「丸亀日記」藤原新也著
2001年 08月 13日
身辺雑事から社会の構造・精神を見透かしたような文章は、
実に鋭く、今、読んでもはっとさせられるものを含んでいる。
しかし著者は、その社会に対する痛烈な批判を、
かつて「東京漂流」でやった時のように直接的にはしていない。
自分が町を歩く「丸亀」という設定によって、批判的文章が軽妙な語り口にすりかえられている。
しかし語り口が変わろうとも著者が一貫して主張することには変わらない。
それは僕なりにいうなら「アンドロメダ」である。
つまりは「身体の危機」だ。
銀河鉄道999で、星野哲郎が、機械の体を求めてアンドロメダめざして旅するように、
現代社会は、人間という動物的制約を超えて、機械化帝国を作り上げようとしている。
機械に囲まれた社会で「身体」が崩壊すれば、やがてそれは精神を蝕ばんでいく。
人間性の危機、機械化への危機が日々進行しつつあるのだ。
1年あまり警鐘を鳴らし続けた著者の声は届いたのか?
社会はいまだ悪化の一途を辿っている。
つぶやきでこんなことが書ければなと、見本にしたい本だ。
