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ミスチルSENSEツアーレポート!

SENSEツアー、2011.4.9@長野に行った!
ツアー途上で大震災が起き、ツアーの開催があやぶまれたが、
長野は予定通りの日程で行われた。

音楽の力ってすごい。
ミスチルの音楽ってすごい。
そんなことをしみじみ感じたツアーでした。
あの地震の前に聴くのと、
後で聴くのとでは心情的にも受け止め方がぜんぜん違う……。

生き方や社会のあり方を大きく揺るがしたあの大地震の後に、
こうしてツアーが無事に開催され、
ミスチルの音楽をライブで聴ける喜び。
なんてありがたく、なんと素晴らしいんだろう。
1曲1曲をかみしめて聴いた、とても充実したツアーでした!

<ここからネタバレ注意!!!>

セットリストから


1.overtune~蘇生
2.HOWL
3.名もなき詩
4.I'm taking about Lovin'
5.エソラ
6.HANABI
7.くるみ
8.花~Memento Mori
9.es

10.Dive~シーラカンス
11.I
12.ロザリータ
13.365日
14.ロックンロールは生きている
15.フェイク
16.ポケットカスタネット
17.HERO
18.擬態
19.Prelude

<アンコール>
20.横断歩道を渡る人たち
21.fanfare
22.Forever
23.かぞえうた

「SENSE」収録曲は12曲中10曲を演奏!
(やらなかったのは「蒼」と「ハル」。個人的に好きなので残念)
のれる曲が続くのか!と思いきや、
再び一休みが入ったりする曲に戻るといった部分もありましたが、
セットリスト的にはまずまず良かったと思います。
「SENSE」の主要曲は網羅しているので満足。
贅沢いえば1つぐらい超B面曲か昔の曲が入っていると、
はっとしてよかったかなとか。

●出だしは怒涛の3連発!1曲休んでまた1発!
なんかラピュタのような空中都市っぽい場所と、
気持ち悪い仮面をかぶった男の子が、
ルービックキューブをしている映像から始まり、
ちょっと「???」だったが、「overtune」が流れ出し、
もしや「蘇生」?!とのっけからテンション上がったところで、
メンバー登場し、いきなり「蘇生」!

出だしのギターがかきならす音を聴いただけで、涙があふれてきた。
ライブを楽しめる幸せ。
これからまた新たなスタートを切っていこうという、
すごく勇気を与えてくれる曲。
そして何より前向きで明るい。
「蘇生」は地震後の出だしにふさわしい曲選びではないか。

ライブを終わって知ったが、
地震前のライブでは、
「蘇生」ではなく「NOT FOUND」だったらしい。
ミスチルがセットリストを変えることは珍しいが、
地震後を意識したふさわしい1曲目だと思う。
※個人的には「SPLIT THE DIFFERENCE」の流れで、
あの鬼気迫る感じの「NOT FOUND」を聴きたかったなと思いつつ、
地震後ということを考えると、文句なしの素晴らしい選曲かと。

「蘇生」はすごくミスチルっぽい曲なので大好き。
ミスチルの曲調がマイナスからプラスに転換した、
はじめの第一歩的曲ではないか。
これから何かがはじまるワクワク感を感じさせるこの曲。
自分で現実を変えていけるんだという勇気を与えてくれる曲。
音楽の力ってすごい。

「蘇生」が終わると、
桜井さんが盛り上がっていこうみたいなことを随分煽る。
なんかいつもの桜井さんらしからぬ、
ちょっとサザンの桑田さんっぽいかなと思ったら、
2曲目はアルバム「SENSE」から「HOWL」!

この曲、はじめにアルバムで聴いた時、
歌い方といいなんか桑田さん意識したのかなとか、
ちょっと違和感を感じてはいたんだけど、
ライブでは盛り上がる実にいい曲!
家で聴くより、ライブ向きの曲かもしれない。

アップテンポだし叫びどころもあり、
手拍子鳴り止まぬノリノリな感じ。
とってもいいです、「HOWL」!
細かいこと考えずノレるところがいいのかも。

そして3曲目に、田原さんがよく見るギターに変え、
桜井さんも青いアコギを持ったことから、
「ひょっとして、名もなき詩か?!」と思ったら、
やっぱりきました、「名もなき詩」!

