マスクマン
2001年 11月 28日
プロレス好きの僕は、ふとテレビに見入ってしまった。
試合を見ていると、実に驚くべきことが起こった。
人気プロレスラー・サムライのマスクが敵によってはがされてしまったのだ。
マスクマンにとってマスクをはがされることほど屈辱的なことはない。
しかもかわいそうなことに、マスクマンは得てして、マスクを脱ぐと格好悪い人が多いのだ。
久しぶりにそんなプロレスの茶番劇を見ながら、ふと思い出したことがあった。
マスクをはがされたマスクマンは数多いが、自らマスクを脱いだマスクマンを僕はこの人以外は知らない。
2代目タイガーマスクこと、三沢光晴である。
あれは衝撃だった。
タッグを組んでいた川田利明に、タイガーマスクが何やら指示をした。
すると川田利明がタイガーマスクの紐をふりほどいている。
このわけのわからぬ行動に、観客も、そして実況も驚いた。
僕は一瞬仲間割れが起きているのかと思った。
しかしそれは違った。
タイガーマスクは自らマスクを投げ捨て、三沢光晴として生まれ変わり、この試合に勝利したのだ。
それは新しい時代の幕開けだった。
三沢はジャンボ鶴田を破り、三冠王者になり、外国人タッグを破って世界タッグに輝いた。
三沢光晴の黄金時代が訪れたのだ。
マスクマンが自らマスクを捨て、はがされることにおびえることなく、自由に解き放たれて闘いに挑む。
今でもあのマスクをとったときの勇姿を忘れられない。
「お、おおお、何をやってるんだ。おい何をやってるんだ!!」
「な、なんと、み、みずからタイガーマスクがマスクを取っっています!
おおお、タイガーマスクがマスクを脱ぎ捨て、三沢光晴となって、
今、新たに生まれ変わりました!!」