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震災映像を繰り返し見てPTSDに

被災地じゃない人でも、そこで懸命な活動をしている人じゃなくても、
震災映像を繰り返し見た視聴者やテレビ局スタッフが、
PTSD(心的外傷後ストレス障害)になっていることが問題視され始めた。

スピッツの草野さんも震災報道などの影響で、
「急性ストレス障害」と診断され、約3週間の療養が必要となり、
4月のコンサートがいくつかキャンセルされた。

「被災地でもない人がテレビ見ただけでダウンするなよ」
と思う人がいるかもしれないが、
それは幸運にも鈍感か精神力があるかのどちらかだろう。
世の中には、現実に起こった悲惨な映像を見て、
感性が鋭いせいか、悪い想像力を際限なく働かせてしまい、
映像以上に悲惨な映像を想起してしまい、
かつ自分もそうなってしまうといった強迫観念にもかられ、
心がやられてしまう人もいることを知っておくべきだろう。

原発の問題があるとはいえ、
余震がだいぶ少なくなってきて、
人災ともいえる計画停電や交通機関の乱れ、
買いだめパニックなどが落ち着きを見せつつあるので、
今「震災報道でPTSD」なんて言われても、
「何言ってるんだ。被災地の人の方がかわいそうだろ」
と言いたい気持ちはわかるが、それは今だから言える話だろう。

大地震が起きた直後は死者が数十人、
といったテロップが流れていて、
被災地ではない首都圏などでは、
「すごい大きな地震だったよね」ぐらいに思っていて、
徒歩で帰宅する人のなかには、
ナンパする人もいたというほど、
まだこの深刻さがわかっていなかった人も多かったに違いない。

私もその時はまさかここまで甚大な被害が出ているとは思わず、
地震当日、帰宅をあきらめ、
「会社に泊って漫画スラムダンク全巻読めばいいや」
ぐらいに思っていた。

しかし金曜日夜から土曜、日曜にかけて、
そんな程度の地震ではなかったことが次々と明らかになった。
町が壊滅したとか数百人の遺体が発見された、
町のなかで数千人の人と連絡がとれていないといった、
桁違いの恐ろしい惨状が次々報道された。

テレビ自体もこの時は大分混乱していた。
金曜日夜はまだそれほど情報がないせいか、
何度となく工場火災の映像などを繰り返し流していた。

しかし夜が明け、土日になると、
メディアはハイエナのようにこの衝撃映像に群がり、
「どの局がこの地震がひどかったかという、
一番悲惨な映像を撮れるか合戦」をはじめ、
「どの局がこの地震がひどかったかということを証明するための、
死者数、行方不明者数を増やせるか合戦」をはじめ、
地震がいかにすごかったかという悲劇的な映像を流し続け、
死者数・行方不明者数が増えることを喜んでいるかのように、
数の多さを声高に報道し続けていた。

どこのテレビ局もCMが一切なく、
四六時中、地震の悲惨映像合戦。
土日ということもあって、
多くの人がテレビを何時間も見た。
しかも、いつまた大きな余震が起きるかもしれないといった不安や、
原発事故がどこまで広がるかという恐ろしさを感じながら。

私は被災地に親族がいるわけでもなく、
悪い想像力が豊かな方ではない鈍感な方で、
比較的精神的にも強い方だと思うだが、
それでも土曜日は震災報道をずっと見ていたら、
精神がおかしくなりそうになった。

テレビを一度消し、好きな音楽を1曲かけただけで、
どれほど救われた感じがしたか。

ツイッターやブログ、mixiを見ていても、地震情報だらけ。
みんなパニックになっている状態で、
デマや不安を煽る内容が実に多かった。
私もテレビを見て地震についての感想などをつぶやいていたが、
ふと机の脇にあった確定申告書類を見て、
「そうだ、確定申告にいかなきゃ」とつぶやいたところ、
「この非常事態にくだらんつぶやきするな!」
と返信してきた人がいて驚いた。
そのぐらい地震後の土日は、
世の中全体が今とは違って尋常ならざる雰囲気だった。

このままテレビとネットで地震情報をあまりに増幅させると、
さすがの鈍感な私でも精神がまいってしまいそう。
それで日曜は、余震が恐かったけど、
ちょっと外に出て散歩したり、
テレビをつけない時間を決めて、音楽かけていたりもした。
それでだいぶ気持ちがラクになった。

