脱・下請け意識~発注元を増長させるな
2011年 08月 02日
「サラリーマンは自営(フリー)の気持ちがわからない」では、
自営(フリー)の事情に配慮できない、
時間とお金のコスト意識のないサラリーマン(発注元)を問題視したが、
ただ一方で、発注元がフリーランスに対して高慢になるのは、
仕事を失いたくない一心で、発注元に必要以上に媚びる、
一部のフリー(下請け)の態度が原因の1つになっていると私は思う。
発注元から嫌われたくない。
この発注元から切られたら収入が激減してしまう。
だから仕事を受ける前に、ギャラを聞けない。
多分金にならない“ボランティア”になりそうだなと感づいても、
仕方がなくやってしまう。
無茶苦茶な納期や無理なコスト削減も、
仕事がなくなるよりマシだと考え、
無理難題を聞いてしまう。
発注元の言うことをなんでもかんでも聞いてしまう、
下請け意識丸出しの、クライアントに媚びうる、
一部のフリーの人たちの態度が、
発注元のサラリーマンに、
「所詮、自営(フリー)なんて、
無茶苦茶なことを聞く使い捨ての手下」
みたいに思わせてしまうのだ。
発注元サラリーマンの無理難題に辟易しているなら、
自分の「下請け意識」を改め、
対等なパートナーとしての意識を持つべきだ。
発注元がフリーランス(外注先)に仕事を頼むのは、
自分たちにできないことをしてくれるからだ。
時間がない、予算が限られている、人員がいない、ノウハウがない。
だからフリーランス(外注先)を頼る。
発注元にとってフリーランス(外注先)は、
仕事をしていく上でなくてはならない存在なのだ。
つまり仕事を頼む先がないと困る。
だから下請けだからといって、
個人のフリーランスだからといって、
弱小零細企業だからといって、
必要以上に媚びる必要なんかぜんぜんない。
発注先にはない能力を提供できるのだから、
自分たちが考えるしかるべき対価を要求し、
無理難題言うような発注先は自分たちの方から断ればいい。
「何をバカなこといってるんだ、おまえは。
そんなの理想論で、現実にはできるわけないだろう」
と思う人もいるかもしれないが、
無茶苦茶な要求ばかりする発注先と付き合っていると、
ろくなことはなく、
結局、金もあまりもらえず、時間を費やし、
最終的にはいいように使われた挙句、切られる、
というのはみなさんの方がよくご存知なのではないか。
無茶な要求する発注先って要望にキリがない。
すべてを聞いていたらフリーが倒産してしまうし、
そういう発注先は血も涙もないわけだから、
今までのこちら側の努力などすぐに忘れて、
安いフリーランスがいればすぐそっちに仕事を移してしまう。
そんな発注先と付き合っているとろくなことがないから、
堂々と断るべきなのだ。
できないことはできない。
このギャラではできないと。
不思議なもので変な発注先に時間を取られていると、
他の仕事って入ってこないんだけど、
断った途端、他の仕事が入ってきたりする。
多分、自分の仕事ができる“枠”というのがあって、
それが埋まってしまっている間は、
新しい仕事って入ってきにくい。
だからダメな発注先は断るべきだ。
そうするといい発注先が入ってくる可能性が高い。
もちろんそううまくいかないことも当然あるわけで、
ここからが重要なのだが、
フリーだからこそ下請けの待ちの姿勢で仕事をするんじゃなく、
自ら積極的に提案営業していくべきなのだ。
ダメな発注先に文句を言いながら、
それでも付き合っているフリーの多くは、
「営業するのが面倒だ」ときっと心の中で思っているはず。
だから多少、無茶な要求言われても、
今の発注先の言うことを引き受けた方がラクだと思う。
それはそれで一つの生き方・働き方なので仕方ないとは思うが、
それだったら発注先の言いなりになって、
無理難題を黙々とこなすしかない。
でもそんなのイヤでしょ?
ろくにお金ももらえず、発注先だからって偉そうな態度とられ、
でもいつ切られるかもわからないなんて。
だから自分で営業する。
いい発注先を探す。
そうすればダメな発注先の言うこと聞かなくて済む。
実例をあげよう。
私の知っているある編集プロダクションは、
自ら新聞に金を払って広告を打ち、
自ら営業ツール用の冊子を作って、
営業先となるクライアントに無料配布し、
仕事をとってきている。
私ははじめその行動に驚いた。
だって編プロだよ?
いわば編プロって制作の末端に位置する弱小下請け企業だよ。
クライアントの依頼を受けて、
その制作費で広告を作ったり、
冊子を作ったりすることはあっても、
自ら自腹を切って、自らの営業・宣伝のために、
広告や冊子を作るなんて信じがたかった。
私は何社も編プロを知っているが、
採用広告を打ったり、自社の会社案内を作るならともかく、
宣伝用の広告したり、自社の営業ツールを大金かけて作るなんて、
そんな編プロ見たことなかった。
でもその編プロは下請け意識を持たず、
自らの技能に自信を持ち、
クライアントとは対等なパートナーだという意識があるから、
そういうことができるし、
それによって発注先からも信頼されるし、
発注先が無理難題を言うことも少ない。
なぜなら下請け意識でなく対等な立場で、
発注先にはできない技能を売って、良い提案をし、
対価を得ているという自負があるから。
私はそれを見て学んだ。
自分は個人でも仕事をしているが、
仕事を受けて金をもらうばかりでなく、
自ら金を払って積極的に営業し、
いい発注先を開拓しなければならないと。
私の個人の仕事の中で圧倒的な売上を占めているのが、
先日の記事にも書いた、もめたグラフィック社である。
もめたからというわけではないが
以前からいずれ今続いている背景ビジュアル資料集シリーズが終わり、
私個人の収入が激減することは目に見えていた。
新しいクライアントを探さなければ。
しかしフリーで仕事をしている人の多くは、
目先の仕事に追われていて、
営業している時間なんてあんまりない。
私も時間はない。
営業しようにも私の場合、平日の日中は時間がとれない。
ではどうするか。
そこで投資したのがホームページとかさこ案内冊子の配布である。
もともと個人の自作ホームページだったが、
ネット経由での仕事が入ってくることが多くなったので、
さらに間口を広げるため、
お金を払ってWebデザイナーに頼んで、
ホームページを大幅リニューアルした。
そしてもう1つが「かさこマガジン」。
デザイナーにお金を払い、印刷会社にお金を払い、
16ページの自分営業ツールを1000部制作し、
仕事になりそうな出版社、雑誌社、編プロなどに、
ダイレクトメール的に数百部発送した。
そのおかげで今年になって新しいクライアントができ、
実際の仕事がスタートしている。
そんなこともあって無茶な要求を言う、
自分個人の仕事の売上の8割を占めるグラフィック社の仕事を断れた。
もしそうした自ら積極的な営業戦略がなければ、
グラフィック社の無理難題をのみ、
お金にならない仕事をしていたかもしれない。
脱・下請け意識。
発注先に必要以上に媚びるな。
そうした態度が発注先の態度を増長させる。
自分の技能に自信があれば、無理な要求は断ってもいい。
自分の技能に自信がないなら、フリーになんかなるな。
ダメな発注先に依存しないよう、
自ら出費を惜しまず営業をせよ。
そしたら無茶苦茶な要求を聞かずとも、
いいクライアントと気持ちよくいい仕事ができると思う。
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