事前の一策、事後の百策に勝る
2010年 11月 27日
素晴らしい言葉だなと思ったので紹介します。
意味は読んで字のごとく。
事前に1手だけ打っておく方が、
事後で100手打つより有効ということ。
転ばぬ先の杖も同義ですよね。
前もって用心していれば、失敗することがないように、
何か問題が起こる前に、
たった1つだけ準備なり手を打っておけば、
万が一、問題が起きても、
相当、未然にいろんなことが防げるわけです。
いや、そんなこと、言われなくてもみんなわかってるんです。
でもできない。
事前の一策を面倒くさがって、
事後の百策に奔走し、
「ああ大変だった」「ああ不運だった」なんて、
膨大な無駄な時間をとられ疲弊する。
なぜできないのか。
それが問題が起きていないから。
だって転んでもいないのに「杖を買え!」
って言われても、多くの人は買わないでしょう。
「そんなもん、いらないよ」
「ジャマ」
「っていうか転ばないし」
「転んだってたいしたことないでしょ」
「転んだ時に考えればいいんじゃない」って。
でもいざ転んでしまったらさあ大変。
事前に杖を買っておく代金の数倍以上の金を払って、
治療をしなければならず、
そのせいで予定に狂いが生じたら、
時間もロスすることになる。
「いらなくてもいいから杖、買っておけばよかった」
と思ったところで後の祭り。
結局、人はこうして事後の百策に奔走する。
今の日本の政治なんかがまさにそう。
事前の一策ではなく事後の百策。
景気が悪くなったから大変だって騒いで、
事後の百策を打ったところで、
結局、莫大な借金と税金を使っても、
たいした効果もなく、終わってしまう。
ならば景気がいい時に、
事前の一策、打っておけばよかったのにと、
そういうことになりかねない。
山登りなんかまさにそう。
何事もなければ何ともないコースでも、
万が一のことを考えて、
食糧を多めに持っていくとか、
防寒着を多めに持っておくとかする。
その事前の一策が、
もしかしたら命が助かるかどうかの、
分かれ道になるかもしれない。
無駄かもしれないけど、
事前の一策をしておく。
それが山の達人でありプロなんじゃないかと。
山登りの初心者も実はそんなに心配はない。
だって自分で失敗してるから。
だから無駄になるかもしれないけど、
念のため準備をしておこうと、
事前の一策をしておく。
一番、危険なのは中途半端な経験者。
ある程度、山登りの経験があるから自信もある。
その経験から「いやこの山は大丈夫だし、
重くなるからそんなにいらないよ!」なんて、
かっこいいこといっちゃって事前の一策を怠ってしまう。
怠ってもそれで何事も起こらないことの方がほとんどだろう。
でも山の天気は想定外に急変したりする。
そうなった時に事前の一策を怠ったツケは、
事後の百策になって襲ってくるわけだ。
でも多くの人は自分勝手な都合のいい解釈しかしない。
「想定外だった」
「あの時は特別だった」
こうして人は失敗した経験を活かせないまま、
めんどくさいというたったそれだけの理由で、
時に命を落とすところまで行く。
そこまで大げさな話じゃないけど、
旅行なんかしてるとそんなことばかり。
たとえば先月行ったヨーロッパ。
私は何度、事前の一策をしなかったことを嘆いたか・・・。
そのせいで事後の百策に追われたことか・・・。
ウィーンで撮影した日のこと。
1日撮影を終え、店がいっぱいある町の中心部で食事をとり、
さあホテルに帰ろうと思った時に迷うわけです。
この町の中心部で水とかジュース買ってた方がいいか。
それとも地下鉄乗るのに荷物になるから、
ホテル周辺の店で買えばいいのかと。
そこで私は町の中心部で買い物して、
地下鉄で移動するのは荷物が重くなるので面倒だし、
どうせウィーンという大都市なんだから、
ホテル周辺にだって店はあるだろう、
と思ったのが大間違い。
ホテル周辺に店がない。
いや店はあるんだけど18時過ぎで、
もうどこの店も閉まってる。
ホテルのドリンクバーを利用すればいいけど、
店で買うより3倍ぐらい高い値段をとられると思うと、
「どうせ店、すぐ見つかるだろう」なんて思って、
歩いていたがぜんぜん見つからず、
結果、ホテルから15分以上も歩いて、
1軒の小さな店を見つけ、水とジュースを買えた。
ヨーロッパでは店がない、トイレがないとかがよくある。
だから事前の一策を心掛けないと、
後で大変な目にあう。
無駄になるかもしれないし、面倒になるかもしれないけど、
水は買えるところで事前に買っておくようにした。
どんなことでもそうだけど、
何か始める前にほんのちょっとだけ準備しておけば、
なんてことない問題も、
その準備を面倒くさがったせいで、
後で大変な面倒と徒労をする可能性は結構ある。
にもかかわらず人が事前の一策をできないのは、
「どうせ大丈夫だろう」という根拠のない楽観と、
「今、面倒くさいし」というどうでもいい理由と、
「問題が起きなければ問題と思えない」という、
想像力の欠如が原因だろう。
そのために後で大変な騒ぎになる。
だから、事後の百策より事前の一策。
事前に転ばぬ先の杖を準備しておく方が、
事後に転んでから対応に追われるのより、
100倍ラクなんだから。
賢い人は事前の一策を行う。
愚かな人は事後の百策に追われる。
そこで時間やコストの無駄に100倍の差が生じるわけだ。
仕事でもプライベートでもそうだけど、
「事後の百策より事前の一策」と自分に念じて、
事前の一策をやっておくよう心掛けたい。