アジアン・ジャパニ-ズ3
2001年 01月 26日
このアジアン・ジャパニーズ・シリ-ズが人気を得た理由は、企画性のおもしろさにあった。
ヒットとなったアジアン・ジャパニ-ズ1では、
旅先で出会った長期旅行をしている若者に、なぜ旅をしているかをインタビュ-し、
その半年後、日本帰国後、彼らが何をして暮らしているかを再びインタビュ-するという、
その2段構えの構成がおもしろかったのだと僕は思う。
日本が嫌になって漠然とアジアを旅している若者を旅先で取材。
しかもそのインタビュ-ア-である著者自身が、取材者と同じく、
日本が嫌になって旅に出てきた若者の一人であるということが、より対象に迫った内容となっていた。
書評「アジアン・ジャパニ-ズ3」小林紀晴
社会からドロップアウトした若者の取材だけにとどまらず、彼らが日本に帰ってからどうしているかまで追ったところが、
ただのおもしろ旅本とは違った企画で、人気を得た要因であったと思う。
今回の3は、沖縄各地の島に、本州からドロップアウトしてきた若者を取材したもの。
ただそれだけで、前回のような追跡取材はない。
沖縄→故郷の諏訪→沖縄→タイと旅をしている、その構成の脈絡のなさが気になった。
沖縄の間に入った故郷諏訪の話は、別にここの話とはあまり関係ない。
ただ著者自身が沖縄の旅の合間に、7年に一度行なわれる祭りのために故郷に帰っただけの話。
もちろん、一冊の本に沖縄の話と諏訪の話を入れてある意味を持たせるために、
海と山の対比であったり、沖縄にドロップアウトした若者たちや自分も含めて、
「帰る場所-故郷とはどこなのだろう」という問いが含まれているのだろうが、
深く掘り下げた一つのテ-マになるには、あまりに不十分な内容だった。
もう一度、著者が売れる以前に出した力作を期待したい。
アジアン・ジャパニーズの特性であった、2段構えの構成はおもしろかったのにな。