恐怖と欲望が支配する市場~日本株バブル再来か
2011年 02月 19日
長きにわたるマスコミのバカ騒ぎのせいで、
「日本経済はダメだ」と思い込んでしまっている人も多いと思うが、
ここ最近、日経平均株価はするすると上がって、
なんと11000円近くまで回復している。
今年は日本株バブルよろしく、
13000円ぐらいまで上がる可能性も出てきた!
外資系金融機関が相次いで日本株運用に力を入れ始めた。
海外の投資家が日本株に注目しているからだ。
そのおかげもあって、株価が上昇してきた。
グローバル経済なんていうとかっこいいけど、
ようは世界ギャンブル市場、マネーゲーム。
実体経済より金融が支配する今の経済システムだ。
投資資金がどこに向かうかで、
景気がいい悪いに関係なく、市場が反応するようになっている。
金融危機以降、各国が景気対策と称して、
多くの金をばらまいたものだから、
市場にはお金が余っている。
余っているお金を預金に預けても、
先進国は低金利だから利息がろくにつかない。
よし、じゃあ儲かるものを探そうと、
中国やブラジルといった新興国の株価を買いあさったり、
原油や食糧、金といったコモディティ(商品)に投資したり、
さらには世界各地の不動産に投資したりしている。
世界ギャンブル市場で儲けるには、
安く買って高く売ることしかない。
食料市場が急騰しているように、
投資マネーが安値で買って価格を引き上げたが、
今から買ったのでは高すぎて儲からない。
新興国もしかり。
バブル懸念が出ているぐらい高騰しているから、
今買ってもこれ以上、上がる見込みは薄い。
そこで世界の金融機関はギャンブルできる市場のなかで、
まだ安値で放置しているものは何かと、全世界を見渡していた。
そこで目に入ったのが割安に放置されていた日本株だ。
余った金で新興国や食糧に投資したけど、
もう高値になっちゃったから儲かる余地はない。
じゃあ安く買って高く売れそうなものは何か。
そうだ、日本株があるじゃないかと、
金融危機以降、一人負けのごとく、
割安のまま放置されていた日本株に食指を伸ばし始めたのだ。
そんなわけで大きなショックがない限り、
日本株は今後も上昇する可能性が高く、
2005年の個人投資家の株ブームで、
金融危機前に株を始めて、
高値で日本株を買ってしまい、
金融危機で半値近くまで下がって、
売るに売れずに塩漬けとなっていた人にとっては、
買った値段まで回復するのはまず不可能かもしれないが、
2~3割の負けぐらいで売ることができる可能性が出てきた。
マスコミは1ドル=83円になった時に大騒ぎした。
日本経済は破綻するぐらいのバカ騒ぎだった。
そのせいで株価も低迷していると嘆いた。
バカな政府は為替介入に踏み込んだ。
しかし今、株価が回復している今も、
1ドル=83円で何ら変わりない。
株価なんて日本企業の業績のいい悪いなんて、
そんなに関係なく、
為替レートうんたらかんたらも、
いくらでも後付けできる理論で、
問題は世界中に余った金がどこに行くかで、
日本の株が上がったり下がったりするだけになりつつあるのだ。
とはいえ今年、日本株バブルで株価が上昇すれば、
それなりにいい影響もあるだろう。
しかし恐ろしいのは、市場なんてほんと気まぐれ。
上がると思っていても、急に下がる可能性がある。
実は去年がそうだった。
金融危機以降、株価の回復が遅れていた日本株だったが、
春先にかけてするする上昇。
今回と同じく11000円まで上昇し、
多くのエコノミストが「景気の二番底懸念はない。
このまま日本株は回復するだろう」
なんていってたあ矢先に、ギリシャの債務問題が発覚し、
その煽りを受けて、日本株は急落。
11000円から9000円代までに下がったのだ。
だから今回も同じようなことが起きる可能性は十分にある。
世界のギャンブル市場は、相撲の八百長問題よろしく、
どこでいかさましているかわからない。
いかさまが発覚した途端、投資家の信頼を失い、
一挙に市場が急落する恐れはいつでもあるのだ。
先日、ある外国人マネージャーが投資についてこんな話をしていた。
「市場とは恐怖と欲望が支配する場所。
短期的にどう動くかなんて誰も予想できない」
至言である。
しかし多くのエコノミストやら経済評論家やらマスコミは、
わかったような予想、
すなわち下落した時にはこれでもかと悲観材料を並べ立て、
恐怖を煽り、
上昇している時にはこれでもかと楽観材料を取り上げ、
バブルを煽っている。
まさに人々の心情が金にのりうつり、
恐怖と欲望の感情を繰り返しているのが、
バブルとその崩壊の繰り返しにつながっている。
これから日本株バブルが起こるかもしれない。
しかしギリシャ危機のような、
思わぬ材料が出てきて長期低迷するかもしれない。
重要なことは、市場は人々の恐怖と欲望の心情によって決まるということ。
だから予想なんてできっこないし、
いくら企業業績が良かろうが悪かろうが、
世界各国の投資家の心情とお財布状況ですべては決まるということを、
覚えておいた方がいいと思う。