意味なし!サマータイムごっこ
2011年 05月 31日
震災が起きて原発のずさん管理が明らかになり、
節電を余儀なくされた日本企業は、
エコごっこではなくマジエコを始めなくてはならないのに、
未だにエコにも節電にもならない、
対外的なパフォーマンスや一過性のブームなだけの、
エコごっこをしようとしている企業が多いことに驚く。
その代表例がサマータイム導入だ。
サマータイムとは夏の間、
始業時間と終業時間を早めること。
しかしこれで本当にエコになるのか、
節電になるのか大いに疑問がある。
問題1:サマータイムでもピークにかぶっている
節電が最も必要なのは、
平日の昼間の暑い最中だろう。
CO2うんぬん以前に、首都圏では近年、
海からの風を遮る湾岸高層マンションや、
湾岸高層ビルを建ててしまったがために、
年々異様に暑くなっている。
特に夏12時~15時ぐらいはめちゃくちゃ暑い。
このくそ暑いピークの時間帯に、
企業が一斉にクーラーを使うから、
原発なき今、電力不足の懸念が騒がれている。
それでサマータイムですか?
始業を8時にしても終業は16時。
始業を7時にしたところで終業は15時。
電力を最も使うピークにかぶっているじゃないか。
これでは電力不足対策にはならないのではないか。
つまりピーク時間をずらす真の節電対策とは、
工場が夜間に操業するとか、
電力を多く使う平日を休みにして、
土日に営業するとか、それが真の対策のはず。
8時~16時のサマータイムなんてはっきりいってまるで意味なし。
それだったら、15時~24時のナイトタイム制の方が、
まだ効果があるのではないか。
サマータイムを導入してもピーク時間の電力問題解決にはならない。
問題2:朝も暑いしオフィスは暗い
とはいえサマータイムには、
ピーク時間うんぬんではなく、
無駄な電気を使わないという効果があるではないか!
という人も多いだろう。
しかしサマータイムによって節電効果が生まれるには、
2つの条件が必要だ。
1:朝早いと暑くない
2:朝早いと明るいから電気をつけなくて済む
さて日本ではどうだろう?
はっきりいって早朝から首都圏はうんざりするほど暑い。
1時間早めたところでクーラーは使わざるを得ないだろう。
だからクーラー使う時間が1時間早まっただけで、
劇的な節電効果があるかはかなり微妙だ。
もう1つの照明。
確かに外は明るい。
でも多くのオフィスでは、
外が明るかろうが日中も夜も変わりなく、
ずっと照明ついているんじゃないか?
朝早く起きて明るいからオフィスの照明を消して仕事をするなら、
節電効果はあるだろうが、
今も多くの企業は昼間明るかろうが、
照明はついているのではないか。
つまり朝早くしても節電にならない可能性が高い。
問題3:残業時間が1時間増えるだけ
さらに日本の場合やっかいなのは、
サマータイムで終業を1時間早めたにもかかわらず、
今までと同じ時間まで残業する可能性が高いことだ。
今だって終業時間ジャストに帰る人は、
日本では少ないのではないか。
いや、仮に仕事が終わっていたとしても、
17時ぴったりにさっさと帰れる雰囲気じゃないから、
なんとなく人の様子見ながら、
だらだらだらだら残っている。
まして趣味もなく家庭も省みない、
仕事しか趣味のない人間が上司になって、
いつまでも会社に居残っていると、
部下は余計に帰りずらくなる。
この負の連鎖がサマータイムによって1時間長くなり、
結果、サマータイムを導入したせいで、
導入前より1時間電力消費量が増えました、
なんてアホなオチになりかねない。
それだったらサマータイム導入しない方が、
電力消費量少なくて済んだんじゃないって話だ。
・・・・・
サマータイムの前にやるべきマジエコ、マジ節電
あまり意味のないサマータイムを、
ブームだからとか他の企業がやっているからだとか、
そんなことで始めても意味がない。
では本当に節電するなら何をすべきなのか。
対策1:軽装義務
まずやるべきは軽装義務化だろう。
これをやらずして何が節電かって話。
