつも営業はランチのみで1時間半。
普段でも12時半を過ぎると、
「もう今日の分は売り切れちゃったの」
と言われることも多いという。
付近に勤める会社員や住民のお客さんで賑わっていたが、
老夫婦は閉店を決意した。
私はこの店に一度も行ったことがなかった。
神楽坂にいながら住宅地にあるので、
その存在をまったく知らなかった。
同僚がこの店の常連らしく、今日、お誘いの声がかかった。
「仕事じゃないんだけど、写真お願いしていいかな。
閉店する食堂があって、最後だから記念に写真を撮ってあげたい」
喜んで私は同僚と二人で店に行った。
12時20分。すでにお客さんで満員。
ちょうど私と同僚の分で今日のランチは売り切れになった。
閉店を知らずに久々に来たお客さんが、
「えっ、今日、閉店しちゃうの?!」
なんて驚いている人もいた。
すでにランチは売り切れたものの、
最後の日とあってお客さんが来て、
「今日までご馳走様でした」
といって帰っていく人も多かった。
この店最後のランチ定食を食べることに。
ボリュームたっぷりで懐かしい味の感じで、
とってもおいしかった。
もっと前に店を知っていればと思いつつ、
最後に食べる機会を得て、よかったなと思った。
同僚が店の人に写真撮影をしたい旨、告げる。
ちょっと恥ずかしそうな老夫婦も、
他の常連客が「最後なんだから記念に撮ってもらったらいい!」 と声がかかり、
老夫婦二人の写真を撮ることになった。
撮影は一瞬。写真は一生。
記憶は一瞬。記録は一生。
店は閉店になったけど、
写真を見れば思い出や懐かしの味が、
きっと思い出されるに違いない。
最後の瞬間に記録する係になれたことを感謝。