衰退産業でも起死回生できる例
2010年 12月 18日
どんどん売上が減り、
競争できるのが価格しかないから、
きりのない値下げ合戦をし、
人を採用しないから、残った社員が奴隷のように働かされ、
でも給料は上がるどころか下がる一方で、
しかもこの先、会社が存続するかもわからないにもかかわらず、
何もせずに今の状況のままで働いている。
しかしそんな会社や業界にしがみついていても、
仕方がないと思うが、ではどうすればいいのか。
超衰退産業にもかかわらず、
うまくビジネスモデルを転換して、
生き残りを図ろうとしている企業例を紹介しよう。
あなたが勤めている会社が、
こういう工夫ができているなら、
残ってがんばる価値はあるだろうし、
そうではなく値下げだけで気合いで営業回れ、
みたいな旧態依然たる会社は先はないと考えた方がいい。
その企業例とはクレディセゾンだ。
セゾンカードのカード会社。
この企業、はっきりいって従来のビジネスモデルのままなら、
はっきりいって倒産するしかない。
なぜなら利益の半分をカードキャッシング、
すなわちカードサラ金で稼ぎ出していたからだ。
私のサラ金関連の著書では何度も指摘してきたが、
サラ金並みの25%以上の超高金利で、
金を稼いでいたのはクレジットカード会社だ。
しかしご存知の通り、今年、貸金業法が改正され、
20%以上の高金利で金は貸せなくなった。
だから私は「サラ金全滅」と書いたわけだが、
カード会社もスマートなふりしたサラ金会社に過ぎないわけで、
高金利キャッシングで利益を50%以上も稼ぎ出していたのが、
法改正によって利益が急減することは目に見えている。
大打撃なのだ。
セゾンカードはご存知の方も多いかもしれないが、
・年会費無料
・西友で買い物すると5%OFF
・ポイントを永久不滅
など、カード利用者にとっては、
この上のないありがたいサービスを提供してきたわけだけど、
そんな格安戦略ができたのも、一部のバカ者が、
25%以上もの高金利で借金をしてくれるおかげだった。
そのビジネスモデルが恣意的な法律改正で完全に崩壊してしまったのだ。
だからクレディセゾンの名物社長、林野氏は、
ことあるごとにメディアに出て、貸金業法改悪を叫んでいた。
しかし改正されてしまったため、
もう生き残る手立てのないどうしようもない状態になった。
このまま行けばカード会社はどんどん業績が悪化する。
そこで彼らが考え出した戦略が、
ショッピングモールへの転換だ。
つまりカード会社が楽天やアマゾンのようなIT会社に、
衣替えしようとしているのだ。
クレディセゾンでは「永久不滅.com」というサイトを立ち上げ、
そこで買い物するとポイントがいっぱいつく仕組みを考案した。
カード会社にとっては、できるだけカードで買い物すれば、
店から手数料が入ってくる。
しかしこのネットサイトの狙いは、
単に店からの手数料収入を増やすためだけでなく、
各提携ショッピングサイトからアフィリエイト収入も得るという、
二重の収益構造にした点だ。
私ははじめ不思議に思った。
「永久不滅.com」経由で例えば本を売っている「bk1」で買い物すると、
ポイントが4~5倍もつくのである。
普通なら「bk1」のサイトに行き、そこでカード決済すれば済むはず。
しかしわざわざ「永久不滅.com」を通すと、
ポイントが格段に増える。
一体、こんなことしてクレディセゾンは潰れないのだろうかと思ったら、
何のことはない。
経由することで「bk1」からアフィリエイト料をもらい、
その収入の一部をポイントとして還元しているのだ。
こうして単なるカードサラ金会社に過ぎなかった、
衰退産業のカード会社は、
カードとポイントという2つの武器を生かし、
法改正で収益が見込めないキャッシング依存モデルを転換し、
ショッピングモールでのカード手数料とアフィリエイト収入で稼ぐという、
新たなビジネスモデルに転換したのだ。
これならどうだろう?
この先、クレジットカード市場は縮小するだろうし、
キャッシング=サラ金の収益も激減するだろうが、
ネットショッピングは今後伸びる可能性ある市場だ。
しかも手数料の二重取りができ、
その中から消費者に還元できるポイントのえさをまくことで、
他社との優位性を確保できる。
これぞ自社の強みを活かしつつ、
時代に合ったビジネスモデルに転換していく、
見事な事例だと思う。
衰退業界だろうが衰退企業だろうが、
発想を変えれば生き残る道は十分ある。
問題は時代に合わせたビジネスモデルの転換を、
経営層が判断できているかどうか。
先日、衰退業界の社長がきて、
「いや~厳しいですよね~。
もうどんどん紙からネットの時代ですよね~」
なんていってて、
ああ、この企業はもう終わったなと思った。
そんな時代だからこそ大きく舵を切らなければならない。
それをやるのが社長の仕事なのに、
自分はいい歳で逃げ切れるから、
リスクを犯してまで新しいことに挑戦する勇気はないと、
堂々と取引先に宣言してる。
ここで働いている社員はかわいそうだなと思った。
というか辞めた方がいいなと。
トップがこれではただ船が沈んでいくのを待つだけだと。
クレディセゾンの例が成功するかはわからない。
しかしこれまで通りのビジネスモデルではダメだということを認識し、
でも自社の強みは活かしつつも、
うまく新たな収益源を確保しようとしている。
そういうビジネスモデルの劇的な転換努力を、
今、あなたが働いている会社がしているかどうか。
もしくは自分で考えてそれを実行しようとしているのか。
恣意的な法改正によって、
ビジネスモデルを叩き潰されたわけだから、
相当な怒り、憤りを持っていることは、
私も「サラ金全滅」で取材したからわかる。
でももう恨みつらみを言ったところで、
どうしようもないのであれば、
ビジネルモデルを転換していくしかない。
ところが多くの企業では、
気合いと根性でかんばれみたいな、
どうしようもない脳ミソのない上層部が多いために、
これから先、何十年も人生がかかった、
若い社員たちが奴隷のように働くとばっちりを食らっていて、
でも若い社員たちは奴隷でいられることにすら、
幸せを感じて、懸命にしがみついているけど、
そんな先の見通しのない会社にしがみついていても、
はっきりいって死を待つだけだ。
うまく業態転換を行っている企業に転職するか、
もしくは企業内で自分が率先して、
ビジネルモデル転換の案を出してそれにがんばるか。
そのどちらかでない限り、
もはや今まで通りのがんばりでは、
給料もあがらず、休みなく働かされ、
挙句の果てにリストラか倒産するかもしれないという、
どうしようもない道しか残されていない。
工夫してがんばっている企業はいくらでもある。
どうせがんばるのなら、
先がない企業で自分の時間、労力を使うのではなく、
先があるかもしれない企業でがんばりたい。
社会人とはただがんばればいい、だけではダメ。
がんばる先をきちんと見極めたい。
それが個人が生き残っていく方法。
いつまでも国家が悪い、社会が悪い、
だからどうしようもないではダメなのだ。
生きるための方法を真剣に考えたい。
