2010年 10月 15日
潰れる企業を助けたことがあだ~経済のことがよくわかる
イマイチ経済が回復しないのは、
「金融危機後に潰れる企業を助けてしまったせいだ」
という説がある。
「えっ、企業を助けて何が悪いの?」と思うかもしれないが、
一体、なぜこんな説があるのか、
わかりやすく解説しよう。

人間の体にとって血液の循環が大切であるように、
経済にとっては金の循環が大切だ。
経済危機や金融危機というのは、
金がどこまで止まってしまう現象。
そのままでは死んでしまうから、
金がうまく世の中に流れるよう、
金融緩和策=金利引き下げ政策=金じゃぶじゃぶ政策を、
どこの国も行った。

企業というのは金をぐるぐる回している。
金が回っているうちは借金があってもいい。
しかし危機が起き、売上が急減した途端、
黒字であっても企業は潰れてしまう可能性がある。
金が回らなくなるからだ。

売上があってそこから賃料払ったり電気代払ったり、
みなさんの人件費払ったり、銀行への借金返したりしている。
つまり金を右から左へと流しているわけ。
それがどこかで少なくなったり、止まってしまったりすると、
息詰まってしまうわけです。

こうした不景気特有の状況を解決するために、
いわば政府が政策によって世の中に「輸血」するわけです。
どうやってするかって簡単。
金が回るように、金の“値段”を下げるわけです。

金の値段=つまり金利を下げる。
今まで100万円借りると10万円の金利を返さなくてはいけなかったのを、
金利を引き下げ、100万円借りたら1万円の金利だけでいいことにする。
するとどうだろう?
企業は借金しやすくなるわけです。
銀行も貸しやすくなる。
こうして不景気で滞った血液を循環させるべく、
金融緩和=金利引き下げを行い、
企業に「輸血」を行い、健康体になってもらうわけです。

しかしこれがアダになってしまった。
本来、もう生き延びることができない死ぬはずの企業までも、
人為的に強力な「輸血」によって寿命を延ばしてしまったせいで、
病院はいっぱい。
そのせいで、病院が機能麻痺を起してしまい、
社会がうまく循環しなくなってしまった。

それが今の日本の経済状況。
だから足踏みしたまま止まってしまっている。

もし死ぬはずの企業まで金融緩和によって助けなかったら、
企業は死ぬ代わりに、社会に新陳代謝が生まれ、
その企業が持っていた資産が安く社会に再分配され、
次の世代に引き継がれ、社会が活性化する起爆剤になった。

ところが死ぬ企業を生かしてしまったため、
その企業の資産を処分できず、
社会の循環が止まってしまったのだ。

実はこれ。如実に出ているのが不動産業界。
不動産業界は日本も2007年をピークにミニバブルが起きていた。
なぜバブルが起きていたのかというと、
金利を引き下げ、世の中に金がジャブジャブしていたから。
とっくに日本は低金利政策をやめるべきだったのに、
いつまでも輸血し続けるもんだから、
世の中に金があまりすぎちゃって、
使い道がないから不動産投資に金が流入した。
そのせいで不動産価格が高騰し、
でも需要がないことがわかりバブルが崩壊した。
まさに教科書に書いたようなアホな失敗を、
日本はしたわけです。

本来この不動産バブルで不良債権をためこんだ企業は、
いい加減な経営状況で倒産すべきはずだった。
実際にあまりにひどいところは何社か潰れた。
でも政府が金融緩和政策で金をジャブジャブしたせいで、
死ぬはずの不動産企業が何社も生き残ってしまい、
そのせいで世の中に処分品として出るべき不動産が出なくなってしまったのだ。

潰れるはずの企業が金融緩和政策により、
新たに低金利で資金調達できれば生き延びてしまう。
そのせいで持っている不動産などの資産を売ることもなく、
ゾンビのように生き延びているせいで、
現在、いい不動産が世の中に出ず、
金はジャブジャブあるし、不動産を新たに購入して、
将来の成長につなげようと考えている企業が、
ゾンビ企業が不動産を手放さなくていいために、
買えなくなってしまって、
市場が冷え込んでいるという現状がある。

