チリ救出ニュースにうんざり
2010年 10月 13日
テレビをつけるとどこもチリ落盤事故救出劇の生中継。
日テレもTBSもフジテレビもテレ朝も・・・。
NHKはのんきにドラマ。テレ東は意味不明。
どこも日本のニュースも天気予報もやっていないのか・・・。
私は仕方なくテレビを消し、
パソコンの前に座って、
ニュースや天気予報をチェックした。
おぞましいとしかいいようがない。
民放4局がすべて同じ放送。
日本で起きた事故ならともかく、
チリですよ、チリ。
救出されることは素晴らしいことだけど、
日本の朝のニュースで生中継することの価値があるのか?
しかもほんとどうしようもないのは、
救出方法について詳しく解説している。
どういう順番で助け出すのかなど。
そんなこと、どうだっていい。
いやむしろ私はこれだけ大々的に取り上げるなら、
なぜ33人もの人たちが2ヵ月以上も閉じ込められるような、
悲劇が起きてしまったのか、
その原因を追究する番組ならわかる。
しかしそうした番組構成はまったくない。
なぜ日本のテレビがこぞって取り上げるか、理由は簡単。
視聴率をとれるリアル感動物語だから。
33人の救出をリアルタイムで伝え、
家族の対面やら数ヵ月ぶりの地上脱出やらを伝えれば、
「すごい!」「感動!」という映像が届けられるからだ。
チリの放送局なりが、
ネットを使ってリアルタイムで中継すれば、
全世界に見れるわけで、別にそれだけで十分だと思う。
朝、起きてこれから会社に行く日本人にとって、
チリの救出劇生中継は、
はっきりいってニュースとしてこれっぽちも価値はない。
これから救出作業が始まりますの一言で十分で、
また全員救出されたら報じればいい。
それだけのニュースだ。
感動秘話を伝えたいなら、
ニュースじゃなくスペシャル番組でも夜にでも組めばいい話。
朝、天気予報やニュースを潰して報じるニュースじゃない。
ニュースの軽重判断ができない。価値判断ができない。
というか事実を報じるニュース番組は、
今や日本には存在しないのかもしれない。
事実の上にテレビ局ならではの脚色をいっぱいつけちゃうから。
その点、まだ新聞の方が信用できる。
チリの救出劇は素晴らしいことだ。
しかしなぜ悲劇が起きたのか。
未然に防げなかったのか。
他の鉱山で同様の事故が起きる可能性はないのか。
安全性に問題はなかったのか。
そういったことを報じるならまだしも、
1人目救出、2人目救出、3人目救出って・・・。
これがG20で集まった各国首相が閉じ込められて、
その救出が始まるというのならともかく、そうではない。
ワールドカップの試合だって野球の日本シリーズだって、
放送するのは1局だけで、
重要な試合だからといって全局放送されたら、
やっぱりそれはそれで「迷惑」だし「意味がない」わけです。
生中継するなら民放1局だけにして、
他は通常のニュースを放送すればいいのに。
結局この国はチャンネル数があったところで、
番組の多様性などない。
チリの救出劇は素晴らしいが、
日本で報じるべきニュースはないのか?
無罪の国民を脅迫によって有罪に陥れる、
北朝鮮並みの恐怖国家・日本の検察問題は、
たった3人逮捕されただけで幕引きしてしまうのか?
83円であれだけ大騒ぎした円高は、
今や81円台なのにチリ救出劇にうつつをぬかす一貫性のなさ。
仮に海外ニュースならハンガリーの汚泥問題の方が深刻だろう。
その後、どうなったのか、
大きな影響が出るニュースだけに、
それを報じるのならまだわかる。
だからテレビはダメなんだ。
そんな典型のような日だった。
ただしばらくたつとテレビ朝日では、
先週に引き続き、「円高は悪ではない」という特集を、
理路整然とやっていてよかったが、
ずっと生中継画像が映っていてうざかったが。
そういえば中国ではノーベル平和賞に、
反体制分子が受賞した途端、
テレビが真っ暗になったという。
日本だって似たようなもの。
国民が怒れるニュースは報じず、
「よかったね!」なんて言える、
人畜無害なチリ人救出ニュースで画面を映し出すことで、
日本の現実の問題から目をそらし、
国民の批判をかわす・・・。
こんなことを繰り返して愚民を量産すれば、
政治家や官僚は国民を騙すのはちょろいものだ。