モーニング娘。にみる現代資本主義社会
2001年 08月 30日
後藤真希という圧倒的人気を誇る主役を早くも交代させ、新メンバーの石川梨華を大抜擢。
交代劇の早さに唖然とさせられるが、これは消費者の半歩先を行くマーケティング思考のなせる技だ。
さらにそれだけにとどまらず、新たにメンバーをまた入れるという。
「え、もう?」と消費者の先を行く展開は、「飽きられる」という強迫観念から生まれたものだろう。
増え続け、常にメンバーを変え続けられなければ生き残れないひ弱な存在。
資本主義の回転の早さを物語っている、メンバーの若年齢化。
今回の新メンバーオーディションの最終候補者の中で最長年齢が15歳という異常な程の若年層へのこだわり。
それはやはり、いかに飽きられることを恐れているかの決定的な証拠なのだ。
完成された大人より、未完成の若い子の成長の分を期待できることから、
その間は消費者に飽きられないとの計算がみえみえだ。
新しい人間を入れることによって、低レベルの中にも競争原理を導入し、危機感を煽る。
今の「自分のため」世代にとって、その向上心を煽るには他人と競わせるのが一番だという、
若い世代の心理を知り尽くした非常に巧妙な手口で、
実力ないグループの人気を保とうと必死に努力している姿がうかがわれる。
今の時代、音楽的にいかにいいものを作っていくかということはさほど重要ではない。
いかにコマーシャリズムに乗せて商品として流通できるものを作っていくか。
そういった観点で徹底的に作られた商品こそがモーニング娘。なのだ。
ずば抜けた才能に満ちた個人ではなく、そこそこのメンバーが集まって組織力で勝負するというスタイルは、実に日本的。
今でこそイチローや中田英寿、宇多田ヒカルなどという圧倒的個人力の持ち主の活躍が光るが、
所詮、日本は圧倒的な個人より集団主義なのである。
そういう意味ではいろんな個性が必要とされ、かわいくて抜群の歌唱力とダンス力を持ったエリート集団ではなく、
サブキャラ、名脇役を織り交ぜたメンバー構成で、バラエティー感・おトク感を消費者に訴える。
セットで買えば安いよ。
モーニング娘。とは、徹底的に現代資本主義経済のマーケティング戦略にのせられた商品なのだ。
つんくは「音楽」プロデューサーなどではなく、金儲け企業の営業企画部長といった役回りに過ぎない。