超低金利や超金融緩和のせいで、
企業の新陳代謝が起きにくくなってしまったことが、
今、景気が足踏みしている状況なのだ。
今朝の日経新聞にも「退場すべき企業は救済せず淘汰すべき」
「超低金利政策は百害あって一利なし」という記事が出ていたが、
まさにその通り。

潰すべきものを潰すべき時に潰さないと、
潰れないものまで沈没してしまうのだ。

政治とは全員を助けることではない。
できるだけ多くの人を助けることだ。
政治にすべての人が満足する政策なんてない。
何かをやればデメリットになる人もいる。

金融危機という大台風が来た。
10人以上乗ったら沈没してしまう。
今、乗っているのは13人。
3人、船から降ろせば10人は助かる。
この時に非情かもしれないけれど、
すでにもう先が長くない人を選び出し、
3人は悪いけど船から下りてもらい、10人を助ける。
これが政治(船長)判断だ。

ところが3人切り捨てようものなら、
「船長は非情だ」「みんなで生きよう」なんて批判する人が出てくる。
結果、台風にもかかわらず、
みんなを助ける判断をしてしまったがために、
13人すべてが10日後に沈没して死んでしまう、
それを選んだようなものだ。

みんなが生きれる方法があればいい。
しかし3人死んで10人生き残るか、
13人死ぬか二者択一の選択しかなければ、
政治とは本来、みんなの幸福ではなく、
最大公約数の幸福を選ぶのが使命だ。

金融緩和ジャブジャブ政策のせいで、
死ぬはずの3人が生き延びてしまい、
そのために後の10人が元気になれなくなってしまった。
これは明らかに政治的には失敗だ。
(道徳的問題はさておき)

低金利政策の金ジャブジャブによって、
死ぬはずの企業が生き返り、
また一瞬のバブルが生じて、
さらにそれがはじけてさらなる深刻なダメージを受けるという、
負のスパイラルを繰り返している。
どこかで英断して断ち切らない限り、
みんな沈没してしまう。

家電エコポイントやエコカー減税もしかり。
衰退企業を救ったせいで、
その分のツケがすべてに覆いかぶさり、
ポイントや減税が終わればその反動がくるという、
最も愚かな政策を行っている。

じゃあ何をすべきか。
まったく無意味な、というか有害な、
超低金利政策はやめ、金利を引き上げるべきだ。
今朝の日経の記事によれば、
金利が3%あがれば日本人の国民所得は44兆円増えるという。

こういうと「貯金がある金持ち優遇ではないか」と、
バカな質問をしてくる人がいるが、
貯金がある金持ちの収入が増えて金を使うようになれば、
それは消費を生み需要を生み、
それによって貧乏人の雇用や給与も生まれることになる。
目先の損得で考えてはならない。
なぜなら金は天下の回り物だから。

今、超低金利政策で金がじゃぶじゃぶしている銀行は、
金が困っている中小企業や個人には貸さずに、
日本国債ばかり買い込んでいる。
超低金利で借りやすくなった大企業は、
現預金で200兆円以上もためこんで、
金を一切使おうとしない。
つまり超低金利政策は歴史的大失敗なのだ。

金利を上げればそれによって痛みを伴う人は出るかもしれない。
しかしその痛み以上の波及効果があれば、
いずれは多くの人を救うことができる。

政治とは国民全員を幸せにするためにあるのではない。
できるだけ多くの国民を幸せにするためにある。
180度発想の転換を行えば、
日本はバブルではなく不健全な形ではなく、
きちんとした実需を伴った形で再活性化するだろう。

潰れるべきものは潰し、淘汰しない限り、
いつまでも社会にウミが沈殿し、
社会に閉塞感が漂うばかり。

いい加減、超低金利政策の誤りを認め、
金利引き上げ政策に転じるべきだと思う。

ちなみに、日本や米国が金融緩和をやっているせいで、
今、インドネシア、フィリピン、タイ、インドの株式市場がバブル化している。
またしても金融緩和がバブルを生み、
それが崩壊することによって、
社会に大打撃を与えるという悪循環が行われている。


by kasakoblog | 2010-10-15 21:20 | 金融・経済・投資


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