何度聴いても名曲。
「HOWL」で盛り上がった後というのは、
ややセットリスト的に違和感あるかなと思いながらも、
何百回、いやもしかしたら何千回、何万回聴いている、
名曲のメロディーがすっと耳に入ってくると、
そんなことは忘れてしまった。
最近はライブ前半で使うような形が多いように思う。
何年たっても「名もなき詩」は、
ミスチルの代名詞的代表曲。

はじめの3曲であまりに盛り上がりすぎたところで、
ちょっと変化球、トーンダウンした、
「I'm taking about Lovin'」。
初期のミスチルを彷彿とさせるような、やさしい感じの歌。
ライブでつなぎでほっと一息つくにはいい曲かも。

このままトーンダウンした落ち着いた曲が続くのか?
と思ったら、カラフルなライトがつきだし、まさかの「エソラ」!
いや~こんな前半でもう「エソラ」が出てくるとは!
しかしミスチルが目指したポップな曲の到達点とも言うべき、
「エソラ」はほかの曲と持つ威力がぜんぜん違う!

曲が奏で始まった途端、
目の前の風景が灰色からぱっと虹色に変わるような、
世界を明るくする力を持っている。
そして楽しくってぴょんぴょん飛び跳ねたくなる!

私の前にいた小学生の男は、
ライブ中、ほとんどずっと座っていたが、
この「エソラ」だけは立ち上がって飛び跳ね始めた(笑)
そのぐらい現実を明るくしてくれる、素晴らしい曲です。

「エソラ」を聴いてやっぱり「SUPERMARKET FANTASY」って、
ミスチルの最高傑作であり到達点だったんだなと思う。
だからこそ「SENSE」で“新機軸”を打ち出さざるを得なかったんだろうけど。

●過去の聴かせる名曲セレクション!
ここでMC。
地震があっただけに、何かそれに関連したことを、
はじめに言うんじゃないかって思っていたら、ここで発言。
ちゃんとは覚えていないので、
不正確だとは思いますが、大意はこんな感じ。

大変なことが起きてしまって、
ライブにどう向き合ったらいいのか、
どうパフォーマンスしたらいいのか、
楽しんでいいのかとかいろいろ考えた。
みなさんもうしろめたい気持ちとか、
何か自分にできることはないかとか、
考えている人も多いと思う。

でもこんなことがあったからこそ、
みんなと一緒に音楽を鳴らせて楽しめるこの時間を、
普段以上にありがたく思い、
その幸せをかみしめて目一杯楽しみたいと思う。

MCがなくても長野の会場ははじめから、
随分楽しんでいたみたいで、
MCの前から桜井さんが「おまえらすげえ」「楽しんでる」
みたいなことを言っていたので、
会場の観客的にはそれほど気にしていなかったのかもしれない。
だから「うしろめたさとかがあるかもしれない」と言った時に、
「楽しんじゃいけないのか」みたいな感情を、
逆に想起させて会場のトーンを冷やしてしまわないか、
と一瞬気になったけど、そこはさすがは桜井さん。
社会的にもヒステリックな自粛ムードもやっと終わりかけ、
むしろ自粛がより経済的二次被害を拡大させかねないという認識が、
ようやく広まりつつある時だけに、
桜井さんのMCはとてもよかったと思う。

MCが終わると、最近の名曲「HANABI」!
やっぱりいいです、こういう切ない曲が。
「SENSE」みたいに全部勢いでえいやって感じじゃなくって、
1つ1つの歌詞が染み込んでくるような、
「HANABI」のような曲がたまらない。

ライブで盛り上がる曲っていうのもいいけど、
誰もが固唾を飲んで桜井さんを見守って、
歌声に耳をすませて、それぞれが、
この曲の歌詞を味わうって感じが、
アルバムで聴くのとはまた違って、余計にじ~んとくる。

