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1000億円の都税が消える「新銀行東京」という石原負の遺産

東京都民をあまく見ていた。
オリンピックというわかりやすい争点だけを考えてみても、
石原都知事には投票しないだろうと思っていた。
ところがふたを開けてみたら、石原氏の圧勝。
反石原の有力3氏の票をすべて足しても、
石原氏に届かないということは、
単に反石原票が割れたおかげで、石原氏が漁夫の利を得て勝利を得たといえない。
すなわち、都民の圧倒的多くが石原氏を支持したということだ。

今回の都知事選挙の争点の1つとなっていたのが、
石原都知事の肝いりで作られた「新銀行東京」をどうするかという問題。
新銀行東京なんて一般市民はしらんだろうが、
これはなかなか難しい奥深い問題でもあったので、
選挙前に取り上げなかったが、
こんな結果になるんだったら、選挙前に取り上げておけばよかった。

東京都が株式を84%と持つ、まさに東京都運営のこの銀行は、
「東京の中小企業を救済する」という大層ご立派な目的で、
石原都知事主導で2005年4月に開業した。
ところが、開業以来、赤字続きなのである。
昨年9月の中間期では154億円の赤字と発表。
累積赤字は456億円に膨らみ、
投資された1000億円もの都税の半分近くがすでに消滅していることになる。

なぜ赤字かっていったら、融資した金が焦げ付いているから。
中小企業向け貸し出しが回収不能になり、
不良債権が山積し、赤字になっているという。

ここで、みなさん、おかしいと思わないだろうか?
バブル崩壊後の「失われた10年」の時期で、
ずっと不景気が続いていた時に融資していて、
不良債権で赤字という話にならわかるが、
開業した2005年はすでに日本の経済は上向きで、
(2005年の株式市場は40%も上昇した)
大手銀行は不良債権処理を済ませ、史上最高の黒字をあげていた時期である。

なぜこんなことが起こるのか。
金融業は素人が手を出してはいけないということ。
そして、「救済」なんていうあまっちょろい考えでは、
金融業はそもそも成り立たないということだ。

東京都が銀行を作ると話を聞いた時、
サラ金に勤めていた私が真っ先に思ったのが上記のようなことである。
貸すのは誰でもできる。
しかし、東京都が救済目的で中小企業に融資して、
貸した金を取り立てることができるのか?
私はかなり疑問だった。

ふたを開けてみればこれである。
いっておくが、今、大手銀行は金が余り過ぎていて、
一昔前の貸し渋り、貸し剥がしから一転、
中小企業に「なんとか金をうちで借りてください」と営業が回っているほど。
そんな時代に不良債権の山とは、とんでもない素人銀行である。

ちなみに、石原氏は身内びいきのおかしな都政が、
今回マスコミで随分と叩かれたが、この新銀行東京も、
三男石原宏高の地盤の品川区と大田区の企業に主に融資していたことから、
身内の選挙対策ではないかとも批判されていたという。

新銀行東京開業直前のこと、新銀行東京の頭取インタビューを、
うちの会社がある冊子で行い、
そのテープおこしをしたことがある。
新銀行東京の特徴として頭取は誇らしげに、
スコアリングシステムを自慢していたが、
私はその時、「何を今さら」と思っていた。

スコアリングシステムとは、コンピュータを叩くと、
どのぐらい融資ができるかすぐに判断してくれるもの。
今まで企業融資の審査は、人が判断し、
ああでもないこうでもないといろいろやっていたせいで、
審査に時間がかかっていたが、
このスコアリングシステムを導入したので、
審査に多くの手間もかからず、スピード審査できるので、
中小企業の融資需要にかなうといっていた。

私が何を今さらと思ったのは、
そんなもん、サラ金ではとっくの昔に導入されているからだった。
個人/法人と融資の対象は違えど、
サラ金がなぜこれほどまで成長し躍進したのかといえば、
長年金融の経験を積んだ人間を見極める職人芸的審査を、
すべて網羅したスコアリングシステムを作り上げたことで、
全国チェーン展開が可能になり、かつ30分審査という、
とてつもないスピード審査が可能になり、
コンピュータ判断だから無人機も可能になったという、
革命的手法を導入したからなのだ。

スピード審査=スピード融資が支持され、
高金利にもかかわらず、ちんたらやっている銀行とは違い、
「明日すぐ金が必要」といった中小企業の社長とかが、
銀行が貸し渋り、貸し剥がしの時代に、サラ金に流れ込んできたわけだ。

それと新銀行東京の融資商品にかなり違和感を覚えた。
それは債務超過だろうが赤字だろうが、審査の対象となることだ。
「赤字企業だろうが、将来可能性のある技術力があるなら融資もする」
というと聞こえはいいが、それには大きなリスクが伴う。
そういう大きなリスクリターンを伴う金の融通は、
東京都の銀行がやることじゃなく、
ハイリスクハイリターン融資に慣れた、
ベンチャーキャピタルみたいなところがやればいいだけの話。
世界的な金余り状況から、バンバン金が日本に入ってきていた今、
素人の東京都がそれを低金利でやろうっていうのがそもそもおかしいわけです。

結果、大失敗。
都税1000億円が累積赤字454億円で消えてなくなるだけでなく、
このまま営業を続ければ、1000億円が消えるだけでなく、
それ以上の税負担を強いられることになる。
そんな状況で福祉も道路整備もオリンピックもへったくれもあったもんじゃない。

しかしそんな石原都知事を都民は支持してしまった。
そのツケは自分たちに跳ね返ってくることを肝に銘じてほしいが、
東京がおかしなことになると日本全体に大きな影響を及ぼすので、
石原氏は襟を正して、悪かったところは反省し、
毅然とした処理を断行してほしいと思うが、
まあダントツ圧勝じゃ、反省することもないだろうな。

ちなみに、マニュフェストが解禁になった選挙にもかかわらず、
石原都知事はマニュフェストなし。
すなわち、公約がないってことだから、
当選したら好き勝手し放題ってこと。
いくら他の候補者が悪いとはいえ、
石原都知事に投票した都民が多いことを見ると、
所詮、国民は知名度でしか選んでいないということだろう。

というわけで、私も知名度をつけてから知事に立候補する。

by kasakoblog | 2007-04-10 12:36 | 政治

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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