仮設住宅に入居が進まない理由~家電6点セットのワナ

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仮設住宅ができて当選したのに、
入居しない被災者が多いというニュースが出始めた。
一般人は「なぜ?」と思う。
避難所はプライバシーもなく集団生活で疲れるのに、
せっかく当選したのになぜ入居しないんだと。
その1つの理由が、家電6点セットである。

5月中旬、福島県いわき市の避難所を訪れた時のこと。
方々から「家電6点セット」という言葉が聞こえてくる。
いわき市は仮設住宅や借上住宅の確保などが順調に進み、
避難所にいる被災者のなかには、
すでに入居が決まった人が多いのに、
なぜか避難所から出れずにいる。
理由は、日本赤十字社が仮設住宅に入居する人に寄贈する、
家電6点セット(洗濯機、冷蔵庫、テレビ、炊飯器、電子レンジ、電気ポット)が、
遅れているからだった。

一般人はこう思う。
仮設ができたら万々歳じゃないか。
悲惨な避難所生活なんかやめればいいのにと。

しかし避難所にいる方は、
1:家がない
2:車がない
3:仕事がない
という方ばかりだ。

家財道具も一切なく、収入も途絶えているなか、
仮設住宅ができたところで、
家電がなければ生活できない。
仮設ができたけど家電の支援が遅れていれば、
家電が来るまで避難所に待たざるを得ないのだ。

それでも家電しか支援されない。
当たり前だけど生活するには、
ふとんもいる、食器類もいる、衣服もいる、
その他さまざまな生活用品がいる。
それを一から全部取り揃えようと思ったら、
贅沢しなくてもえらいお金がかかってしまう。

仕事がなくなっておらず、
収入が入ってくるならいいが、
多くの被災者は仕事もない。
無収入のなかこんなに生活用品を取り揃える出費ができるか。

さらに避難所にいれば食事は支給されるが、
仮設に移れば食事は支給されない。
無収入のなか食費だってバカにならない。

別に避難所で一緒にいる地元の人たちと離れるのがイヤとか、
そんな感傷的な理由ではない。
もちろんそれも大きいが、
家だけ用意されても経済的に立ち直る見込みがないため、
移れないのが現実だ。

しかも仮設は仮設にしか過ぎない。
別にその家をプレゼントされたわけではない。
いつかは仮設を出て、自分で家賃を払う場所に引っ越さなければならない。

私たちが思っている以上に悲惨な状況が続いている。
仮設住宅ができればはい終わりではない。

そこに輪をかけて原発事故による放射能問題がある。
放射能問題がなければ、仕事の復旧は早いかもしれない。
しかし大気も土壌も海水も広範囲にわたって、
放射能汚染されている状況ゆえ、
仕事を復帰しようにも復帰できないのだ。

そこまで状況を説明されてやっとわかるだろう。
「単に仮設ができればいいってわけじゃないんだな」
「仮設に移れないのは当然だよな」

避難所に必要な物資と仮設住宅入居者に必要な物資は違う。
避難所にいる人を支援するということならイメージしやすいが、
仮設に入ってしまった人を支援するという想像はなかなか働きにくい。
こうしたことも今やボランティア頼みになっている。
そして与党も野党も菅の震災対応が悪いとわあわあ茶番を演じている。
茶番を演じている暇があったら、
仮設入居者に家電6点セットだけでなく、
生活用品を支給する仕組みとかさっさと作れという話。
でも国も自治体もできないから、ボランティアまかせになり、
でもボランティアだって無償でやっているわけで限界があるから、
いずれ被災者が潰れてしまうという状況がある。

被災者がかわいそうだからという、
同情心や正義心で言っているわけではなく、
誰もが地震大国、原発大国、日本に住んでいる限り、
彼らと同じように、家に住めなくなり、仕事もなくなり、
避難を余儀なくされる可能性があるということだ。
そう考えれば被災者支援は他人事ではなくなるはず。

そんなわけで引き続き被災地取材を続けて、
何が問題か何が必要かをレポートしていきたい。
またみなさんの方でも、
「こんなボランティアをしている団体があります!」とか、
「この場所がこんなことで困っています」といった情報があれば、
教えていただければありがたく思います。
可能な限り取材して、広く認知に務めていきたいと思います。

被災地レポート&写真
http://www.kasako.com/110311top.html

by kasakoblog | 2011-06-13 22:39 | 東日本大震災・原発

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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