そしてこの流れでさらに「くるみ」!
この曲もまた「HANABI」タイプの曲で、
切なくしんみり思わず聴き入ってしまう曲。
ミスチルってノリのいい曲だけじゃなく、
こういう曲があるからこそ素晴らしいんだよなって、あらためて再認識する。

ただ桜井さんの声の調子がやや悪いせいなのか、
2005年「I love U」ツアーでやった時ほどの、
心が震えてくるような感動まではいかなかったんだけど、
でも間違いなく名曲です。

そしてこの流れで久々の「花」!
懐かしい!そしてライブで久々!
あまりにも切なすぎる曲だけど、
今はむしろ無理やり盛り上げる曲なんかより、
こういうしみじみ切ない系の曲の方が心に残るのかも。
久々に聴けてすごくうれしかった曲。

そして前半最後、この切ない系で続く締めが「es」!
これもミスチルのライブでは超久々。
ただ2010年のapfesで久々にこの「es」を演奏したら、
一部のファンが「「es」を演奏する時は解散って意味だ!」
なんて大騒ぎしたのがネット上とかで広まっていたけど、
さすがに今はそんな感じはなく、観客も動揺した感じはなく聴いていた。

やや演奏が“強すぎた”のか、
桜井さんの歌声が聴きづらいかなって気がして、
もっと切ない歌声だけを聴かせる感じで、
演奏は控えめでもいいのになとか、
声の調子が悪いからなのかなとか思いつつ、
切ない系の過去の名曲4連発で前半戦が終了した。

●後半
水の映像とDiveが流れ始めてきたことから、
「深海」の「シーラカンス」か!
最近なんか桜井さん的には、「深海」の頃がお気に入りなのかな。

「シーラカンス」始まったけど、かっこいいし、すごくいい!
「SENSE」のようなやや上っ面的に技術のすごさだけで、
ロックっぽさを出したみたいな感じなんかじゃなく、
桜井さんの内面から醸し出す、
負の感情の凝縮みたいなパワーがみなぎった、
底力を感じる骨太の歌って感じで、
すごく心が揺さぶられる感じがする。
「HOME」→「SUPERMARKET FANTASY」と続いた、
やや明るすぎるポップでやさしい曲調が多かったことへの、
揺り戻しが起きていて、
それを探し求めたら「深海」の「シーラカンス」にいきついた、って感じがする。
個人的には後半スタートの「シーラカンス」はとってもよかったです。

さて「シーラカンス」を皮切りに、
いよいよミスチルライブの真骨頂、
“狂夜バージョン”ともいうべき、
「ニシヘヒガシエ」とか「フェイク」とか、
激しい曲調バラグラフに突入するのかなと思ったら「I」。

個人的にはこの「I」、ほとんど聴いてない。
「SENSE」は必ず2曲目の「擬態」スタート。
マイミクの方にもツイッターの方にも、
リアル友の方にも2曲目スタートの方、結構いた。

ライブで聴く分には悪くないと思う。
ただ役割的に「シーラカンス」とかぶるのかな。
狂夜がはじまるエピローグ的曲という意味で。
ただ「シーラカンス」に「I」を挟んで、
いよいよ「ニシヘヒガシエ」とか「フェイク」とかと思ったら、
次は「ロザリータ」

女性で結構この曲、好きな人多いみたいですが、
個人的にはちょっとなという感じ。
席うしろでうるさくしゃべっていた女性グループの1人が、
「ロザリータ」がはじまるなり、
「私が桜井さんのロザリータになりたい!」
って声が聴こえてきて興ざめしたんだけど(苦笑)、
なんかそういう聴き方をするといいのかな。
曲調的にはトーンダウンなので、ちょっと拍子抜けしたけど、
桜井さんって意外とこういう曲、好きなんだよなって思う。
いろんな曲のバラエティがあるって意味では、すごいとは思うけど。

「ロザリータ」が終わると、
数字の雑学映像で「365日か!」と気を取り直す。
世界で少年兵が何万人いるとか、
マッコウクジラは一生何万キロ移動するとか、
そういう数字が映像とともにどんどん流されていき、
そして最後に、1年で男女が愛し合える日数は、
「365日」ということでこの曲が始まるのは、
前回ツアーの演出と同じだけどすごくいいです。

