働き方の常識を変えなければ生き残れない時代
2011年 08月 11日
なぜ労働時間だけでしか社員評価ができないんですか?
今、会社員の働き方が大きく変わりつつある。
それは高度成長期の仕事一筋による、
人生設計モデルが崩壊していることと、
国内市場の縮小とグローバルな厳しい競争に勝ち抜くためには、
今までのような建前的な働き方では通用しないこと、
さらには、パソコン、ケータイ、スマートフォン、ネットの進展により、
従来の働き方に固執する必要がなくなったことが挙げられる。
それに加えてだめを押すように、3.11が起きた。
災害があっても業務を支障なく継続して行う(BCP)には、
今までの働き方では通用せず、
ITを駆使した変革が待ったなしの状況になった、
ということもある。
別に私はIT企業の回し者ではないが、
未だに変化をきらい既存の常識にしがみつく人間が多いことから、
ITの革命的すごさを認識できないでいる。
というより自分がついていけないから、
それを否定することで、
必死に自分の古いやり方を守ろうとしているだけだ。
未だに過去の働き方にこだわる人たちが多いが、
時代の過渡期である問題にいち早く気づき、
具体的に社員のワークスタイル変革を行っているのは、
日本では一部の外資系企業ぐらいの話だ。
会社に来なくてもいい。在宅勤務でもいい。
在宅じゃなくても別にどこでもいつでも働いていい。
ITの存在は、働く場所と働く時間を無意味化させた。
「オフィス」「通勤」「労働時間」「残業」といった、
これまでの概念が大きく変わりつつあるのだ。
モバイルワークに大きく転換する、
働き方先進事例の会社を何社か取材したことがあるが、
悲しいかな、そういう会社は外資系ばかり。
外資系のやり方がすべていいとは限らないし、
日本人や日本の商習慣にあったスタイルもあってしかるべきだ。
しかしあまりにも建前ばかりを肥大化させ、
仕事の中身が伴わず、アリバイ証明的な事務作業や評価基準ばかりが、
社員のやる気や効率を阻害していることも確かだ。
3.11でわかったのは、
いかに日本の企業や日本人が危機意識がないかということだった。
原発が爆発すると、外資系は軒並みすぐに関西に避難し、
外国人は海外脱出を図ったが、
多くの日本人は「そんな大げさな」と鼻で笑った。
そんな日本人や日本企業はどうかというと、
放射能が降り注ぐ危険な状況のなか、
まるで放射能を浴びにいくかのように、
会社に行くことが仕事と思い込み、
原発がメルトダウンし、
チェルノブイリ以上の大事故が起きているとも考えず、
小学校の算数がわかればわかるように、
少ない電車本数に通常通り人が殺到すれば、
数倍もの時間がかかることは自明にもかかわらず、
健気にも大混雑、大混乱の電車に乗って、
放射能を浴びるために会社に行ったのだ。
政府やマスコミや電力会社の対応を非難したところで、
国民の危機意識のレベルがこの程度だから、
政府やマスコミや電力会社に騙されるのである。
外資系の多くは関西に退避しないまでも、
未曾有の非常事態と認識し、在宅勤務を推進し、
社員の安全や仕事の効率性を考え、無理に出社するより、
家で仕事をしてくれればいいと指示を出した。
外資系といえども日本人が働いているので、
3.11が起きるまでは「いくらITがあっても、
在宅勤務なんてできるわけがない」
と過去の常識に捉われていた人も多かったらしいが、
3.11が起きて「なんだ在宅勤務って意外とできるじゃん」
と理解し、その後の働き方が大きく変わったという。
働き方の変革は仕事だけに過度に依存する、
日本人のライフスタイルを大きく見直す契機となり、
ライフワークバランスをよくする可能性もある。
ただこういうことを書くと、
「なんでもかんでもバーチャルな、
ネットコミュニケーションだけでいいのか」
と思う人がいるかもしれないが、
私だってすべて在宅勤務にして、
すべてメールとケータイだけで仕事をしろなんて思っていない。
むしろ私は古い考え方かもしれないが、
仕事をする場合、メールや電話で問い合わせがきても、
基本的には一度ご挨拶をかねて直接会うことを基本にしている。
また私はオフィスに来て他の社員と雑談することも、
ものすごく重要だと思っている。
だって人間と人間が仕事をするのだから、
バーチャルコミュニケーション以上に、
その人となりとか相性とかフィーリングとか、
会わなきゃわからないことって大事だと思うからだ。
でもだからといって古い常識人のように、
