オトナ帝国の逆襲
2010年 08月 29日
ジブリ作品に並ぶ世界に通用する、
日本の最高傑作映画の1つ、
クレヨンしんちゃん映画「オトナ帝国の逆襲」。
一度見てその素晴らしさに惚れ込み、
多くの人に事あるごとに勧めてきたけど、
久しぶりにもう一度、映画を見たけど、
ほんと素晴らしい映画だと思った。
何度も何度も見直したい味わい深い映画だ。
過去って美しい。
現在は醜い。
そして未来に希望が持てない。
そんな空気が蔓延している日本。
でもかつて20世紀、高度成長時代は希望に満ち溢れていた。
輝かしい未来。
進歩する科学。便利になる社会。
毎年、上がっていく給料・・・。
義理人情があふれ、
人々が助け合い生きていた時代。
そんな輝かしい過去に大人たちが戻りたいと願う、
深層意識を見事にテーマにした映画。
少し前に「ALWAYS 三丁目の夕日」 が大ヒットしたけど、
“昭和”の懐かしさ、
古き良き時代への回顧をモチーフにした作品としては、
クレヨンしんちゃんの「オトナ帝国」は秀逸だ。
何が素晴らしいか。
それが懐かしい過去を理想視していないことだ。
過去は過去に過ぎず、
人はみな現在は生き、そして未来を生きている。
現在が息苦しくても未来に希望が持てなくとも、
過去にすがりつくのは決して“正しい生き方”ではない。
“オトナになってきれいなお姉さんといっぱいいっぱい付き合いたい”
そんなクレヨンしんちゃんのダイレクトなメッセージが心に響く。
過去にすがりついて未来を閉ざしてはならない。
未来に希望がないから、
懐かしい過去に希望があるのか?
過去は美しい思い出だけが結晶され理想化されやすい。
けどそれを現実に適用することで、
希望を得られることはない。
進歩すること、成長すること、右肩上がりがいいとは思わない。
古き良き昔の知恵を振り返って生かすことも必要だ。
でも過去そのものに戻ることは違う。
過去が輝かしいように未来を輝かしいものにするには、
一人一人が今を精一杯楽しく生きることしかない。
自分の今をネガティブに否定してばかりいないで、
これまでの自分を認め、今の自分を認め、未来の自分を認めてあげる。
物が豊かになり過ぎて、
希望が持ちにくい社会であることは間違いないけど、
食うのに困らない社会だからこそ、
過去より持てる希望の幅は大きいと私は思う。
こんな恵まれた時代に生きていることに、
感謝する力が足りないのだろう。
恵まれていることが当たり前すぎて、
不幸づらしないことには生きられない。
未来に希望を抱けるかどうかは、
社会や政府や国家の問題の前に、
自分一人一人の問題。
大それた目標や夢なんか必要ない。
普通に家族を持ち、生活していけること。
そんな当たり前のことが素晴らしい。
忘れかけた大切なものを見つめ直し、
未来に向かって希望を抱いて生きていく。
みんなが希望を持って生きていけば、
社会も世界も輝かしいものに変わっていくと思う。
そんなことを考えさせる素晴らしい映画。
それがクレヨンしんちゃんの「オトナ帝国」。
素晴らしい映画です。
ぜひまだ見てない方は見るとよいと思います。
クレヨンしんちゃん映画ランキング
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「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
ちなみに懐かしさを思う人たちが多いのか、
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