毎年夏になると問題になるのが、
男女間のクーラー戦争だ。
女性は軽装で涼しい格好しているのに、
男性がジャケット着てネクタイつけてるせいで、
その暑さに合わせてクーラーの温度が設定されるから、
女性はかえって寒く、
むしろ春秋より夏の方が厚着しなきゃいけないみたいな、
おかしなことがもうここ何十年も続いている。
服装問題に手を出さずして、
何がサマータイムか、何がエコか、何が節電かって話。
まずは軽装義務から始めるべき。
対策2:労働時間コントロール
日本の悪しき慣習はだらだら長く働くこと。
会社以外に趣味のない人間が多いせいもあるだろう。
無駄に残業時間も長い。
節電だのエコだのいうなら、
労働時間が長い企業には環境負荷をかけているということで、
環境税を徴収するとか罰金をとるとかぐらいして、
無駄な残業時間を削減する努力が必要だ。
残業時間が減れば、オフィスでの電力消費は減る。
対策3:有給休暇100%取得義務&長期休暇
労働時間が長いだけでなく、
有給休暇すら消化できない奴隷労働日本。
休みをちゃんと取らせば今までより総労働時間は減るだろう。
そしてヨーロッパを真似てサマータイム導入するなら、
長期夏期休暇=バカンス制度も導入すべきだ。
暑い夏は節電のため社員を1カ月ぐらい交代で休ませる。
夏の間は休んでいる社員を増やして、
4フロアで照明やクーラーを使っているのを、
3フロアで済ませるとかすれば、
劇的な節電効果がある。
日本は消費税増税の時だけヨーロッパを真似るくせに、
他の制度は真似しない。
長期休暇制度も導入すればよい。
対策4:在宅勤務の推進
今やオフィスでの働き方が劇的に変わった。
事務系社員はほとんどパソコンとメール。
営業系社員はケータイまたはスマートフォン。
それでだいだいの仕事が事足りてしまう。
そういう形態で仕事をしている企業が、
在宅勤務を推進すれば、
オフィスでの大量電力消費に歯止めがかかり、
家庭での少量電力消費で済むはず。
100%在宅勤務が無理だとしても、
水曜日は在宅勤務の日とか、
少しでもいいから在宅勤務を増やせば、
かなりの節電が期待できるのではないか。
ところが日本では技術的には可能なのに、在宅勤務が進まない。
それは仕事をしに会社に来ているのではなく、
会社に来ることが仕事という感覚の人が多いからだ。
だから会社に来ないで仕事をすることに、
対応できない社員が多い。
だからいろいろもっともらしい言い訳して、
在宅勤務を闇に葬り去ってしまう。
でも震災で明らかになったように、
計画停電で電車の本数が激減するとか、
災害が発生した場合には、
会社に来たくても来れなくなる可能性が高い。
今後も大地震の可能性もあり、
大量放射能放出の可能性もあり、
さらには新型インフルエンザといった、
疫病の流行といったことも起こり得る今、
会社に来ないと仕事ができない企業は、
災害が起きたら潰れてしまう可能性が高くなる。
今こうしたBCP(事業継続計画)的観点から、
IT技術を使ってどこでも働ける体制にしようと、
真剣に取り組む企業も増えている。
節電という観点だけでなく、
災害が起きて外に出れない、
電車が動かないといった場合などにも備えて、
在宅だろうがカフェだろうが、
仕事をできるような体制を導入することが大切だ。
こうしたさまざまな取り組みをした上で、
やっとさらに付け加えてサマータイム、
導入しましょうか?って話ではないか。
サマータイムと空騒ぎして、
上記のような対策を怠っている企業は、
エコごっこ、節電ごっこをしているに過ぎないと思う。
震災と原発事故は、日本の働き方を見直し、
生活、人生を見直す絶好のチャンス。
上っ面の制度だけ導入しても、
意識が変わらず今まで通りの働き方をしていれば、
そりゃ電力は足りなくなり、
原発がないとダメだという、
またしても同じ最悪の過ちの繰り返しにしかならないだろう。
あれだけの大事故が起きた今こそ、
企業はエコごっこ、節電ごっこではなく、
マジエコ、マジ節電を。