社宅の盛衰
2002年 05月 26日
かさこファンにはすでにピンときたかもしれないが、
僕は小学校5年生まで鶴見の社宅に住んでいた。
15年ぶりに帰ってきたわけだが、ほんとこの町は社宅が多い。
しかし、誰も住んでいない、もう何年もほっぽりぱなしの社宅が目立つ。
世の中、不景気である。
社会の変革期に伴って、企業はかつての高度成長時代の終身雇用・社員おかかえ福祉型からの脱却を迫られている。
社員は一生企業に忠誠を誓うかわりに、社宅や保養所、企業優待といった様々な恩恵を受けていたわけだが、
もうそんな時代ではなくなってしまった。
不景気で企業が真っ先に「リストラ」したのは、本業と結びつかない金にならない資産売却である。
社員だけのための保養所、企業広告塔だったスポーツクラブ、そして社宅や社員寮・・・
きっとそんな時代の流れを受けて、鶴見の社宅は今、売り手もつかぬまま廃墟となっている場所が多いのだろう。
今、僕が住んでいるマンションも、かつては大企業の社宅だった。
不景気で手放し、その跡地にマンションが建ったというわけだ。
僕の住んでいるすぐそばには東芝の社宅もあるが、そこも閉鎖されるという。
東芝の社宅前には「東芝バレーボール部合宿所」なる施設があるが、
そこもすでに使われず廃墟となっている。
そういった土地をバブルに踊らず、慎重な経営をした不動産会社が、
企業の足元をみて買い叩き、マンションを建てて売り出すという、
新たな「マンションラッシュ」みたいなものが起ころうとしている。
まあ鶴見とはそんな町だ。
企業におんぶにだっこしてもらった、まあある種、絶対潰れない安定した大企業というのは、
もはや日本には存在しなくなったということである。
今、就職活動をしている人も多いかと思うが、
ネームバリューのある「安定した大企業にとりあえず」なんて思っていると、
もしかしたら痛い目にあうかもしれない。
企業もそして国民も、馴れ合いではなく自立する時代が来たんだろうな。