距離に比例しない放射線量の恐ろしさ~飯舘村、原発20kmを測定してきた
2011年 07月 25日
土曜日。原発から20~30キロ圏内=緊急時避難準備区域、
ようは原発が不安定だから何かあったら、
すぐ逃げなければならないエリアに指定されている、
南相馬市の避難所に行ってきた。
えっ、かさこさん、
そんなやばいとこいって大丈夫なんですか?と思うかもしれないが、
そこでの放射線量はだいたい0.20マイクロシーベルト/時程度。
さらに南に進み、原発20キロの立入禁止エリア手前まで行って、
警官の前で放射線量を測ってきたが、
0.20~0.30マイクロシーベルト程度。
今は、という限定がつくが、
そんなに高くないのである。
東京だと0.08~0.15マイクロシーベルト程度。
南相馬が0.20ならそんなに高いとはいえない。
しかし、原発から遠く離れた千葉の柏市の一部などは、
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080500/p008857.html
0.40マイクロシーベルトあるところもある。
原発から20kmの南相馬の2倍もあるのだ。
もうご存知の方も多いとは思うが、
放射線量の多い少ないは原発の遠い近いに関係ない。
原発からわずか20キロでも0.20しかなく、
遠く離れた関東でその2倍もあるといったことが起こる。
これが原発の恐ろしさだ。
近くに原発がなければ被害はないということにはならない。
そのような意味でそんなに近いわけではないのに、
全域が計画的避難区域=放射線量が高いから人は住めません、
というエリアに指定されてしまったのが飯舘村だ。
南相馬市に行くために飯舘村を通った。
高速道路の三春ICを降りてから、
車のなかでガイガーカウンターでずっと計測していた。
0.20~0.40程度で推移したが、
飯舘村に入ってから1.00~1.90に上昇した。
※ただ飯舘村のトンネル内を走っている時だけ0.10まで急減した。
そして外に出るとまた車内は1.00を超えた。
密閉された車の中でこの数値である。
外に出て測ってみるとなんと3.46!
さらに驚くべきことに草むらに近づけたら、
なんと14マイクロシーベルトを超えた。
確かにこんなに高いのなら、
原発から30キロ圏内でなくても、
ただちに避難せよという話になるのはうなずける。
しかし放射能の恐ろしさは見えないし、
線量が高いかどうかは人間の感覚ではわからないことだ。
飯舘村が高いというニュースがあり、
それでガイガーカウンターを持って測ったから、
ほらやっぱり高かったですとわかるに過ぎない。
しかしガイガーカウンターがなければ高いなんてわからない。
線量が高い地域に降りると気分が悪くなるとかなら、
危険を察知できるだろうが、
0.20だろうが3.4だろうが14だろうが、まったくわからない。
しかも日によっても場所によっても数値がくるくる変わる。
まさに見えない敵。
実に恐ろしい。
そしてもっと恐ろしいのは政府や自治体の対応。
福島市なんか毎日発表されている数値では、
1.30マイクロシーベルト程度もある。
この数値は、先月、いわき市側から原発20キロの、
立入禁止エリア手前のJヴィレッジで測った値と同じだ。
しかし放射線量が高くてもまったく避難区域に指定されない。
なぜか。
人口が多くて、福島市全域に避難させる金を負担したくないのと、
大パニックが起きかねないからだ。
私が土日に訪れた緊急時避難準備区域の南相馬市は0.20程度で、
何の区域にも指定されていない福島市は1.30程度。
ほんと恐ろしい。
しかもその恐ろしい効果は即効性がないから、
すぐに良い悪いが判断しにくい。
数年後、数十年後いならないとわからない。
でも例えば5歳のわが子がいたとして、
20年経ち、25歳で放射能のせいで病気になったらどう思うだろう?
みんななるわけじゃないから大丈夫かもしれない。
でもなる可能性は高まる。
親はどう思うか。
なぜあの時、何が何でも逃げなかったのか。
悔やんでも悔やみきれないのではないか。
なぜあの時、国や自治体は逃げる場所を用意しなかったのか。
でもその時の責任者なんてもう20年後には誰もいない。
怒りをぶつける先はもうないのだ。
まだガイガーカウンターを持っている人が少ないことに驚く。
この先、原発がどうなるかわからない。
放射線量は人間の感覚ではわからない。
一家に一台、4~5万円程度のものでいいから、
ガイガーカウンターは手に入れておきたい。
それが放射能に汚染された国に、
これからも生きる第一歩だと思う。
※ちなみに先日、秋田空港から羽田空港までの飛行機内で、
ガイガーカウンターで計測すると0.50~0.70マイクロシーベルトだった。
※私が購入したのは下記のもの。アマゾンで購入しました。
http://amzn.to/j1tQnS
被災地レポ&写真
http://www.kasako.com/110311top.html