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批判には愛が必要

「業界への深い理解と愛情を感じた」

拙著「サラ金全滅」を読んだ、
ある外資系金融機関の方の感想だ。
「仕事柄、サラ金業界の本をいろいろ読んだが、
笠虎さんの本が最高傑作だと思う」

「最高傑作」はやや甘めにお世辞も含めて、
加点していただいたのかなという感じはするものの、
私の本を読んで「業界への深い理解と愛情を感じた」
というコメントはとても考えさせられるコメントだった。

世の中に「批判」というのは必要だ。
人でも商品でもサービスでも企業でも政治でも、
どんなものにも完璧などないわけで、
常によりいいものになるよう、日々、切磋琢磨している。

いいものになるためには、
外部からの批判が必要だ。
内部からではわからない、
「ここがダメだった」「もっとここを良くした方がいい」
といった批判やクレームや要望は、
すべてとは言わないが、多くの場合、
成長するための大きな糧になる。

しかし、今の世の中にあふれている批判は、
愛情と理解がないものが多い。
メディアにせよ個人ブログにせよ、
批判対象を全否定し、徹底的にけなし、
完膚なきまでに叩く。
そしてそれを見た視聴者なり読者は、
「よくぞ言ってくれました!」とばかりに、
それでうっぷんを晴らす。

役立つ批判というのは、批判対象に対する、
愛情と理解が欠かせない。
「もっとよくなってほしい」と思うからこそ、
エネルギーを使って批判するわけだ。

例えばサッカー日本代表がもっと強くなってほしいから、
サッカーファンが日本代表を批判する。
日本の政治がもっとよくなってほしいから、
ダメなところを批判する。

ところが世の中、愛情と理解がない批判が多い。
愛情というより憎しみだけで批判する。
理解がなく感情だけで批判する。
するとどうなるか。
見当はずれの一時的な批判で終わってしまい、
結果、批判した対象を良くすることに役立たない。

私が出版したのは「サラ金全滅」だが、
同時期に違う著者が出版したのは「サラ金殲滅」。

「全滅」と「殲滅」でたった一字違い。
大筋の結論的には同じ内容で、
ようは改正貸金業法施行を契機に、
サラ金会社が全部潰れるというものだ。
しかし一字違いでニュアンスはまったく異なる。

一言でいえば、
「サラ金殲滅」には、批判対象としている、
サラ金業界への愛情と理解がないということだ。
その証拠に本の序文からいきなり大間違いをする。

「アイフルが日本初の無人契約機を導入」
と書いて私はぶっ飛んだが、
正しくはアコム。業界の常識である。
この一点を見ても、業界への正しい理解がないことがわかる。
外部の人から見れば「アイフルとアコムなんて似てるんじゃ」
と思うかもしれないが、
サッカーでたとえるなら、中村俊輔と松井を間違うぐらい、
まったく意味が異なる。
つまり著者は業界に無知なのだ。

「殲滅」は「滅ぼすこと。皆殺しにすること」という意味だが、
「全滅」は「残らず滅びること」という意味。

「殲滅」の方は悪のサラ金をぶっ潰せといわんばかりのタイトルだが、
「全滅」の方はその状況を感情なしに説明しているだけに過ぎない。
そこに批判としての質の差が歴然としている。
業界への愛情と理解があるかないかだ。

生活をしていれば批判したいことはいっぱいある。
しかし批判対象への愛情と理解がある批判なのか、
それとも叩いてそれを喜んでいるだけの批判なのか。

批判してもいい。
でも批判するなら対象への愛情と理解が必要だ。
それがあれば、きっといい批判になると思う。

「サラ金全滅」

by kasakoblog | 2010-07-23 00:15 | マスコミ

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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