一つの時代のキーワードとして「古くて新しいものを」という提言を行っている。
そんな矢先にこんな新聞記事が掲載されていた。
「新古書店」ーつまりは古本屋の大流行についてである。
「新古書店」とは聞きなれない言葉だが、従来の古本屋と違うのは、
顧客から買い取った本を研磨機で磨き、きれいにして売るのが特徴なのである。
はじめてブックオフに入った時の驚きを僕は忘れない。
本のきれいさ・美しさに「ここは新書店なのか?」と見間違えたほどである。
新聞記事では新古書店の流行より、作家の著作権の問題にウエイトを置いたものだったが、
「作家の生計が成り立たぬ」と新聞で騒ぐほど、この新古書店の流行具合がわかる。
ただの古本屋だったら、いくらデフレ時代で倹約しているといっても人は本を買わないだろう。
買い取った本をきれいにして売るという、まさしく「古くて新しいものを」安く提供することによって、
これだけのブームを巻き起こしているのだろう。
人々が求めているものは新しいチーズではない。
もう世界には新しいチーズなど無いかもしれない。
今、時代に求められているものは「古くて新しいもの」なのだということが、
新古書店の流行からも容易に推測できるだろう。