消えた重大事件
2001年 02月 20日
「誤報か?」と思ったぐらい信じられないニュースが飛び込んできた。
アメリカのイラク爆撃である。
原潜事故が取り沙汰されている最中に起きた、このあまりに唐突な事件に、
マスコミは「原潜事故のすりかえだ」と糾弾する。
最近になって湾岸戦争はアメリカの全くの陰謀だという説が、テレビなどで特集されている。
石油を確保するためにサウジアラビアに常駐軍を置くための口実だ、というのである。
しかしその当時は、悪の化身フセインを叩く正義の警察官アメリカとしてしか映されなかった。
現に湾岸戦争勃発後、アメリカの世論は全面的に大統領・政府を支持した。
経済低迷の続いていたアメリカは、軍事問題を勃発させることによって、国内世論を操作したのである。
それに比べて今回の爆撃はあまりに唐突で、意図が見え見えで批難の声が高い。
しかし、と思う。
アメリカのイラクへの爆撃は原潜事故のすりかえだと糾弾する日本のマスコミも、
重大な国内問題である日航機事故の究明をほっぽりだして、
アメリカ=悪、日本=善という単純な図式の原潜事故に、話題をすりかえているのではないか。
国内で起きた重大な日航機事故が、原潜事故が起きた途端、新聞のどこにも、テレビのどの場面にも登場しなくなった。
確かに原潜事故は大きな問題であるが、日航機事故の原因の究明も非常に大事なことではないか。
パイロットはわけのわからん人権論を盾に、多大な犠牲が出た客をほったらかしにして、
事故の究明に当たらず、管制塔が単純なミスを犯したことに対する問題やその解決も全くされていない。
以前として事故現場では航空過密状態が続いており、一歩間違えばまた同じ惨事が起きる可能性を秘めているのだ。
日本のマスコミは、アメリカがイラク爆撃で問題をすりかえたと糾弾する資格はない。
複雑で面倒な日航機事故の報道はせず、
アメリカを悪とすれば簡単に国民の関心を惹ける原潜事故ばかりを報道するのは、
マスコミの怠慢であり、メディアという強大な権力を使った横暴である。
こんな不健全なマスコミ報道に、日々無意識に慣らされているのだという危険性を認識することすら難しくなっている。