毎日顔を会わせることが仕事だとか、
放射能が降り注ごうが、電車本数が激減していようが、
オフィスに来ることが会社だみたいな、
アホな考えは到底受け入れがたいし、
何もそれは非常時に限らず、普段の仕事だって同じ。
日本企業の弊害に残業代の支給があると思うが、
適当に昼間サボって仕事していたり、
能率が悪くて時間かかっている社員の方が、
労働時間が多くて残業代ももらえて上司からの評価もいいなんて、
こんなバカげた話はない。
縮小する国内市場のなかで、
企業が生き残っていくにはコスト削減は必須だが、
削減するなら人を切る前にワークスタイルを変えて、
オフィスの維持コストを削減するとか、
働き方をもっと柔軟に自由にして、
生産性・効率性をアップするとか、
そっちの方が先だろうと思う。
そんなこともしないで、
売上が減っているから社員を切るなんてて本末転倒だ。
オフィスに来れば賃料がかかり電気代がかかり通勤代がかかる。
IT利用をもっと促進すれば、そうしたコストだけでなく、
電話代、出張代なども削減できる。
さらにもっといえば、これはいいか悪いかは別問題だが、
どこからが労働時間でどこからが休みだという区別なく、
いつでもどこでも仕事ができるようになれば、
その分、迅速な対応とスムーズな仕事ができるわけだ。
スマートフォンさえあれば、どこでもメールをチェックできるわけで、
オフィスに来ている間が労働時間とか、
そんな考え方はなくなる。
つまり、つきつめていくと、
最終的にはサラリーマンの自営化、
個人事業主化が進展するということだ。
話題になった「サラリーマンは自営の気持ちがわからない」でも書いたが、
お金や時間のコスト意識がないサラリーマンは、
もはやこれからの時代、生き残ってはいけない。
ましてや「仕事人間」ではなく「会社人間」のサラリーマンは、
いずれ淘汰されるだろう。
そのぐらい今、大きな時代の変革期に差し掛かっていて、
ましてや先進国がばたばた破綻し、
資本主義社会が根底から覆されようとしている今、
会社に来て長い時間働いてさえいれば、
会社に貢献していてエラいなんて思ったら、
5年もしないうちにリストラを余儀なくされ、
もしくはそんな企業は倒産し、
会社で仕事をするフリはうまくても、
転職したり自営して仕事をしていく能力なく、
社会のお荷物になり、自分の生活設計ができなくなることは間違いない。
こういう言い方をしたら不謹慎かもしれないが、
3.11が起きたことで日本人は、
これまでの働き方の常識を見直す絶好のチャンスを得たわけだ。
これだけの大惨事が起き、
しかもなおその惨事は近年また、
日本のどこかで起きる可能性が極めて高いなかで、
会社や上司にごまをするだけで、
いつまでも非効率なやり方でちんたら仕事していて、
労働時間が長いから俺は会社に貢献しているみたいな、
従来通りの仕事ぶりでは企業もサラリーマンも立ち行かなくなる。
どれだけ危機意識を持って今のスタイルを見つめ直せるか。
その問題に気づいている企業や個人はとっくに気づき、
行動を変えているが、
今もなお圧倒的多数の気づかない企業やサラリーマンが多いために、
みんなで日本を沈没させようとしている。
建前ばかりでなくそろそろ物事の本質に目を向けるべき時だろう。
しかし悲しいかな、どれだけ言っても、
わからない人間はわからない。
自分がどれだけ会社で評価されていたとしても、
無職になって自分が社会の中で“何もできない”と気づかされるまで、
従来通りの働き方を貫くのだろう。
それはそれで人の生き方だから勝手だし、
そういう人がどうなろうか知ったこっちゃないが、
それを他人に強制するのはやめてほしい。
能力のない人間は、自分の能力を伸ばすより、
能力のある人間の足を引っ張り、
自分たちのスタイルに合わせさせることで満足する。
それは誰のためにもならないことに早く気づくべき。
そんな他人を妬んでいる暇があったら、
自分の能力を伸ばすことに注力すればいい。
・スマートフォン普及したのに通勤ラッシュがなくならない不思議
http://kasakoblog.exblog.jp/13857049/
・短時間で仕事をする意識がない人が多い
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地震:「首都直下」高まる危機 東日本大震災で地殻変動
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