クーラー我慢の前にやることある
2011年 05月 11日
「5月でこんなに暑いんじゃ、この先もっと大変になる」
と思った人も多いと思うが、
実は毎年、この“不毛”な会話が繰り返されている。
ここ数年、だいたい5月は暑い。
5月に真夏のような暑さがきて、
「このまま暑くなったらどうしよう」といいつつ、
5月だからという理由でクーラーを我慢しながら、
分厚いスーツを着込んでネクタイ締めている滑稽な姿が、
またしても今年も繰り返された。
しかしその後、急に涼しくなる。
梅雨に入るからだ。
むしろ肌寒い日も多く、
「5月からずっと暑くなるのではないか」
と懸念をすっかり忘れて、
また今年もそのように思ってしまう。
しかし今年はいつもとは違う。
ちょうど大地震と原発事故から2カ月が過ぎたが、
原発事故による原発運転停止により、
「電力不足だから暑い夏になる」と、
執拗にマスコミが煽っている。
まるで「原発停止したらクーラー使えなくなるけどいいのか?」
と反原発の流れを止めるために、
脅し文句を言っているように思う。
でも不思議に思う。
別に日本はフランスのように原発で、
電力の8割をまかなっているわけではなく、
たかだが3割に過ぎない。
3割削減するのは大変なことだが、
最近のマスコミは何が何でも原発を維持したいがために、
「電力不足=国民はクーラーを使ってはいけない=お前ら死ぬぞ=
だから原発は維持しなければならない」と、
クーラーというわかりやすい脅し文句を繰り返しているが、
なぜ節電がクーラーだけなのか意味不明だ。
というよりも原発で電力が仮に30%不足したとして、
残りの70%を夏に何に使うか考えた場合、
最も優先されるべきはクーラーだと思う。
なぜならクーラーがなければ、
仕事にならないし、熱中症で死人も出るからだ。
なぜ他の不要な電気を削ることを考えずに、
クーラーを使えないような雰囲気を煽るのか。
そこには原発維持が透けてみてとれる。
クーラーを使わないことの前に、
何十万世帯分の電力を使う、
自動販売機を禁止するとかパチンコを禁止するとか、
なぜそのような方向に行かないのかが不思議だ。
自販機やパチンコで金をもらっている人がいるから、
潰すわけにはいかないから、
熱中症で死人が出ようがクーラー我慢することが先って雰囲気は、
まったくもって本末転倒だと思う。
一体、何のための電気なんですか?と。
わかりやすくてなくてもいい自販やパチンコだけでなく、
他にもいくらでも70%の電気しかないなかで、
優先順位が低いものは人間が死なないために、
節電を強制するのは、
原発事故という世界的にとんでもない犯罪を犯した日本人に、
当然の報いといえる。
ただ誤解なきように言っておくが、
何度も日記で書いているけど、
節電政令で制限や禁止する業界の人を、
いきなり切り捨てて路頭に迷わせてもいい、
といっているわけではなく、
再就職ができるよう税金でバックアップをすればいい。
例えば、代替エネルギーとか自家発電メーカーとか、
逆に電力不足で需要が高まっているところに再就職枠をつくって、
就職させるようにするとか、
2年間の生活費を特別失業手当みたいな形で出すとか、
家をあげるとかすればいい。
さらに不思議なのは、
電力不足でクーラーが使えず暑くなる、
と脅されているにもかかわらず、
未だに多くの企業が軽装を認めていないことだ。
電力不足というが、
オフィスでも電車でも店でも、
夏のクーラーが寒すぎるという経験をしたことがある人は多いだろう。
寒すぎる。つまり今までが電力使いすぎ。
使いすぎを是正するために、30度を超えても、
スーツとネクタイしているというアホな慣習やめればいい。
クールビズなんてエコごっこの中途半端なものではなく。
そしたら今まで通りの気温の暑さであっても、
体感温度は下がり、電力消費量も下げられる。
先日、ニュースを見ていて実に滑稽だったのが、
インドに進出する日本企業の社長と、
現地法人の社長がばっちりスーツに身を固め、
ジャケット着てネクタイをしていたことだ。
ところが取引先のインド人は、
当たり前だけど、ジャケットなんか着てないし、
ネクタイなんかしているわけがない。
日本人でもインドで20年働いている社員は、
同じくジャケットもネクタイもしていない。
当たり前の話である。暑いんだから。
日本もインド並みに暑いのにもかかわらず、
TPOをわきまえず非常識な厚着をして、
そのために無駄なクーラーいっぱい使っている。
だったら服装変えれば、電力が多少減っても、
暑くなく過ごせるんじゃない?
ってなぜそこに発想がいかないのか。
だから原発をなくせないのである。
日本は自分の頭で考えない人を増やすことに注力してきた。
それによって政官財がぼろ儲けできる体制ができた。
だから原発が安全だなんて嘘がまかり通ってきた。
既得権益をむさぼる人が一番恐れるのは、
国民一人ひとりが自分の頭で考えることだ。
「なんで暑いのにネクタイ着ける必要あるの?」
って当たり前のことを疑問に思う思考能力があれば、
こんなに電力はいらないだろうし、
原発が全廃できなくても少しは減らせるだろう。
しかしそんな風に考えられたら、
原発でぼろ儲けしている人たちが儲けられなくなってしまう。
だから国民に考えさせないようにして、
ひたすら「原発止めたらクーラー使えなくなって暑くて死ぬぞ」
と脅し続けることが可能になるわけだ。
3.11から2カ月。
今までの当たり前や常識は変わった。
変わらなければ日本は生きていけない。
そのためには国民一人ひとりが今までの常識を疑い、
マスコミや政治家や学者や官僚や企業の言っていることを疑い、
自分の頭で物事を考えられるならなければならない。
スーツを着てれば毎日着る服を考えなくてもいいからラクだ。
こうやって国民の思考能力を奪い、
国民をバカにすることが、
日本社会にあらゆるおかしな問題を生む原因となっている。
今までは国民が何も考えなくてもいい生活ができた。
しかしそれは幻であった。
そろそろ国民一人ひとりが、
自分の頭で物事を考えるべき時がきたのだと思う。
「みんながこう言っているから」
「今までがこうだったから」
という思考停止の言い訳を一人ひとりがやめることが大事だと思う。