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いいことって素直にできない

月曜終電間際の電車の中。
若い学生っぽい男の子が、
ケータイを床に落として、
電車の座席を占拠して寝転がっている。
酔っ払ったのだろうか。

私が電車に乗ってそれを見て第一に思ったこと。

「この人の席の近くにそのまま座るべきか、
酔っ払ってげろったりする可能性もあるから離れるべきか」
という自分の損得にかかわることだった。

でも、と思う。
寝過ごしているのかもしれないし、
起してあげた方がいいんじゃないかと、
やっと彼のことに思いをよせる。

でもでもと思う。
酔っ払ってからまれたり、
余計なことしてやっかいごとに巻き込まれてもいやだし、
っていうか私も疲れてへとへとだし、
酔っ払った人間のことなんか構っていられないし、
というかどんどんこの先、人が乗ってくるから、
否が応でも3席も占領して寝転がっている彼は、
たたき起こされるだろうと、
結局、私は他の乗客と同じように、
気になるものの見てみぬふりを決め込んだ。

ところがである。
1駅乗ると、前のサラリーマン風の男性が立ち上がり、
彼に声をかけた。
「ケータイ落ちてるよ。もう東京だよ。
どこまで行くの?寝過ごしてない?」
その人のおかげで学生風の男の子はあわてて飛び起き、
電車を降りていった。

声をかけたサラリーマン風の男性は、
今までずっと目の前に座っていたらしいが、
自分が降りる東京駅でしのびなくなったのか、
どうも声を掛けたようだったが、
それでもそのすがすがしい行為に、
ちょっと恥ずかしい思いをした。
自分も学生風の男の子に声をかけ、
起してあげるべきだったんじゃないかと。

一方で自分が“いいこと”を素直にできない言い訳として、
こんな風に思ったりもする。

「いや、あそこで温情かけて起してあげるより、
誰かにジャマだとたたき起こされたり、
ケータイや財布盗まれて痛い思いをする方が、
彼は今後、その失敗経験から、
二度と記憶をなくして電車に寝そべってしまうまで、
酔っ払うといった行為を慎むのではないか」
とも思ったりもする。

人って痛い目にあわないとわからない。
そう、原発と同じように。
安全だ安全だといわれて、
ほんとはどこかで危険なのではないのか、
しかも安全だというわりに、
たんぱり補助金や寄付金くれるには、
やっぱり危険なんだからなんじゃないのかと思いながら、
でも事故もないんだし安全なのかと思ってしまう。

しかし事故が起きてはじめてわかる。
やっぱり危険だったんだ。
あんなもの誘致すべきじゃなかった。
断固として反対すべきだったと。

こうして事故が起きたことで、
多くの人の安全神話の目が覚め、
それを教訓にして、
今後は原発をなくすべきだという意見が増え、
二度と他では事故を起さないようになるとか。

人は悲しいかな、失敗しないと覚えない。
痛い目にあわないとわからない。
でもたまたま運がよく、
いい人に声かけてもらったおかげで、
何も盗まれもせず家に帰れるみたいなことになると、
もしかしたらまた平然と記憶をなくすまで酒を飲んでしまい、
今度は致命的な失敗を犯し、
下手をすると立ち直れなくなってしまう可能性もある。

世の中いい人ばっかじゃない。
もちろん悪い人ばっかじゃない。
でもやっぱり社会で生きていくうえでは、
マナーってあると思う。

犯罪を誘発させないよう、
札束見せて歩くようなマネをしないとか。
記憶をなくすまで酒を飲むなとか、
思わせぶりな態度とるなとか。

そんな風にして、
彼を起さないで見てみぬふりをした、
自分の薄情さを正当化してみたりしながら、
今日も1日が終わる。

素直にいいことできるような人になりたいなと思いつつ、
でもやっぱり何がその本人にとっていいことなのかって、
難しいよななんて思ったりもしている。

by kasakoblog | 2011-06-21 01:05 | 生き方

好きを仕事にするセルフブランディング&ブログ術を教えるかさこ塾主宰。撮影と執筆をこなすカメラマン&ライター。個人活動紹介冊子=セルフマガジン編集者。心に残るメッセージソングライター。


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