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死を想え~新宿歌舞伎町ビル爆発事件

誰もがあの場に巻き込まれていても不思議ではない。
"死を想え"
死とは誰もが常に隣り合わせにあるもの。

<1>
金曜日ー働いている人間にとってこの曜日は特別な意味を持っている。
次の日もそしてその次の日も休みであるという、1週間で最も楽しい日なのだ。
僕も金曜日を満喫していた。
夜23時過ぎに帰ってきてから、ホームズのビデオを見たり、パソコンでできるファミコンゲームをやったりと、
明け方5時過ぎまで起きていた。
次の日が休みだという解放感から、時間を気にせずやりたいことを好き放題やっていたのだ。

そろそろ寝ようかと思った時、もう朝のニュースが始まっているのだなと、
何気にテレビをつけると、何やら異常事態らしき自体が起こったらしい。
「21人死亡」という明け方のニュースに、飛行機の墜落か、オウムの再来か、
はたまた無差別殺人かと、食い入るようにニュースを追った。

「今朝1時ぐらいに起きました新宿歌舞伎町雑居ビルでの爆発火災事故によりまして、
現在死亡者21名、重体23名・・・」

「信じられない」というのがまずはじめの感想だった。
カメラに写しだされた小さなビル、そこでの火災で、しかも寝てたわけではない人たちが、
たった一瞬にして約40名近くもの人が死んだり重体になるだろうか?
逃げれるのではないか。火災程度なら5,6人の死亡で済むのではないだろうか。
そんな疑問がよぎったのだ。

しかし事態は深刻だった。
深夜で誰もが寝ていたところに起きた事件ではないにもかかわらず、
しかも老人や子供といった被害者ではなく、成人男子が逃げれずいとも簡単に死んでしまっている。
こんなに簡単に死と隣り合わせに生きている社会に住んでいるのかということを強く感じさせられた。

事故があったビルは麻雀屋と風俗店だというから、僕には関係のない話だなと思うが、
たとえばそのビルが居酒屋であったりカラオケ屋であったとしたら、
僕だってたまたま金曜日、次の日休みだからと、
誰かと新宿で飲んだり歌ったりしていることは考えられなくもないことなのだ。

恐ろしい。
ショッキングだった。
たまたま誰かと金曜日の夜にオールナイトで飲む約束をしていたら・・・
そのビルが爆発したとしたら・・・
あっけなく死亡である。

<2>
「死を想え」
死を意識してはじめて生を生きられる。
死を身近に感じることは大切なことだし、死があるからこそ人間は限りない人生を悔いのないように生きようと思う。

僕は決して生死をさまようような病気ではなかったが、
重症なインフルエンザにかかって予定した旅行に行けなかったときに、
ふとこのまま死んでしまうなら、自分の好きなことをやってから死にたいと思った。
そう思うと、素直に自分の好きなこと、やりたいことが見えてくる。
だから会社を辞めて旅に出た。

でも今回の事件はあまりに悲惨だ。
こんなにいとも簡単に殺されてしまう社会に生きているとすると、
「死を想え」なんて悠長なことを言っていられないかもしれない。
一寸先は闇。こんな世の中くそ食らえだと呪いの呪詛を浴びせたところで危険なことには変わりない。

現代社会は死に満ち溢れている。
疫病が流行る世の中でもなく、旱魃や日照りで農作物不足で死ぬ世の中でもなくなり、
医療は発達して寿命は80歳ちかくまで伸び、飢餓することもなくなった。
しかし私たちはとんでもないところで、いや常に死と隣り合わせにある社会に生きている。

地下鉄に乗ったらサリンを撒かれて死ぬかもしれない。
地下鉄に乗ったら脱線事故で死ぬかもしれない。
新宿にいたらビル爆発で死ぬかもしれない。
道を歩いていたら交通事故の危険。
小学校にいたらいきなり切り殺されるやもしれず、
仕事で働きすぎて過労死するかもしれず、
病院で患者を間違えられて治療ミスで死ぬかもしれない。

自然死は減ったが、人工死があまりに増えすぎた。

私たちは死をまっとうすることは難しくなった。
突然襲いかかる死は防ぎようがない。どんなに健康に気を配っていたところで・・・。

死に美学は無くなった。
考えてもみなさい。
たとえば今回の事件で死亡した人は、
「フーゾク店なんかにいって死んでしまった」「マージャンなんかやってて死んでしまった」ということになる。
どんなに立派な人でもお葬式の時に、
「あの人、フーゾク店いっててそこで死んじゃったのよ」とやっぱり思われてしまう。
無差別殺人も過労死にも医療ミスにも、そこに死の美学はなくなってしまった。

誰もがフーゾク店なんかにいて突然の爆発事故で死なんて迎えたくないだろうにな。
「死」は尊いものでもなんでもなく、天寿をまっとうするなんて偉そうなことではなく、
突然わけもなく襲いかかる不運そのものの代名詞と堕した。

by kasakoblog | 2001-09-02 15:45 | 生き方

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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