「365日」ってほんと名曲。
この曲だけで1つの世界が完結しているすごさというか。
だから前後にどんな曲がこようと関係なく、
この曲が始まった途端、「365日」の世界にどっぷり浸かり、
愛する人のことを思い、自分の住む町を思い、世界を思う。
ストレートなラブソングをライブで聴くと、
心に突き刺さる感じがする。

そして再びニュース的な映像とともに、
始まったのが「ロックンロールは生きている」!
この曲がある意味ではこのライブの中で一番良かったかも!
これぞミスチル新機軸の正統派。
「深海」の頃を思い起こすような骨太さ。
だけどそれでいてすごくかっこいい感じがある曲。
桜井さんが奇をてらって無理して歌っている感じがなく、
ダイレクトに心に響いてくる。
久々に盛り上がる曲がきたこともあって、
会場が一気に活気づいた。

そしてこの流れで「フェイク」!
やっときました、狂夜バージョン!
待ってました、ちょっと遅すぎ?!
ライブ中盤から後半にかけての、
こうした曲調を立て続けに演奏してくれるのも、
ミスチルライブの楽しみの1つ。

今までのライブでは相当「ニシヘヒガシエ」に依存していたが、
この「フェイク」が生まれたことで、
狂夜バージョンの選択肢が広がった気がする。
「ハイジャンプしよう」とともに、
飛び跳ねたくなる激しい曲は、ライブには欠かせない!

「ロックンロールは生きている」「フェイク」に続き、
もう一発、激しいやつがくるかと思ったら、「ポケットカスタネット」。

「ポケットカスタネット」ってはじめは、
静かで落ち着いた感じなんだけど、
後半からどんどん勢いがついてくる感じの曲なので、
ライブの中では「静」から「動」へ転換するには、
もってこいの曲なんだけど、
せっかく立て続けに「動」になっているモードで、
「静」に戻さなくてもいいのにな、
とちょっと違和感を覚えたセットリスト。
曲自体はすごくいいんだけど使いどころを間違えると、
ライブの曲の流れがぷっつり断ち切られてしまう。

「ポケットカスタネット」で、
「静」から「動」になったので、
今度は再び「動」の曲になるかと思いきや「HERO」。
ちょっとこの流れも戸惑いがあった。
「HERO」自体はいいんだけど、
流れの中で聴けない感じかな。
セットリスト的にすごくもったいないかな。

あとこれは非常に個人的な感想だけど、
「HERO」はかっこよすぎて感情移入しにくいかな。
同時期のシングルとしては、「Any」の方がしっくりする感じがする。

ちょっと個人的にはあれっと思う曲が続いた後、
悪い流れすべてを吹き飛ばすような、
「蘇生」「エソラ」なみに、
一瞬で会場の雰囲気を変えたのが「擬態」!

この曲、ほんと最高!
「SENSE」の1曲目の曲だったら、
きっと「SENSE」全体の印象も変わっただろうな。

「蘇生」と同じく、新しい始まりを予感させる、
暗い現実を明るく変えていくプロローグ的曲で、
勇気をくれる力強い曲!
始まった途端、観客の雰囲気が一瞬にして変わり、
どっとわく感じがあった。
音楽は世界を変えられる。音楽は人に力を与えられる。
ライブで聴く「擬態」はこの世の幸せ!
今後のライブでもぜひやってほしい曲の一つ。

そろそろ後半戦終了になるんじゃないかと思っていて、
「HERO」かこの「擬態」で締めなのかな、
でも絶対にこのライブでやるであろう、
「fanfare」「Forever」「かぞえうた」と、
3曲も残っているから、次はどうするのかなと思ったら、
後半戦最後は「Prelude」!

