Mr.Childrenのこの一曲
2001年 05月 30日
すべてと答えるわけにもいかないし、かといって一曲に絞るのは相当難儀なことである。
大ブレークした「inocent world」もいいし、未だに名曲として名高い「抱きしめたい」。
20世紀最高のラブソングともいうべき「名もなき詩」に、壮大なテーマを歌い上げた「終わりなき旅」に、
最新シングル「NOT FOUND」まで、もう名曲をあげたらきりがない。
でもそんな中で僕が一曲だけ選ぶとしたら、アルバム「DISCOVERY」に収録されている「I'll be」を文句なくおすすめしたい。
「I'll be」はアルバムバージョン、ライブバージョン、そして全くテンポの違うシングルバージョンと3タイプあるが、
歌詞が最も心に響いてくるのはアルバムバージョンだろう。
閉塞された社会の中で、もっと自由に生きていけば、唯一の光を信じて生きていけば、
きっと目の前には無限の世界が広がっているんだよ。
「心にしてたアイマスクを外して」やれば、きっと目の前に自由な世界が広がっているんだよ。
一人一人の人間なんてほんとちっぽけな存在だけど、「明日はないぞってな具合に」開き直って力強く生きていこうよ。
失敗する事もある。うまくいかないことだらけだけど、「何度へましたっていい」。
不安や迷いや悩みを抱えながらも前に向って歩いていこうよ。
矛盾を背負い込みながら、決していい時代に生きているわけじゃないけど、もっと素直にもっと自由に生きていこうよ。
そんな意味の歌詞が、桜井君が伸びやかに自然につぶやくように歌っている。
はじめに聞いた時に、鼻歌かと思ったぐらい実に伸びやかに歌われている曲。
後向きな自分を素直に押し出させてくれる曲。
それは桜井自身が悩みや不安を抱えながらも、前向きに生きていこうと必死にもがいている様子が、
ファンにもよくわかるからではないだろうか。
「旅立とう 明日はないぞってな具合に」「当たり障りのない道を選ぶぐらいなら 全部放り出して」
この歌詞を聞いた時、僕は会社を辞めて旅に出ようと決心をつけた。
僕を旅立たせてくれた曲。
いいことばかりを描いた夢物語や理想論ではなく、こんなにも内向きで現実を見据えた上での力強い曲というのは、
桜井君でももう二度とは作れないだろうというぐらい、人生の一過程におけるある局面でしか書けないものだろう。
何度聞いてもこの曲には心が打たれる。