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ゴールデンウイークスペシャル『夢のラビリンス』

<1>
「シブヤのレコードショップの前に、午後2時に来てくれないかな」
と突然、小室氏から電話があった。
そう、小室氏とは、音楽プロデューサーの小室哲哉である。
「グローブのメンバーも一緒にいるから」
僕はその突然の電話に驚きもせず、淡々と「はい、わかりました」と答えた。

シブヤは人でいっぱいだった。 店の前も人でいっぱいだった。
でもすぐに彼らを見つけることができた。
小室氏は一番わかりづらかったが、マークとKeikoはテレビ番組に出る衣装そのままだったからだ。

「かさこさん、では行きましょうか」
小室氏はまるで十年来の仕事仲間のように僕に声を掛けるので、
「僕はなぜここに呼ばれ、何をしに、どこへ行くのですか?」という、
当たり前の質問をできずに「わかりました」と僕も十年来の仕事仲間のように答えた。

若い女の子がいっぱいのレコードショップの奥の、アーティストを迎える簡略コンサート会場の奥に、
どんどん小室氏は進んでいった。
「ここから僕の事務所に行くんだ」
舞台上の天井の壁に小さな穴が開いている。
そこへ次々とグローブのメンバーたちが吸い込まれるように入っていく。
僕もそれに遅れまいとして、天井の壁の穴に吸い込まれていった。

<2>
暗い暗い穴を抜けると、そこには古代地下遺跡が広がっていた。
なぜシブヤのレコードショップの中に、これほど巨大な遺跡があるのだろうか?
グローブのメンバーと、そして僕は宙を飛びながら、広大な地下遺跡を通り過ぎていった。

遺跡を下に眺めながら、10分ほど空を飛んでいると、正面の瓦礫の斜面に、
大きな獣道のようなものが一筋通っていた。
そしてその先にはまたしても大きな穴があった。

「一体ここはどこですか?」と小室さんに聞こうかと思った瞬間、
僕はとんでもないものに遭遇し、金縛りにあったように、何も言葉を発することも、
何の動きもできずに、その場で固まってしまった。
なんとその獣道の先から、続々と大魔人のごときモンスターの行列が、
僕たちの目の前を通り過ぎていったのだ。

「よし、入って」
そのモンスターの下をかいくぐって、小室さんは穴へと入っていった。
モンスターに気づかれないのだろうか?食べられてしまわないだろうかとぶるぶる震えながらも、
ここは小室さんの後についていくしかないと、あわてて僕も穴へと飛び込んだのだ。

生きた心地がせず、ただ闇雲に穴に入って、
僕は何がどうなっているかさっぱりわからなくなっていたが、
気づくとそこは奇妙に明るい洞窟にいた。
マークとKeikoはいつのまにかいなくなていて、
僕のちょい先に水先案内人として小室さんがいるだけだった。

「もうすぐだから」
小室さんは洞窟を先へ先へ進んでいき、最後の難関、崖の橋に差し掛かったことを告げた。
断崖絶壁を崖にささっているビデオテープに捕まりながら進んでいく。
しかし捕まろうとするテープは、まるでテレビゲームのように、引っ込んだり消えたりする。
小室さんはそこをすいすい進んでいく。
僕も遅れまいと思いながら、崖から落ちないようにと慎重に進んでいった。

しかししかしである。
またしても崖の上に、あの大魔人のモンスターの大群が、僕を嘲笑うかのように、
宙を飛びまわり出したのだ。
小室さんはいつのまにかうんと先に行ってしまっている。
僕はモンスターを恐れながら、断崖に突き刺さるビデオテープの綱渡りをしながら、
崖の橋を死と隣り合わせの状況で、あわてて進んでいった。

<3>
永遠に続くと思われた崖の橋を、僕は我を忘れて進んでいるうちに記憶がなくなっていて、
ふと気づくと僕は野球場の観客席の芝生の上に寝転んでいた。
ここはどこだろうと、起き上がると、マウンドには小室ファミリーの面々がポジションにつき、
今まさにレコーディングをはじめようとしているのだ。

野球場を見渡せる丘の上に小室さんがいて、僕を手招きしている。
「ここが僕の秘密スタジオなんだ」
野球場でレコーディングって一体何だろう。
それより何より僕は随分遠くへ来てしまった。何日過ぎたのかさえわからない。
会社もあるので4日後には戻らなくてはならないのだ。

「僕はここで何をすればいいのですか?」
やっと一番聞きたいことが言えた。
なぜ小室さんが僕を呼び出したのか、僕は全く知らなかったのだから。

「これからグローブのアルバムを制作するんだ。曲はできてるんだけど、詩がまだなんだ。
かさこさんにはこれから演奏する19曲分の詩を書いて欲しいんだ。できるね?」
「もちろん、できます」
4日後の会社の出社に戻れるだろうか。
帰る時はまた来た道を戻らなくてはならないのだろうか。
もうあの恐ろしいモンスターには遭遇したくない・・・そんな心配ばかりしていて、
19曲もの詩を書く心配は不思議と何もしなかった。

「この資料あげるから、詩の参考にして欲しい。じゃあよろしくね」
小室さんから渡された資料は、最近のアーティストの歌詞カードと、
そして新橋の町の歴史の資料が20枚ほどだった。
「グローブと新橋の歴史?う~ん、これは参ったな」

「よし、リハーサル開始!1曲目から行こう!」
小室さんの声が野球場にこだまする。
ピッチャーマウンドに立っているKeikoが演奏に合わせて歌詞がないので、 ラララで歌い始めている。
「1曲目はノリのいい曲だなあ。さあてこれにどう詩をつけていこうか」
と思いながらも、僕は野球場をから一旦離れて、詩をつけなければならない曲も聞かずに、
「トイレってどこにあるかな」と探し始めたのだ。

<4>
実にリアルな夢だった。
これは作り話ではなく、僕が最近見た本当の夢の話だ。
TMNETWORKの「闇のラビリンス」ならぬ「夢のラビリンス」。
モンスターは実に恐かったけど、詩の依頼が来るなら、秘密スタジオにいつでもかけつけますよ!

by kasakoblog | 2002-04-27 00:34

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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