ニュータイプの時代がやってくる
2001年 11月 04日
ニュータイプであるかさこは、アイフル入社以来、
新人とは思えないめざましい活躍で、将来を有望された。
しかし本人は不満だらけだった。
能力がある分、残業せず少ない時間で成果をあげているのに、
給料としては、営業成績が半分しかない人のほうが、残業している分、
給料を多くもらっているという矛盾が存在する。
ボーナスでS査定されたところで、基本給が少ないからどうしようもない。
能力のない課長からバカの一つ覚えみたいに「ありがとね」と言われるだけで、
仕事をさらによりよく向上させていくための、関係部署や取引先との調整は一切してくれない。
仕事上でさらなるレベルアップをめざして、
こんなことができれば会社は儲かるのにと良かれと思ってしていることを、
本部の堅い頭、役所的怠慢気質、現場を知らない人間によって踏みにじられていく。
こうなってくると仕事がバカらしくなる。
ニュータイプのかさこには、そういった組織上の欠点よりもさらなる野望があった。
こんな仕事で成果をあげ、昇進し、給料をもらうより、
自分のやりたいことをしたいという想いだった。
そういって、スピード昇進の地位を捨て、
旅に出て、以前の業界とは全く別の仕事へ転身した。
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ちょうど僕の一つ年上の先輩で、やはり同じように成績優秀な人がいた。
彼もその能力ゆえに上司や部下に不満を言ったが、
だからといってこの会社を辞めようとか、他の業界に転職しようなどという気持ちは持っていなかった。
会社に文句を言いながらも、なんだかんだいって会社の人間なのだ。
彼は今年、超スピード出世で店長に昇進した。
僕はその事実を聞いて衝撃を受けた。
もし僕が会社を辞めて旅に出るという決断をしていなければ、
僕は今、同じような境遇になってもおかしくないからだ。
彼が今、店長になっているということは、
僕もあの会社にそのまま残っていれば、店長になっていたかもしれない。
60才過ぎの嘱託社員や中途採用の経験のある年上社員を、
わずか入社5年目の店内で最年少社員がまとめなければならないのだ。
自分自身のレベルアップややりたいことの実現なんかより、
組織を管理する人間としての日々で終わってしまうだろう。
管理職への昇進。
もうこうなってしまったら、地位と安定を手に入れるかわりに、
途方もない「夢」を語る資格を失ってしまうことだろう。
もし僕があの時、会社を辞めなかったら、
きっと今ごろ、会社にいいように使われる店長になっていただろう。
自由と解放、 夢と希望は、若かりし頃の青春の思い出となり、
会社のくびきにつながれた待遇の良い奴隷にならざるを得なかっただろう。
<3>
どちらの人生が良かったのかはわからない。
今でも僕にはそれがわからない。
もしかしたら大会社の中で昇進する平凡な人生こそが幸せなのではないかと思うことはある。
でも僕にはそれは納得がいかなかった。
今は大きな時代の過渡期にある。
旧来の価値観は崩壊し、常識は覆る。
そんな時代の変革期に、従来の幸せを追い求めたとしても、
時代や社会に裏切られることは明らかだと考えているからだ。
今はそんな時代じゃない。
新しい時代を生き残っていくには、多様な価値観とサバイバル精神が必要なのだ。
常識にとらわれない心。先を見据えた迅速な行動。
どんなに馬鹿げたことでも、やりたいと思ったことを貫く意志。
どんなに安泰だと思われる組織や団体など、もうこの時代には存在しない。
だからこそ、組織に頼った力ではなく、個人の技能が大切になるのだ。
今、まさにニュータイプ時代の到来なのだと思う。
組織からつまはじきされている、迫害を受けるニュータイプ。
しかし今こそニュータイプが主役となる時代が訪れようとしている。
中田の苦悩や、僕の苦悩は、もうまもなくすると解決されるだろう。
社会は変わる。
今まさに変わろうとしている。
世代間闘争が起き、新たなるニュータイプが時代を作るのだ。