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記憶は薄れるもの

戦争の記憶を薄れさせてはいけない・・・

そうは言うけど人の記憶なんて、
どんどん薄れていくもの。
どんなにすさまじい体験であっても、
時とともに人は忘れていく。
逆に忘却力がなければ人は生きていけない。
いつまでも過去の記憶に縛られ続けていれば、
前に向かって歩くことなんてできなくなる。
だから忘れる力は備わっている。
嫌なことであればあるほど。

だから記憶を薄れさせないために、
写真や映像といった記録が重要になる。
65年前の戦争体験に限った話でなく、
例えば自分が1年前の今、何をしていたか覚えているだろうか?
いや1ヵ月前でも1週間前でもいい。
鮮明に、詳細に覚えている人は皆無だろう。

記憶でやっかいなのは、
自分で覚えていると思い込んでいて、
都合のいいように記憶を修正していること。
仕事上で言った言わないとかでもそうだけど、
人の記憶なんてあてにならない。
間違った記憶をしていることも多い。

だから最近は電話では、
わざわざ待ち合わせのアポとか言って欲しくないわけです。
メールで送れと。
日時、場所が書いてあれば、お互い思い違いすることはない。
いらぬトラブルや思い違いを防ぐことにもなる。

だから、重要なことは記憶に頼るのではなく、
記録に頼ることが必要だ。

「戦争の記憶」といった場合、
それを後世に伝えようと思うのならば、
映像や写真が残っていると、説得力が断然違う。
人はそれを見て、過去の遠い記憶を、
自分の今の記憶に塗り替えることができる。
さらになおその記録を記録として渡すことができれば、
記録を見返すことで、薄れた記憶を取り戻すことができる。

特に今のメディアって過去の重要な出来事は、
どんどん忘れ去ろうとして、
最新のものばかり追いかけていく。
過去の出来事の結果や反省や教訓がないまま、
人々の記憶は次々に最新ニュースに上書きされていく。
それが結果として同じような問題を、
何度も何度も再発させている原因ともなっている。

ネットニュースなんか過去の記事が時が経つと消されてしまう。
あれってほんと意味がわからない。
今や記憶容量のコストはかつてよりも安くなり、
ニュース記事ぐらいだったらどれだけ保管しておいても、
そんなにがさばるものでもないのに、
どんどん消していってしまう。

もったいないなと思う。
過去のニュースこそ人類の宝なのに、
それを消してしまうなんて、
それをユーザーが検索できないようにしてしまうなんて、
戦争の記憶を薄れさせないなんて大仰な主張をする前に、
まずは自分のメディアの過去記事のストックを、
ちゃんと検索できるよう保存し公開しておくことこそ、
人類の平和への一歩ではないかと。

ニュースは新しい物ほど価値がある。
一方、記録は古ければ古いほど貴重になる。
過去の記憶の重要性を考えるのならば、
過去の記憶を丹念に記録しておくことが必要だ。

難しいのは、その時、それがそんなに貴重なものと思えないこと。
日々当たり前のように行われていることは、
それが貴重なものとは思えず、
映像や写真や文書にして記録するほどのものではない、
とついつい思ってしまう。
しかし意外にもそういう当たり前の日常こそが、
時が過ぎてから貴重な記録となる場合が多い。

私もいろんな写真を撮り、いろんな文章を書いている。
今は「普通」のことであっても、
それが時が経つにつれ貴重な記録となるような、
そんなものも撮影し、書いていけたらいいなと思っている。

何気ない日常の記憶こそ、
最も忘れ去られてしまう貴重な記録。

by kasakoblog | 2010-08-15 22:32 | 生き方

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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