『ラッフルズホテル』村上龍著
2001年 05月 23日
村上龍って、でぶでぶさいくなくせして、妙にかっこつけたいきがったおっさんで、
小説の中身といったら、世間のうわっつらをすくっただけのものだとどこかで思い込んでいたが、
この「ラッフルズホテル」は実に奥深い、よくできた小説で、どんどんのめりこんで読み進めていった。
旅行記を中心とした、基本的に自分の体験したことをベースに物を書いている僕にとっては、
村上龍の小説を読んで、小説って実に自由な世界なんだなとあらためて思った。
書き方もそれぞれの登場人物を一人称にして物語を進めていく手法は、
常識かけはなれた不思議な本間萌子という女性が登場するからこそ効果的だ。
何が本当の世界で何が嘘の世界なのか。この世の混沌を象徴的に描いた素晴らしい作品。
カメラマンが死人なのかそれとも女優が死人なのか、ラストシーンでの逆転現象はとても印象的だった。
ちなみに映画にもなっていて、早速ビデオ屋で借りてみてみた。
小説の方がはるかにおもしろかったが、小説を読んでからビデオを見ると、
ビデオの言葉足らずがイメージできてよいかもしれない。
また他の作品も読んでみたいなと思えた作品にはじめに出会えてラッキーだった。