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地震で配信を始めたミスチル~エコごっこからマジエコへ

ネット配信を嫌がっていてCD販売にこだわっていたミスチルが、
やっと遅まきながら、この大地震を契機に、
着うたではなく、多分、初のちゃんとしたネット配信で、
4/5に新曲「かぞえうた」をiTunes Storeで販売することが決まった。
(iTunes Storeでミスチルで検索しても、
オルゴール曲などしか販売されておらず、
フルのきちんとした楽曲は配信されていない)

この新曲配信は、3/14にメンバーが集まり、
復興支援のために新曲を販売し、
その収益を寄付しようという発案から生まれた。
ミーティングからわずか3週間で、
震災復興支援のために曲を作り、
レコーディングし、販売にこぎつけるというスピード感と、
その使命感は素晴らしい活動だと思う。

1995年の阪神大震災の際も、
シングル「シーソーゲーム」の収益が、
全額、復興への義援金として寄贈されていた。
きっとミスチルのことだから、
今回もこのような取り組みをしてくれるに違いないと思っていただけに、
ファンとしては実にうれしい。

ただ私は大好きなミスチルファンだからこそ、
あえて苦言を呈したいのだが、
あまりにもネット配信に取り組むのが遅すぎたと感じている。

世の中、今回、地震が起きたことで、
今までのエコごっこからマジでエコに取り組む企業が増え始めた。
2009年、鳩山首相が国連で、
温室効果ガスを1990年比で2020年までに25%削減する言った時、
国民も企業も鳩山首相をバカにした。
「そんなことできるわけがない」「経済を殺す気か」と。

しかし地震で原発が稼動できずに電力不足になり、
しかも原発が存在することの恐ろしさを目の当たりにし、
多くの企業はこれまでの電力消費を見直し、
国民に受けを狙うための口先だけのエコではなく、
真剣に必要性から節電を始めた。
その結果、福島原発が稼動していなくても、
計画停電は行われたが大規模停電にならず、
今のところ電力は不足することなく提供されている。

本当に地球環境のためになることではなく、
企業が儲かるためのエコごっこが蔓延し始める前から、
ミスチル・桜井さんはapbank活動の主導的な役割を担い、
広い意味での“環境問題”に取り組んできたと思う。
apbankの活動は素晴らしいし、多くの人に気づきを与えたと思うし、
そのきっかけとなるapbankfesも、
速報ライターとして参加した立場から見ても、
素晴らしいものだったと思うが、
唯一、不満だったことがある。
それは、地球環境のことを真剣に考えているのなら、
エコを訴えるのなら、CD販売をやめてネット配信に注力すべきではないかと。

ネット配信にすれば、リスナーがダウンロードする間の、
パソコンの電気代だけで済む。
しかしCDにこだわれば、CDを作る資源が必要になり、
CDを作る工場が必要になり、CDを運ぶガソリンが必要になり、
CDを売る店の光熱費がかかる。
膨大な“資源”の浪費がそこにある。

CDと配信とでは音楽の質が大きく違うならともかく、
質に違いはない。
ただリスナー側には、
「やっぱり物で欲しい」「歌詞カードがあった方がいい」
という要望があり、
曲を販売するミスチル側には、
CDを買って手に取る喜びを感じてほしいという想いがあり、
事務所やレコード会社としては、
今のビジネスモデルを守りたいという想いがあったのか、
次々と大物アーティストがネット配信に舵を切るなか、
ミスチルは配信をせず、CDにこだわってきた。

でも地震が起きてわかった。
人々が少しの我慢ができず、自分の欲望を満たすために、
大量の電力が必要となり、
地球環境に最悪の原子力発電所を作らざるを得なくなった。
それがこの結果だ。

CDという物体が欲しいというのは、
私もファンだからよくわかる。
でも環境のことを考えたら、
CDよりネット配信した方がはるかに環境にいい。
そして環境にいいだけでなく、
今回のようにできたての曲をすぐに配信し、
ファンのもとに届けることができる。

真剣に環境のことを考えているのなら、
CDではなくネット配信すべきだ。
それがやっと今回の大地震で、
エコごっこをやめてマジエコに取り組み始めた企業と同じように、
ミスチルも本当に“エコ”になる配信を本格始動させる、
きっかけとなってくれればと願っている。

このようなことを書くと、
一部の盲目的なミスチル信者には嫌がられるかもしれない。
しかし真のミスチルファンならば、
これまでのミスチルの歌詞を読み解けばわかるように、
何かを盲目的に信じるようなことはせず、
好きなものでも、どんな“権力者”であっても、
いいものはいい、悪いものは悪いという、
自分なりの価値観で善悪を判断できる力があり、
自分のエゴと社会全体の“幸せ”を調和させるために、
今、何をすべきで、何をすべきでないかがわかるのではないかと思う。

これは極論な話だが、
CDがあるけど原発が今後も新設される社会がいいのか、
それともCDはなく配信だけど原発が新設されない社会がいいのか、
ということをアーティストもリスナーも、
今回の地震の件で真剣に考えるべきだと思う。

別にすべての娯楽をなくしてしまえという話ではない。
電力はいっぱい使うがライブは貴重な体験として今後もあるべきだと思う。
でも盤面を見て聴くわけでもCDにこだわり、
自分のエゴのために無駄な資源を使うのか、
それとも味気ないかもしれないけれど、
音楽の質は変わらないネット配信で“我慢”することで、
無駄な資源の浪費を削減するのか。

ミスチルに限った話ではなく、音楽CDに限った話ではなく、
この大地震で日本全体が地球全体が、
エコごっこをやめ、マジエコをする時代になったのだと思う。
自分たちのエゴのためのエコごっこをしていれば、
今回の原発事故のようなとんでもない悲劇が再発されてしまうと私は思う。

ネットで配信されるミスチルの新曲「かぞえうた」は、
ミスチルの大ファンとして、とても楽しみにしている。
多くの人がダウンロードして、そのお金が義援金となり、
かつそれがマジエコの取り組みスタートの記念碑的曲となればとてもうれしい。

新曲「かぞえうた」4月4日より配信決定のお知らせ
http://www.mrchildren.jp/news/news20110402.html

・環境にやさしい原子力発電所~CO2悪玉論によるエコ商法が日本を破滅の危機に
http://kasakoblog.exblog.jp/14503652/

・音楽業界は死んだのか
http://kasakoblog.exblog.jp/14372522/

・ミスチルの部屋
http://www.kasako.com/mrchildren.html

by kasakoblog | 2011-04-04 01:28 | ミスチル

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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