「話がしたい」とメッセージを送ってきてくれた、
どちらも24歳の女性の方にそれぞれお会いした。
土曜日に会ったAさんは、
4年間勤めた会社を来年に退職することを決めた。
すでに職場には伝えている。
理由は前にできなかった海外留学をするため。
彼女の不安は「留学して何か得るものがあるのか」
「留学して自分は変われるのだろうか」という点にあった。
私は断言した。
「会社を辞めるという決断をし、
留学するという決断をした時点で、
すでに自分は変わっている。
だから留学で何かを得られなかったとしても、
別に問題はない。
この決断によって人生は大きく変わっているのだから」
私が会社を辞めて長期旅行に出かけたのも、
ちょうど彼女と同じ24歳の時だった。
3ヵ月間、アジアを旅行した。
多くの人からこう聞かれた。
「3ヵ月も旅行していたら、
考え方とか価値観とか大きく変わりましたか?」と。
正直、3ヵ月旅行したからといって、
私の気持ちに大きな変化はなかったし、
具体的に何かを得たといったような“成果”はなかった。
だから私はいつもこう答えていた。
「旅行に行ったから価値観が変わったというより、
会社を辞めて旅に出るという決断をした旅行前に、
すでに私の考え方や価値観は変化したと思う」
私が90日間の旅行初日に思ったことは、
「ほんの少しの決断力と、ほんの少しの非常識さえあれば、
誰だってこんな自由な旅に出れる」ということだった。
そう。旅行に行ったから人生観が変わるんじゃない。
旅行に行くために会社を辞めるなんていう、
「非常識」な決断をした時点で、
人はもう変わっているのだ。
だから自信を持っていい。
具体的に何かを得られなかったとしても。
今までの人生におさらばし、
自分のしたい道を歩む信念を行動に移せたのだから。
よく会社を辞めたいという人がいる。
辞めたいなら辞めればいいじゃないかと思う。
辞めないなら、会社でがんばればいいじゃないかと思う。
会社を辞めないのに辞めたいといって、
いつまでも居残り続ける人は、
自分の仕事に言い訳しているに過ぎない。
辞めるか、がんばるか。2つに1つしか道はない。
それが自分にとっても会社にとっても、
取引先や客や同僚や株主に対しても、
責任ある態度だと思う。
彼女は会社を辞めるという決断をした。
私はそれだけで素晴らしいことだと思う。
終身雇用が崩壊したとかいったところで、
やはり会社を辞めるにはそれなりの勇気や覚悟がいる。
辞めるときっぱり決断できたことは、
相当な信念なり考えなりがないとできないことだ。
会社を辞めない方がいいのか、辞めた方がいいのかは、
実はたいした問題じゃない。
辞めたいと思ったら辞めれるのがいい。
それだけに過ぎない。
4年間も勤めていれば、相当、居心地はいいはずだ。
仕事も慣れていて、そんなに苦労はしなくとも、
日々は流れていくはずだ。
しかしそこに彼女は疑問を持った。
このままでいいのだろうかと。
このまま、なわなわで、ぬるま湯につかったまま、
年を重ねていけば、いつか後悔する日がきてしまうのではないか。
やりたいことをするなら若いうちがいいんじゃないか。
そう思って決断した。
素晴らしいことだと思う。
「留学したってたいしたことは身につけられない」
という人もいたという。
結果はそうかもしれないけれど、
自分でやってみなきゃわからない。
自分で実際にやってみて「留学は意味がなかった」としても、
「意味がなかった」ことがわかれば、
それが十分な成果だと私は思う。
やりたいことをやったけどダメだったというのと、
やりたいことをやらずに、
ダメそうだからやらなかったとでは、
まったく意味が違う。
どうしてもしたいことがあるのなら、
早めにした方がいい。
ずっと我慢して、日常を過ごしていると、
いつかその想いが爆発する。
我慢してできないとストレスがたまり、
毎日が不満だらけになる。
我慢したまま自分をごまかし続けると、
いつか「あの時やっておけば」と一生後悔する。
失敗してもいい。
やりたいことをやればいいんです。
そして失敗したらそこから得るものはたくさんある。
そこで軌道修正をすればいい。
やらずに失敗しなくても何も得ることはできない。
結果が大事なのではなく、
自分で考えて決断し行動することが、
人生において何より大事だと思う。
※日曜日にあった24歳の女性は、
すでに会社を辞めて新たな道を歩み始めていますが、
その話はまた後日。