病
2001年 05月 25日
もしかしたらそれは「不治の病」かもしれない。
発病してしまうとどんな薬や治療でも治らない、どうしようもない病。
それはサイクル的に時期をおいて襲ってくる。
この病が発病するともう僕はいてもたってもいられなくなる。
そう。その病とは「旅の病」である。
旅への衝動が発作となって周期的に立ち現れて僕を苦しめる。
治す方法はただ一つ。
実際に旅に行くことである。
そんな話を同じ会社に勤めているバックパッカーと話をしていた。
「そろそろヤバイ!もうだめだ。襲ってきちゃったよ。持病が」
「いやあ、僕もそろそろ限界っすね。どこかで息抜きしないと発狂しっそうすよ」
そんな会話を赤坂のオフィスで交わしてはいるが、二人の頭の中を駆け巡っているのは、
インドの大地に沈む真っ赤な夕日であったり、満天に輝く星降る夜空だったりするのである。
「世界を知ってしまうこと」というのはある意味では不幸なことであるかもしれない。
まずいラーメン屋しか知らない人間は、普通のラーメン屋で満足できるが、
うまいラーメン屋を知っている人間にとっては、普通のラーメン屋はまずく感じるかもしれない。
無限の自由と異国の素晴らしさを知らなければ、旅に出ようなどとは思わないが、
それを知ってしまった旅人は、旅への夢想に悩まされる。
とびきり美人とつきあったことがある人は、その後につきあう人がぶさいくに見えてしまうかもしれない…。
「旅の麻薬」
僕は日常と非日常との折り合いをどうつけて生きていったら良いのだろうか?
そろそろ病が爆発すると思った僕は、早急に緊急手当てを行うことにした。
6月12日からわずか5日間だが、旅に出ることにした。
それで一時的には旅の病の発作は収まることだろう。
あの1999年の長い旅以来の、久しぶりの海外一人旅へ。
さてさてかさこ氏の次なる目的地はいかに?