でも地震後の不安に脅えるなか、
あの土日の2日間で大量の悲惨映像を、
それこそ一人でずっと家にこもって、
テレビを見続けていたら、
心がやられてしまう人がいてもまったく不思議ではない。

実際に私の知り合いにもいる。
一人で震災報道をずっと見続けてしまったために、
精神不安になり、神経過敏、過剰な驚愕反応、
恐怖感、無力感、絶望感といった感情が、
わっと押し寄せてくるような、
PTSD(心的外傷後ストレス障害)のような症状になっていた。
それは今もまだ後遺症のように引きずっている。

私ははじめ、その気持ちがよく理解ができなかった。
例えばその人の実家が被災地で、家族と連絡が取れず、
テレビでは絶望的な映像が流される、
といった状況なら、ものすごい精神不安になるだろう。
でも被災地に親族や知人はいない。
にもかかわらず、なぜそこまで?と思ったが、
映像から被災地の人の絶望感や悲しみを想像し、
深く受け止め過ぎてしまい、
それが自分の心にもべっとりと張り付いてしまい、
自分も襲われる恐怖を感じてしまったんだと思う。

そこで、
・テレビを見過ぎないこと
・外で散歩して気分転換すること
・好きな音楽を聴いたり、違う楽しい映像を見ること
などを勧めた。

私ですらそうしなければ、
気分がおかしくなってしまいそうなのだから、
そういうことに過敏な人が見たら、
激烈な反応になってしまうに違いない。

地震直後のテレビ報道の仕方はほんとひどかった。
被災地に何が必要かとか、
どこが避難所になっているとか、
首都圏では何をして何をすべきでないかといった、
その手の報道は一切なく、
ひたすら悲惨な映像入手合戦と、
死者数の多い合戦を演じていたからだ。
それを見て、精神不安になり、
人によってそれが極度に達すれば、
実生活にも影響が出てしまうほどの症状になっても不思議ではない。

悪夢やトラウマ体験のフラッシュバック。
強い恐怖感。
意欲低下。
孤立感。
浅い睡眠、悪い寝つき。
イライラ感。
キレやすくなる。
集中力低下。
過敏な警戒感。
外部刺激への過剰な反応・・・。

こうなってしまったら、
ゆっくり療養するとか病院に行くとかしないと、
精神的にきつくなり、
時にはひどい混乱状態に陥ってしまうこともある。
いい悪いの問題じゃなく、
単に心が弱いとか強いとかではなく、
そういう人がいて、
それなりの心のケアをしっかりしてあげないと、
治らないケースもあるのではないか。

地震後の人災パニック状況が続くなか、
私自身もだいぶ地に足ついてないで、
浮き足立った状況のなかで、
自分ができることは何かと考えたら、
文章で、冷静な行動に務めるよう促すことだと思った。

しかしパニクっている状況のなかで、
冷静に務めろと書いても「そんなのできるかよ!」
とさらなるパニックになってしまう人もいたので、
癒されるような写真を集めてアップし、
ほっと一息、気分転換を促すことも大事だと思った。

そこで3/16の日記では、
「いつか必ず明るい笑顔で暮らせる日を信じて」と題し、
これまで撮影した海外子供写真を集めてアップした。
http://kasakoblog.exblog.jp/14437801/

それは見る人を癒すだけでなく、
自分自身が癒されたかったからだ。

文章はネガティブになりがちだが、
写真はポジティブになれると。

だいぶ今は落ち着いた風に見えてきたとはいえ、
それでも被災地の深刻な状況は変わらず、
原発問題はまだまだどうなるかわからず、
それどころかこの大地震をきっかけに、
東海や首都圏での大地震や、
富士山噴火の可能性だってないとはいえない。

まだまだ正常な状況とはいえず、
不安定な心の状態のまま、
日常を送っている人も多い。

自分の心は大丈夫だから、
他の人も大丈夫だと思わず、
焦らず、急がず、ゆっくり、落ち着いて、
状況を冷静に見極め、一つ一つのことに対処し、
他の人への心の気配りもいつも以上に必要な時期なんだと思う。

そして何より「テレビは見過ぎるとバカになる」
というのにも十分気をつけたい。

by kasakoblog | 2011-03-28 22:19 | マスコミ

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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