個人的にはすごい好きな曲だけど、
ライブではひょっとして、
すっ飛ばされちゃうんじゃないかと、
心配していたけどやってくれた。

「Prelude」も「蘇生」「擬態」のような、
プロローグ的な曲調で前向きに生きていこう的曲。
ちょっとこの手の曲が多いかなと思いつつ、
でも「Prelude」ってかなり凝った作りになっているから、
そんなに飽きた感じはなく、同じ曲調でも十分聴ける、
というよりむしろこういう前向きな曲が多い方が、
今の心情的にはうれしい。

「擬態」に続き明るい曲調でみんなノリノリになっている時に、
かなりびっくりしたのは、
最後の方で途中で演奏をぴたっと止めてしまうこと。
えっ、これで終わりだっけ?
次は何やるんだろう?
観客も終わったかと思って拍手。

すると歌詞の続きで「さあ耳を澄ませてごらん」
の桜井さんが突然歌いだし、
新しい曲が始まったのかと思いきや、
「Prelude」の最後のサビをまたはじめるという、
ちょっと消化不良な演出。
しかもこの「Prelude」でアンコール前のラストとは思わず、
「fanfare」「Forever」のどちらかは、
アンコールでやらずに終わってしまうのではないかと、
やや不安な面持ちのまま後半を終えた。

●アンコール
桜井さんが登場し、「もっとみなさんと近くになりたい。
実は会場にスイッチがあり・・・」
なんていうからまた前に出てくるのかと思ったら、
「スイッチなんかあるわけないじゃん!」
と笑いを誘う一幕も。

「物質的な距離じゃなく心を近づけたい」
みたいな話をした後、
「みなさんの町の最寄りの横断歩道を想像して・・・」
というMCから、やっぱりやってくれるんだ!
「横断歩道を渡る人たち」をとテンションが上がる。

B面曲でそれほど存在感のなかったこの曲が、
「Split The Difference」を通じてアレンジを変えて、
劇的に生まれ変わり、
「Split The Difference」の中心的存在の曲にまでなった。
ライブDVDを見る度にこの魂が震えるほどの、
アレンジを変えて生まれ変わった、
「横断歩道を渡る人たち」をぜひ次回のライブでやってほしい、
と願っていたけど、ついにやってくれた。

ライブDVDで見た強烈なドラマティックな映像が、
目にも耳にも焼きついていただけに、
それと比べるとやや強烈な印象はなかったんだけど、
素朴だけど魂がこもった曲っていうのは、
こうも人の心を揺さぶるものかと思った。

「Split The Difference」は、
過去の曲に魂と技術の2つを注入することで、
ミスチルの音楽が今まで以上により心揺さぶる曲として聴こえてくる。
その代表曲がまさにこの「横断歩道を渡る人たち」だ。

いよいよ残りわずかなアンコール2曲目。
あれをまだやってないぞ!
あれが一番前回ツアーで盛り上がったんじゃないの?
そうそう、あれあれ!
やっときた!「fanfare」!

ミスチルがどうかしてしまったんじゃないかと思うほどの、
吹っ切れ具合の新機軸がまた実に最高。
いろんな細かいこと考えず、
ただ音を聴き、体を揺らすっていう、
それが自然にできるこの曲のパワーのすごさ!
こんだけ吹っ切れた曲作れるっていうのもすごいし、
それが今、聴くと今までにない感じなのに、
実にミスチルっぽく聴こえるから不思議。
会場は最高潮の盛り上がりに!

さて問題はアンコールが全部で3曲だとすると、
最後に震災義援金のための「かぞえうた」をやるとすると、
「SENSE」の代表曲でもある「Forever」はやらないのかなと思ったら、
やってくれました「Forever」。

言うまでもなく名曲。
切ないしみじみとした曲。
なんてこんなに素晴らしい歌詞が書けるんだろう。
なんだか泣けてくる。
毎日の日常を思い、一人一人が自分の生活にあてはめ、
今とこれからを夢想する。

なんて切ない曲なんだろう。
そしてライブの終わりを締めくくる、エピローグにふさわしい曲。
じーんときます。

そして本当の最後。
「もう1曲だけやらせれくれる?」
何を言っているんだ。当たり前じゃないか。
この曲をやらなければ終われない。
震災義援金のために急遽、作られ、
4/5に配信されたばかりの「かぞえうた」。

