日本的人情経営の良さ
2001年 12月 16日
未だにこれだけ長い商店街が残っていて、盛況な場所は少ない。
いろんな店が立ち並び、コンビニやファーストフードとは違って、商品も値段もまちまち。
都会均一生活に慣れた若者にとっては、ある意味では非常に不便だが、見て楽しめる場所でもある。
前々から気になっていた商店街にあるとんかつ屋「とん吉」に行った。
何年も前からずっと営業していると思われる年季の入った店構え。
店に入るとじいちゃん・ばあちゃんが店を切り盛りしていた。
まず店に入って驚いたのは、わかめサラダとパスタサラダが食べ放題であること。
これがなかなかうまいのだが、周囲の様子を見る限り、
とんかつはボリュームたっぷりそうなので、控えめに取って食べた。
そして待ちに待ったとんかつ980円は実にうまかった。
普通サイズのとんかつでもかなり量があったにもかかわらず、
地元の常連さんと思われる人たちは、これには飽き足らず「ジャンボとんかつ」を頼んでいるからびっくりだ。
とんかつを食べて満腹幸せな気分に浸っていると、
おばちゃんがすっとそばに寄ってきて、コーラの瓶を差し出した。
「どうぞ、サービスですから飲んでくんさい」
商店街に残る昔ながらの店だからこそ、こういったサービスができるのだろう。
常連でないはじめての客だとわかって「今後もご愛顧よろしく」の意味を込めてか、
コーラをサービスしてくれたのだ。
サラダの無料取り放題サービスも、こうした例外的なサービスも、
合理的経営ではなく、日本的人情経営だからできること。
こうした「日本の良さ」は、時代がどんなに「進歩」しても残っていてほしいものの一つである。
商売は人と人との関係で成り立つ。
どんなにでかいチェーン店だろうが、従業員がアルバイトであろうが、
個々の客に対応する臨機応変さと感情のこもった対応こそが、客を再び店に向わせるのであろう。
そんな古き良き時代の名残をとどめる、高円寺商店街。