ユニクロ的商売は5年で終わる
2001年 10月 30日
圧倒的な安さと、それでいて品質とデザインもよいことで、
あちこちでユニクロの袋を持ち歩く人を見るようになった。
一時は店の入場制限をするほどの盛況ぶりだった。
ユニクロの代名詞となった「フリース」が、今年も980円という安さで売り出された。
新宿の店に行ってみると、もう店中がフリースだらけ。
なくなりもしない大量のフリースを前に、その安さゆえに、客は群がりそして行列を作っていた。
経営努力をしない従来の店とは違った手法が、これだけの成功を生んだのだろう。
しかしユニクロの成功の秘訣は、実は大したことではない。
ユニクロの製品のほとんどは中国製だ。安さの秘訣はここにある。
先日テレビでやっていたが、中国工場のユニクロの従業員の1ヶ月の給料は15000円である。
日本の人件費に比べたら10~15分の1で済む。
だからこそあれだけの安さを実現できるのだ。
中国の物価は安い。
ほんとその安さに2ヶ月近く中国を旅をしていた僕は助けられた。
チンジャオロースやマ-ボー豆腐が70円ぐらい。ラーメン一杯が30円ぐらいなのだ。
このユニクロ商法の成功を見て、めがね業界でも中国製にすることにより価格を格安化しているという。
このような商法は、しばらくは各業界で続くだろう。
(逆に中国製の物価の安さのせいで、セーフガードと称して輸入を制限したのが野菜だ。
これだけ物価が違えば、超格安の野菜が入ってきてしまうと、
国内の農家がつぶれてしまうということで、政府が規制を強いたのだ)
しかしこういった海外との賃金格差を利用した商法は、残念ながらせいぜいあと5年が精一杯だろう。
というのも、中国は今、毎年脅威的な高度成長を遂げている。
いわば日本の歴史を辿っているわけで、確かに今は工員の給料は15000円で済むだろうが、
高度成長により、物の値段も人件費も、物価すべてがアップするのは必然。
もし5年後に工員の給料が仮に倍の30000円になったとすれば、
ユニクロのフリースは980円で売ることは不可能になる。
しかし逆に日本の経済は慢性的デフレ状況がまず間違いなく続くので、
今は980円で格安感があるが、5年後には980円では格安感がなくなっている可能性が高い。
そうなると、今のユニクロ商法はまず間違いなく成り立たなくなるだろう。
世界経済の発展の不均衡を利用したコスト削減による商法は、
もう5年か10年もすればなくなるだろう。