同級生で親友のかずお君と一緒に考えて書いた。
同じ社宅にいる1年生のしゅん君から同級生のまちこちゃん宛てのラブレターをかずお君が書き、
まちこちゃんからしゅん君宛てのラブレターを僕が書いた。
そう、はじめてラブレターを書いたのはいたずらだったのだ。
しゅん君をからかってやろうと、かずお君と作戦会議を練った。
何かおもしろいからかい方はないだろうかと思いついたのが、このラブレター作戦だった。
しゅん君宛てにまちこちゃんから好きですというラブレターを僕らが勝手につくってポストに入れる。
一方、まちこちゃん宛てにもしゅん君から好きですというラブレターをつくって同時にポストに入れる。
両方の手紙には、今日の16時に自転車小屋の裏で待ってますと書いておいた。
今日の16時になってその二人が会ってどうなるか、
僕とかずお君でこっそり見たらおもしろいだろうという、すばらしいアイディアなはずだった。
お互い、自分が書いてもいないラブレターを読んで勘違いして会いに来る。
こんな天才的ないたずらをよくぞ思いついたと、僕とかずお君で大喜びし、
自転車小屋の片隅に隠れて、じっと二人が現れるのを待っていた。
実に稚拙だった。
僕はまちこちゃんからしゅん君に宛てたラブレターを担当したわけだが、
女の子の筆跡っぽくするわけでもなく、太い黒のサインペンでレポート用紙にラブレターを書いた。
そしてかずお君も、全く同じペンと紙でしゅん君からまちこちゃん宛てにラブレターを書いた。
こんな稚拙なラブレターを二人が本気にするわけはなかった。
ポストに投函されたラブレターはあまりに唐突すぎたし、不自然すぎた。
結局このいたずらはすぐにばれ、お互いの両親から僕とかずお君の両親に話がいき、
僕ら二人は、しゅん君とまちこちゃんに謝りに行くという情けない結末で終わった。
あの時はすごく退屈だった。そこに魔が差した。
子供ながら完璧な計画だと思い込んでいた。
みっともない結末で終わった。
でもそんなことが僕の記念すべきはじめてのラブレターだったなんて、
今から考えれば、笑ってしまうような話だな。
子供って、不思議なことをするものだな・・・。