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廃墟ブーム

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(撮影:スコットランド・ネス湖)

世の中、「廃墟ブーム」だという。
廃墟写真や廃墟ガイドブックが売れているというのだ。
フジテレビ、小倉アナウンサーが司会の「特ダネ」でやっていた。

廃墟に惹かれるのはよくわかる。
なんていうかな、現代人の築き上げてきたもののバカバカしさとか虚しさが、
これほど端的にわかるものはないからだろう。
かつて栄えた建物の廃墟ほど、その感慨は深く、
社会のあり方や自分の生き方を見直すのに格好な材料はない。
だから、今、廃墟が流行るのだ。

そんな時代心理からすると、ニューヨークの世界貿易センターの瓦礫の山は、
まさしく現代社会を考える「廃墟」なわけで、
アメリカの傲慢を考え直すためにも、
しばらく瓦礫の山のままにしておいてもらいたいものである。
またこうした「廃墟ブーム」が巻き起こる最中に起きた、
テロによる新たな廃墟スポットの誕生というのは、時代の必然ともいうべきか。

僕の中にも同時代に生きる人間として、
今はかなり薄まったが、廃墟ブームは今から7年も前がピークだったな。
まだ僕が10代の頃。
冬に一人でスコットランドまで行って、ネス湖の傍らにたたずむ廃墟を見に出かけていった。
もしかしたら僕が書いた最初の作品ともいえる「スコットランド旅行記」には、
廃墟を求めてさまよい歩いた僕の心境が描かれている。
今の「廃墟ブーム」なる心理状況が、
この頃からすでに巻き起こっていたのではないかと思われる証拠でもある。

「盛者必衰の理」とでもいうのか。
バベルの塔の崩壊神話か。
人間の奢りを正すには必要な風景なのかもしれない。

しかしそういった生き方の見つめなおしみたいな観点ではなく、
なんかそのオタク的満足感というか、非常にマスターベーション的欲望の充足というか、
人の行かないところに行く充実感だとか、
ある種、心霊スポットに似た感覚でブームになっている様相もなくはない。
そんな「不純」な動機で廃墟に行くと、
不法侵入で捕まったり、そこに住んでいるホームレスに金品を奪われたり、
物が落ちてきて怪我をしたりといったことがあるので注意をするように。

海外旅行に行くとよく遺跡に行く。
昔栄えた地が今はこんなに廃れてしまっている。
そこに残された建造物のすごさが、より一層人間のはかなさを際立たせる。

藤原新也の言葉「メメント・モリ」~死を想え~。
死を見つめることによって生を見つめなおせる。
町の死たる遺跡や廃墟を見ることで、今の町や社会を見つめなおす契機となるということだ。

廃墟がブームになればなるほど、今の社会が病んでいるという証拠だな。

by kasakoblog | 2002-06-09 01:01 | 旅行記

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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