平和ボケ
2001年 09月 15日
誰もがアメリカの惨劇「バベルの塔」崩壊なる悲喜劇、
「ニューヨーク世界貿易センタービル」倒壊事件に心を奪われていた。
アメリカ全土で最高度の警戒体制がひかれ、非常事態宣言が発令された。
そんな事件のあった翌朝の出来事だった。
外国の要人や外国大使館などが集まる赤坂の町。
その駅でやけに威勢よく何かを配っている人の姿が見えた。
誰もが「ひょっとしてまた何か事態が急変したのか?」と号外かと思い近寄っていたが、
それはなんと、今日からオープンする新装開店のレストランの広告だった。
誰もが「チッ」と舌打ちし、吐き捨てるようにもらってしまったチラシを投げ捨てた。
「この非常事態に紛らわしいことすんじゃねえ」
スタッフは気にすることなく、深夜まで臨時ニュース番組に釘付けになっていた庶民の寝起きを狙う。
数日前に日本や韓国でのアメリカ関連施設でテロが行われるかもしれないという情報があったそうだ。
そして大規模な同時多発テロがアメリカで起きた。
アメリカを全面支援する態度を示した日本にだって、同種の危険がないとは言いきれない。
そんな状況下で、あのチラシの配り方をみるにつけ、
日本人というのはとことんバカだなと思った。
※ちなみにお隣の国、韓国の警戒体制は目を見張る。
アメリカ大使館には自動小銃を構えた警備が24時間体制で引かれ、
テロ対策訓練をマスコミ向けに公表した。
常に戦争への危機意識を持っている韓国は全く違うんだな。
<2>
日本のアメリカ同時テロ事件特集ニュース番組で、実に不思議だったのは、
我々日本人にとっては突飛だと思われたこの事件が、
普段見もしない中東専門家いわく「当然の流れで起きるべくして起きた事件」だという。
アメリカのこれまでの外交対応にアラブ諸国は反発は強めていて、もう怒り爆発寸前だったというのだ。
おいおいそんなニュース聞いてないよ、と日本人は思ったに違いない。
ムードの流されたいい加減なニュース構成しかしていない今の日本では、
毎日、テレビやら新聞やらネットで国際情勢ニュースが垂れ流されていたにもかかわらず、
その危険を事前に指摘するようなマスコミもなければ、中東情勢の分析を行ったマスコミもなかった。
事件が起きてから「あれは当然の帰結だった」と後から言われてもな。
それは詐欺ってもんだろう。
いかに日本のニュースが役に立たない方法と構成で報道されているかが明らかになった。
これは対岸の火事ではない。
いつかはわが国にも降りかかってくるだろう重大なテロ事件だ。
しかしこの国は、自分のわが身にその危険が実際に起こらなければ、いつまでたっても他人事なのだろうな。
そういう態度でいるから、普段は偏ったニュースしか報道されないし、
翌日、平気で新装開店のビラをまるで号外のごとく配れるのだ。
新宿高層ビル群に飛行機でも突っ込まない限りは、自分の問題としては考えられないのだろうな。
残念なことに。