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買いだめ自制なんて無理。規制が必要

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パニックした国民が自制できるなら、
買い占めなんて起きていない。
自制ではなく規制が必要ではないか。

余震が続き、原発の状況が予断を許さないとはいえ、
少しずつ落ち着きを取り戻しつつある首都圏。
ところが今、ものすごい騒ぎになっているのが、
食料品や生活用品、ガソリンなどの買い占めだ。

大地震が起きた金曜日にコンビニのパンコーナーが、
すっからかんになるのは致し方がないと思う。
でも今もなおコンビニやスーパーのパンコーナーが、
見事にすっからかんになるという異常な事態が続いている。

コンビニやスーパーだけではない。
今日、東京駅の地下道を歩いていると、
パンが売っているコーヒーショップに長蛇の列。
コンビニやスーパーでは買えなかったのか、
こうした店にまで買いだめが及んでいるのだ。

異常な事態に対して政府は買いだめしないよう呼びかけている。
一部の国民からは「どうぞどうぞ」ウエシマ作戦と名づけて、
物資を買い占めず、譲り合おうという動きも出ている。

しかしそんな自制では買いだめは止まらないと思う。
例えば水のペットボトルは1人1本までとか、
パンは2つまでとか、店側に個数制限を同時に要請しないと、
買いだめはしばらく続く。

もちろんこの程度の個数制限では、
何度も来る人もいるだろうし、
店をはしごする人も出てくるだろう。
でも単に国民に自制を呼びかけるだけよりはよっぽどマシ。
1つの店で何個も買えなくなれば、
面倒だと思って買いだめをやめる人も少しは出てくるのではないか。

だいたい自制を呼びかけて買いだめやめるような人なら、
そもそも買いだめなんかしていないんじゃないか。
パニックになり、不安になり、
自分の生死がかかっていると思い込んでいるからこそ買いだめしている。
自制してくださいというだけでやめるはずがない。

さらにやっかいな問題がある。
買いだめしている人がいれば、
買いだめする気がない人までもが、
買いだめせざるを得なくなってしまうことだ。

いつもは買いだめせず、
明日食べるパンだけ買っている人が、
たまたまパンがある店を見つけたら、
「買えなくなる恐れがあるから、余分に買っておこう」
と思うのが心情だろう。

「食料は十分にあるから買いだめしないでください」
という呼びかけにも意味がない。
なぜならどんなに食料がどこかに十分にあったとしても、
目の前の店になければ、それは個人にとっては「ない」に等しい。
こうなれば悪循環の連鎖が続く。
買いだめしない人まで買いだめに走らざるを得なくなり、
そういう人がどんどん増えていき、
余計に物がなくなり、買いだめする量が増えていくという、
悪循環になってしまう。

だから自制ではなく規制じゃないとダメ。
海外からは「日本人はマナーがすごい」
「略奪が起きないのが不思議」と賞賛されているが、
大地震に原発事故が重なる未曾有の事態になれば、
日本人だって平静でいられるわけはなく、
聖人君主なわけないんだし、
略奪はしなくても必要のない買いだめに走ってしまうのは、
ある意味では人間として普通の感情だと思う。

パニックがパニックを呼び、余計に悪循環になっている。
一部の自制の呼びかけでパニックを沈静化させるのは無理だ。
あわてて増産しているらしいが、
市場に並ぶ頃には買いだめブームが終わって、
店に商品があふれかえるという、
数年前のインフル・マスクパニックと同じ愚を繰り返すだけ。

食料品に限らずガソリンなどでもそう。
自制なんて言ったって、
みんな買いに行ってないんだから、
みんなが買いだめに走ってしまう。
みんながみんな損する選択肢を選んでしまうという、
いわば「囚人のジレンマ」状態だ。

節電啓蒙だとか買いだめ自制呼びかけなんかじゃなく、
それこそ政令でも制定して、
しばらく続く買いだめパニックを政治の力で、
強制的に規制しなければ問題は解決しない。

みんな頭ではわかっている。
こんなに買いだめなんかする必要はない。
買いだめすれば余計に被災地の人が困ると。
でもみんなが買いだめして物がないなら、
買える時に買おうという行動は繰り返される。

日本人は他の国民と変わらず、
これだけの大災害・大事故が起きれば、
パニックになるのは当然。
マナーやモラル頼みでパニックを抑えようというのは、
はっきりいって楽観的過ぎる。

例えば国民が100人いたとして、
自制呼びかけて90人が礼儀正しく、
買いだめ・買い占めをしなくても、
たった10人が買いだめに走れば、物はなくなる。
残念ながら社会とは、ごく一部の変な人のために、
すべての秩序が乱される危険性をはらんでいる。
そうしたたった10人が自制を呼びかけてやめるかといったら、
まずやめないと考えて対処するのが政治の仕事。

今こそ必要な人に必要な物を回すために、
自制の呼びかけだけでなく、政治の“力”が必要だと私は思う。

人間誰だって自分が助かりたいと思っている。
それを否定するのは不可能。
理想論を振りかざしてもすべての人間は動かない。
悲しいかな、それが現実。
だから現実的な対応が必要。
そのために政治家がいる。
国民が勝手に自制できるなら、
法律も政治家もいらないわけで。

by kasakoblog | 2011-03-16 22:23 | 政治

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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