「ミスチルがこれまで発表した曲は何曲あるのか、
急に知りたくなってマネージャーに電話して聞いたら183曲あった。
でももう1曲増えて184曲になった。
この曲が生まれたことが喜ばしいことなのかはわからないけど」
そう、震災がなかったら生まれなかった曲。

「震災後の3/14にメンバーが集まり、
震災復興のために何かできないかという話になり、
ドラムの鈴木君から、
曲を作ってその収益を義援金にあてるのはどうだろう?という話が出た。
それはグッドアイディアだと思ったけど、
でも作るのはオレか・・・」と桜井さん。

そりゃそうだろう。
復興支援するための曲ってものすごい難しい。
前向きすぎたり、がんばれ一辺倒だと、ズレがある感じもするし、
だからといって楽しい曲を書くわけにも、
激しい曲を書くわけにもいかない。

「ドラマの主題歌とかはすごくいやらしく作れるんですよ。
例えばガッキーと誰かがここでいい感じになって、
その時にこんなフレーズが流れてきたらいいみたいな!
でも今回はそうはいかない」

「曲を作って人を感動させるという行為も、
この災害を前に不純に思えてしかたなくて、
どうしたらいいのか何日か悩んでいたのですが、
ふと「かぞえうた」というフレーズが浮かんできて、 この歌に辿り着きました。

1本でもにんじん、2足でもサンダル・・・、
というあのかぞえうたが思い浮かんできてできた。
何もかも失い、悲しみ苦しみに取り囲まれている状態でも、
希望を探して数えていけたら。そういう力が人にはあると」

MCの後に「かぞえうた」。ほんとにいい曲です。
曲を聴く前に歌詞を見てちょっと心配した。

「きっと わらえるよ」とか、
「きぼうのうた」といったフレーズは、今の段階でどうなんだろうと。
でも聴いてみるとぜんぜん違和感はなかった。
むしろとっても勇気づけられる曲だった。
歌詞はほとんどひらがななんだけど、
1パラグラフだけ漢字が混じっているところがあって、
そこだけ力強く歌っているのがすごく印象的。

この曲は被災地や被災者のための応援ソングというよりむしろ、
それを取り巻く周囲の人たちへの応援ソングなのではないか。
被災地、被災者という実態のあいまいな言葉が一人歩きし、
テレビが報道する一部の特定地域だけがイメージされ、
その後の意味不明な不謹慎、自粛を始めてしまったせいで、
被災地や被災者だけでなく、
日本全体が二次被害、三次被害に悩まされている中で、
「ひとつふたつ もうひとつ」とかぞていくこと。

ゼロからの出発。
物があまりにも多すぎて、
100個あるけど1個なくなったら、
99個しかないと不満をわめく意識じゃなく、
1個もあった2個もあった3個もあったって、
一つ一つを大事に積み重ねていくような生き方をする。

そうした積み重ねが新しい復興への道なんじゃないか。
だからこそ被災地・被災者ではなく、
その周囲にいる人たちが変に気を使って気を落としてないで、
希望を1つ1つ見い出すべきだって歌に私は聴こえてくる。

地震のために生まれでたミスチルの184曲目の曲は、
きっと多くの人を勇気づけてくれると思う。
そして何より収益がお金として被災地・被災者に行く。

大震災が起きた後に聴く「SENSE」ツアーは、
まったく違う感慨を持って聴いた。
1曲1曲をかみ締めながら、ライブを聴ける喜びに浸りながら、
今まで当たり前だったこうした日常がとても貴重に思えてくる。

そして日本全体が心理的に沈みきった中で、
ミスチルの力、音楽の力って、
人に勇気を与えてくれるすごいものだと感じた。

ミスチルからもらったパワーを、一人一人が日常にかえって、
いろんな形で社会にいい形で還元していくことが、
社会にプラスの連鎖を起していくのではないかと思います。

私もがんばりたい。私ができることで。

http://www.kasako.com/mrchildren.html
by kasakoblog | 2011-04-10 23:52 | ミスチル

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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