2001年 07月 28日
タクシー代(かさこ金融道)
<1>
4500万円の融資を成立させ、その媒介業者は5%225万円の手数料を無事せしめた。
そんなこともあって、その町金媒介業者から、「食事でもどうですか?」という誘いがかかった。
あやしい業者のその手の誘いは今まで断ってきたが、
この業者はいい人そうな人ばかりだったので、ちょっと警戒しつつも行くことにした。

50歳過ぎの町金2人と60歳過ぎのそこの社長と僕の4人で、
夕食ということで焼き肉屋に連れて行ってもらった。
韓国本場の焼き肉屋のせいか、聞いたこともない珍しいメニューがあったりして、
なんかそれだけでもカルチャーショックだった。

ほんと遠慮なくたっぷり焼き肉を食べさせてもらい、当然のごとくおごってもらい、
「じゃあ、次に行きましょう!」と連れていかれたところは、韓国人スナック。
韓国人ホステスに囲まれて、韓国語が飛び交い、韓国語のカラオケが店に響き渡る。
これもまた社会人1年目の僕のとっては、こんな空間があるとはカルチャーショックだった。

夜22時半に2次会が終わり、今日はこの辺でということで、
ことごとくおごってもらったお礼を重ね重ねいう。
すると「かさこさん、家はどこですか?」というので「市川です」と答えると、
「じゃあこれ、少ないですけどタクシー代に」と社長が胸ポケットから封筒を取り出して、僕に押し付けた。

僕はあっけにとられていた。
だってまだ電車もあるし、全然帰れない距離でも時間でもない。タクシーで帰るなんて発想が僕には全くなかった。
「いや、電車で帰れますので」といって封筒を返そうとしたが、どうしてもこれだけは受け取ろうとしない。
あまりにこちらが丁寧に返そうとすると、逆に礼儀知らずのやつといった感じで社長が不機嫌そうな顔をする。

そこで部下の50歳過ぎの一番温和なおっちゃんが、
「かさこさん、これだけは社長の気持ちなんで受け取ってください」というので、
さすがにこれ以上固辞するのは失礼だと思って、受け取ることにした。
「まだ電車で帰れる…」と思いつつも、タクシー代を受け取って電車で帰るわけにもいかず、
タクシーに乗って別れを告げた。

<2>
これが接待されるということなのか…
1年目の若造が、町金のおっちゃんから接待される。なんだか奇妙な構造だ。
それにしてもタクシーなんか乗ったらいったいいくらお金がかかるんだとそればかり心配して、
少ないといっていた封筒をのぞきこんだ。
するとそこには…1万円札が10枚入っていた。

タクシー代にしては多すぎる…。これはまずい。
これでは融資担当者へのバックマージン代わりになってしまう。
これはもらうことは絶対にまずい。とはいうものの今更返すなんてどうやったらいいのだろうか?

一瞬、もうもらってしまって返せないのだから有意義に使わせていただこうかなどという考えも思い浮かんだが、
やはりこの金をもらって使ってしまうにはあまりに恐すぎた。
給料が20万円なのに、こんな形で10万円もらってしまうと金銭感覚が狂う。
それだけではなく、こうして融資が無事成功した時はいいが、
もし融資できなかった時には、逆にこちらが謝罪をしなくてはならなくなる。
これはまずい関係だ…。

タクシーが自宅前に到着し、封筒からではなく自分の財布から料金を払うと、
僕はなんだか憂鬱な気分になってきた。
接待を受けるだけでも相当な問題なのに、10万円現生でもらうのはまずすぎる。
どうにかしなければ。

つづく


by kasakoblog | 2001-07-28 18:23 | 金融・経済・投資


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