なぜ女性の転職は難しいか
2011年 01月 15日
せっかく雇ったのに、
出産する、子育てする、親の介護をする、
といった理由で、
長期に仕事を離れざるを得ない時がくるかもしれない、
もしくは、そのために労働時間に制約がでるかもしれない、
もしくは、任せられる仕事が限定されるかもしれない、
さらには、それを機会に仕事を辞めてしまうかもしれない。
そう考える採用担当者が多いので、
20代後半から30代の女性の転職は極めて難しい。
同じ年代の男性であれば、
前職で5年から10年ぐらいのキャリアを積み、
そのキャリアを生かした即戦力として、
転職の選択肢はそう狭くはない。
ところが女性の場合は違う。
せっかくキャリアをある程度積んで、
転職しようと思った20代後半から30代は、
男性以上に十分なキャリアがあって能力は高かったとしても、
世間一般の常識から見れば、
「雇ったのに1年後に出産して辞めますとか言わないよね?」
という目で見られ、採用に難色を示される。
いくらここで女性が、
「私は一生独身でやっていくつもりです!」とか、
「私は結婚していますが子供を産むつもりはありません!」
とかいっても無駄だ。
まずそれを信用する採用担当者はいない。
まず間違いなく「ほんと?」と疑われてしまう。
本人はそう思っているかもしれないが、
結婚や出産や相手次第で考えは180度変わる可能性もある。
親のプレッシャーから結婚や出産に前向きになる可能性もある。
何より女性自身が年をとってくると、
「やっぱりこのままでは」と結婚や出産に前向きになる可能性もある。
企業としてはせっかくお金をかけて採用活動を行い、
かつ時間とお金をかけて仕事を教えたのに、
出産や子育てを理由にあっさり退職されたら、
時間も金も無駄になる。
退職しなくても時間に制約があったら、
仕事を頼みにくくなる。
だから能力の高い30歳の独身女性と、
女性より能力が多少劣る30歳の独身男性がいたら、
男性の方を採用する可能性が高いのだ。
こうした状況を「不公平だ」とか、
「企業が悪い」とかいっても始まらない。
自分が企業の採用者だったらどう思うか、
逆の立場に立ってみたらいかに合理的な判断かがわかるだろう。
じゃあ女性の転職は絶望かといったらそうではない。
2つの救いの道があると思う。
1つは女性の方が向いている仕事が、
今は圧倒的に多いということ。
一次産業や二次産業ではなく、
今はサービス産業が多い時代。
やっぱり男性より女性の方がいいよね、
という仕事はいっぱいある。
コールセンターのような電話対応は、
男性より女性の方が絶対に客の受けはいい。
接客だって男性より女性の方が客の受けはいい。
そもそもあまり金を使わない男性より、
金を使う女性客相手の商売が多いので、
同じ女性が接客してくれた方がいいと思うことは多数。
そう考えると、実は女性の方が、
職業選択はかなり有利だと思う。
だから転職するなら女性有利の仕事にする。
男性とかちあうような仕事になれば、
先ほどの出産リスクや子育てリスクの論理で、
採用が難しいが、
男性より女性を求めている仕事なら、
女性同士の能力の差で採用が決まるから、
自分に力があれば転職は難しくないだろう。
もう1つの道。
それはフリーでやるなり、
自分で会社を設立してやる方法。
フリーになれば、仕事量や時間は自分でコントロールできる。
出産しようが子育てしようが、
会社勤めじゃないから、
自分の力量次第でうまく時間管理、仕事管理すれば、
仕事も出産も子育ても両立できる。
私がいる編集業界では、
圧倒的に女性の方がフリーや会社設立している人が多い。
小さな子供の子育てしながら、
仕事をするデザイナーさんもいるし、
妊娠を契機に会社設立して編プロを立ち上げた編集者もいる。
取材でもよく女性社長を取材するが、
起業したきっかけは、子育てと仕事を両立するため。
普通に考えれば、会社にいた方が安定していると思いがちだが、
日本の企業は女性には冷たい。
もし業績が傾き何人かリストラしなければならないとなれば、
違法だろうが不公平だろうが、
現実的には家族を持つ男性が優遇され、
女性を優先的にリストラする可能性が高い。
そんなリスクを抱えて会社にしがみつぐらいなら、
自分でフリーランスもしくは会社を立ち上げ、
同じ仕事をした方が10年、20年先も安定できる可能性が高い、
と考えるのは極めて合理的な判断だ。
こうしたことから、女性のフリーランスが多いのだと思う。
不公平かもしれないが残念ながら、
今の日本の労働環境や労働風土は、
男性優遇、女性差別がそこかしこに残っている。
それに不満をいっても現実は変わらないし、
制度を変えたところで日本お得意の建て前だけで、
中身はぜんぜん伴っていないケースも多いので、
それだったら上記のような2つの選択肢を考えるのが、
女性が仕事もしながらプライベートも充実させる方法だと私は思う。
東京少女撮影や就職相談、転職相談などで、
20~30代女性には何十人となく会っているが、
仕事と家庭と自分のこの先の人生のバランスを、
どううまくとっていくか、
すごく悩んでいる女性が多い。
確かに悩む要因は多いけど、
そのなかでうまくやっている人もいる。
女性こそ会社にしがみつく生き方・働き方でなく、
自分のスキルを活かした働き方ができるチャンスと捉えて、
自分にとって仕事も家庭もうまくいくいい落とし所を、
見つける努力をしてほしいなと思う。
