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沢木耕太郎の旅展(1)

つい先日、藤原新也の旅の軌跡展(長野県駒ケ根美術館)に行ったばかりだかが、
今度は「深夜特急」で有名な沢木耕太郎が旅展(世田谷文学館にて4/8まで開催)をやっているという。
いちよ「旅展」と名がついているだけあって、「深夜特急」関連のものが中心に展示されていた。
彼が26歳の時(1974年)に旅した当時のパスポ-トやら、
その時出会った旅人と交換したアドレスのメモ書きだとか、コインだとかが残されていた。
最近の旅行の写真も展示されていたが、彼が「深夜特急」の旅最中に撮った数少ない貴重な写真も展示されていた。

彼の写真の特徴は、意図的でない日常風景を撮った写真が多いということ。
非常に素人のスナップ写真に近い感じだが、当たり前のものをカメラに収めるという作業は意外に難しい。
その彼の写真のスタンスには、あるがままを書くノンフィクションライタ-としての視線が感じられる。
だから藤原新也の写真のように、思わず立ち止まって見入ってしまうということはない。
藤原新也の写真のような圧倒的な迫力はない。
どこかで見たことのある当たり前の光景が広がっている。それが彼の写真の特徴であり良さなのだ。

入場した来場者は、旅の日常的な写真に「沢木耕太郎が撮った写真なのだ」ということからかぐっと見入っていたが、
きっとこの手の写真は1点1点をじっくり眺めるよりは、
旅の順序にしたがってぱっと見ていった方が、旅の雰囲気をつかめるのではないかと思う。
彼らが立ち止まって見ているのは、写真を見入っているのではなく、
写真の下につけられた「深夜特急」の著作からの対応部分の抜き書きを、一言一句漏らさず読んでいるからだ。

僕が写真を見た中で一番印象的だったのは、インドのアシュラムでの子供たちの写真だった。
「深夜特急」の中でも特に印象深い話であったアシュラムで、まさか彼がしっかり写真を撮っていたことが驚きだった。
著作で描写されているように、親に捨てられ共同生活を送る子供たちの表情が、ありありと写真によって伝わってきた。
こんな貴重な写真をよく取っておいたなと感心した。

by kasakoblog | 2001-04-04 02:10

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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