米国も自転車操業の多重債務者
2011年 08月 01日
という危機がぎりぎりで回避された。
「米国債」「デフォルト」って何のこっちゃと思うかもしれないが、
話は極めて簡単。
アメリカが借金しまくって、
もうこれ以上、借金ができないから(債務上限)、
借金が返せなくて踏み倒そう(デフォルト)としていたが、
それじゃ大変なことになるから、
もっと借金ができるよう、借金の上限額を引き上げました、
という話だ。
それで借金返せなくなるかもしれない危機が回避され、
めでたしめでたしなんて言っている。
バカじゃないかと思わないだろうか?
まるでサラ金から借金しまくって、
借金しては返し、また借金しては返す、
多重債務者の自転車操業に過ぎない。
何も問題は解決していないのである。
サラ金で働いてきた私から見れば、
米国も日本も欧州も、ダメな多重債務者と同じだ。
何がダメか。
借金を返すために借金をする。
以上。
借金を返すための借金をし始めたら、もう蟻地獄だ。
どんどん泥沼にはまり、借金額だけは膨れ上がり、いずれは破綻する。
簡単なことだし、当たり前のことだ。
米国も日本も欧州も今、この道にまっしぐらだ。
私がサラ金時代に多くの多重債務者を見てきたが、
立ち直るには、
・借金を返すための借金はもうこれ以上、絶対にしない
・支出を削減する
・収入を増やす
この3つをするしか方法はない。
じゃあこれを米国、日本、欧州にあてはめてみよう。
未だに借金を返すための借金をし続けている。
支出を削減するといっても、
目先のちょっとしか節約しかせず、
抜本的な解決(大きな政府から小さな政府へ)をしようとするところは、
どこもない。
それどころか、やれ金融危機だ、景気回復策が必要だと、
貴重な収入を散在しまくって、余計借金を増やしてきた。
最後の収入を増やすなんてもっと絶望的。
もはや先進国で低成長は必至。
増税すれば収入は増えるが、
国民の“体力”が持たない。
米国や日本や欧州がやっていることは、
いわば年金暮らしでろくに収入がない70歳のじいさんが、
これまで100万円の借金をして遊んでしまったツケを、
アルバイトでもして収入を増やして返すならともかく、
サラ金から100万円借金してそれで返したものの、
借りたサラ金が高金利で、
借金額が150万円に増えてしまい、
またその借金を返すために、
今度はヤミ金から150万円借りて返そうとしている。
でも毎日の生活は節約もせず、贅沢三昧で。
そんな感じだ。
人類の発明の中で最も偉大なものの一つが借金だと私は思う。
借金という発明があったからこそ、
資本主義が発達した。
借金なくして今や世界経済は成り立たない。
何を大げさなというかもしれないが、
みなさんだって家や車を買うのは借金(ローン)だ。
大企業だってビジネスするために多額の借金をしている。
はじめに金を借りる。
それで後から儲けて返す。
だから金が円滑に回り、
お金を先取りして経済がうまく回る、
ということが行われてきた。
個人も企業も国家も。
しかしそれは「成長」が大原則だ。
100万円の借金しても、
来年に給料が増えるなら、金利も含めて返すことはできるだろう。
しかし給料が増えなかったら(成長しなかったら)どうなるか。
金利分だけどんどん借金がかさみ、
金が返せなくなるのである。
当たり前の話だ。
そこで返せなくなっては困ると、
借金を返すための借金を繰り返してきた。
だから米国も日本も欧州も、
借金まみれでどうしようもなくなってしまったのである。
それで解決策が「もっと借金ができるようになりました」って、
どう考えてもおかしいだろう。
収入も増える見込みがない、支出も思い切った削減ができない。
それで借金だけして返せますかって話。
返せるわけがない。
これまで資本主義は借金のおかげで発達・成長してきたが、
もはや借金依存主義が限界に来ているのではないか。
サラ金の多重債務者問題だって、
法律が改正され、いっぱい借りられないよう規制ができた。
それを米国は規制ではなく、
もっと借金できるようにしてしまったのだ。
そんなことやっていたら、
単に問題の先延ばしで後の衝撃が大きくなるだけ。
日米欧の先進国国家は、
もはや成長できないろくでもない多重債務者。
借金を規制し、返せなくなったら、
もはや自力での再生は不可能。
金の管理がしっかりできるアドバイザーについてもらい、
徹底的に支出を削減し、
今後も二度と無駄遣いできないように、
強制的な規制の枠組みをつくらないと、
バカな多重債務者なのだから、
またどっかから借金しては無駄遣いすることを繰り返す。
もはや借金資本主義は限界。
米国債デフォルト危機回避は、
資本主義経済の終わりの始まりでしかない。
ちなみに米国債をいっぱい持っている日本は、
米国債がデフォルトすると、
貸したお金が返ってこなくなり、大変なことになる。
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