円高は3社に1社しか悪影響はない事実
2010年 09月 04日
今日のヤフーのトップニュースにあったもの。
なんて恣意的で悪意に満ちた偏向記事なんだろう。
(産経新聞)
3社に1社が悪影響ということは、
裏を返せば3社に2社は影響はないということになる。
もし正当に記事を書くのなら、
円高、3社に2社が「影響なし」
となるはずだが、何が何でも円高は悪だと言いたいがために、
こうしたイメージ見出しをつけるわけだ。
記事本文の偏向ぶりもすごい。
円高が自社の売り上げに与える影響を質問したところ、
「悪影響」とした企業は全体の36・7%にのぼった。
これに対し、「好影響」は6・9%、
「影響はない」は34・9%だった。
まるで悪影響がすごい多い数字のように記事を書いているが、
「影響はない」と「好影響」を足すと41.8%になり、
「悪影響」より多い数字となる。
まったく統計データを見ず、
円高=悪という結論ありきでいかさま記事を書いている証左だ。
この調査は帝国データバンクの企業意識調査によるもので、
新聞のいかさま世論調査とは違う。
調査期間は8月19日から31日で、
全国2万2732社(有効回答企業数1万1578社)を、
対象にしており、かなり信頼できる調査だと思う。
その調査で円高が「影響はない」「好影響」が、
「悪影響」を上回っている事実を見れば、
いかに今のマスコミが騒ぎすぎ、
円高=悪と決めつけ過ぎかがわかる。
このいかさま記事だけでなく、
帝国データバンクの調査データを見ると、実に興味深い。
その1つがこれ。
海外と取引を行っている企業は30.4%、
うち、「輸出」は57.3%、「輸入」78.5%。
海外と直接取引を行っている企業は3割のみ。
あとの7割は直接ないことになる。
つまり直接的な為替リスクがない企業は7割にも上るのだ。
(無論、間接的に為替リスクがある可能性はある。
例えば輸出企業の下請けとか)
さらに興味深いのは、
海外取引を行っている企業のうち、
「輸出」は57.3%、「輸入」78.5%という数字。
輸出より輸入の方がパーセンテージが多いのだ。
つまり、円高になった方が有利になる企業は多いということになる。
無論、悪影響が3社に1社でも、
日本経済にとって大きな影響があることは事実だ。
しかし3社に1社である。
今のマスコミの報道ぶりをみれば、
悪影響があるのは3社に2社ぐらいの感覚ではないか。
まるで円高になったら日本企業のほぼすべてが、
壊滅的な打撃があるみたいな。
前にも書いたが日本の輸出依存度は16.1%で、
先進国のなかでアメリカに次いで極めて低い水準。
韓国45.4%、ドイツ39.9%、中国33.0%に比べたら、
輸出が与える日本企業の影響は極めて少ないといえるだろう。
小沢氏の政治のカネの問題もそう。
円高もそう。
結局、メディアが騒ぐことが悪になる。
でも実態はどうなのか、現状はどうなのか。
きちんと分析せぬまま、
「円高で大変だよね」みたいなイメージが植えつけられる。
そもそもおかしいのは円高になると、
輸出企業がいくら損したみたいな話。
逆に言えば円安の時は、輸出企業は為替によるあぶく銭で、
ボロ儲けしていたわけだ。
それが金融危機が起きる前の数年間。
円安バブルの時だ。
トヨタが空前の利益を上げたように、
円安のおかげで今までさんざんボロ儲けしてきた。
そういう時は儲かるだけ儲けて、
円高になると騒ぐっておかしくないか。
じゃあ円安でボロ儲けした金で、
輸出企業が勝手に為替介入すればいいじゃないか。
だいたい円高問題って今に始まった話じゃない。
日本が変動相場制にシフトして以来、
常につきまとってきた問題だ。
大変だ大変だと騒いでいるけど、
何度もこれまで円高に遭遇したわけで、
特に目新しい危機でも何でもない。
そんなに円高が大変だと騒ぐのなら、
円安にするのではなく、
円高で打撃を受けるような経済構造を変えればいい。
そのために税金を投入するというならわかるが、
円高になる度に政府が輸出企業を助けているから、
いつまでたっても円高が問題になってしまうのだ。
円高が3社に1社が悪影響なんて、
なんていかさま記事なのか。
ちゃんと調査データを見れば、
円高で影響なし+好影響の方が、
悪影響を上回るときちんと報道すべきだろう。
こうやって日本には事実をねじまげた報道が多いが、
多くの国民がそのイメージ操作にひっかかってしまっている。
このバカさ加減を直さない限り、
円高になっても強い日本経済は絶対につくれないだろう。
そのことの方が危機だという意識を持つべきだと私は思う。